自由の国、アメリカで舞台芸術科を専攻して「米国の芸術文化の意識の高さ」を学んだら「日本の文化のスゴさ」も見えてきた

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初めまして!
この度、イロドリでインターン生として記事を書かせて頂きます、杉崎未侑(みゆう)です!

よろしくお願いします!

写真向かって一番右に写っているアジア人が、私です。 これは、また追々紹介する、大学のミュージカルに参加した時の写真を使わせていただきました。果たして私はアメリカ人に馴染んでいるように見えるのでしょうか?

京都にある同志社女子大学の国際教養学科に所属する、大学三年生です。
どんな学科かと言いますと、学科生80名は全員、2年の秋学期から3年の春学期まで留学が義務づけられています!

この学科に入って留学したいと思った理由は
・日本のソトから、自分の国を見つめなおしたい
・本場アメリカで舞台芸術を学びたい
という2つの想いからです。

まず最大の理由が、さっさと日本から一度出ていきたいという気持ちがあったからです。

「いや、初投稿の序盤にコイツは何を言っているんだ」となると思いますが、私、日本という国にに対してケッコー悲観的なイメージを持っていました(笑)

なぜなら、決まったレールに乗って生きるシステムが好きじゃなかったからです。
ある程度固定されている導線の中で無難に生きていれば、安定した生活を送れる、という考え方から一度抜け出して、ソトから日本を見てみたいと思ったんです。

もう一つの理由は「舞台芸術を本場の国で学んでみたい!」と言う想いからです。
高校の時、創作ダンス部に所属していました。しかも、全国でも有数の強豪チームで、全国大会で毎年優秀な成績を収めているような……

そのダンス部で3年間、ほぼ毎日朝から晩までレッスンして、時には中学校の体育館で、プロバスケの試合のハーフタイムショーで、などあらゆる舞台を踏んで中々にしごかれてきました。

様々な舞台経験を積んでいる時に、舞台空間を作るのは、ダンサーなどのパフォーマーだけではなく、照明やセットデザイナー、裏方有りきの総合芸術なんじゃないかって思った瞬間、「舞台芸術って奥深いな~」って思ったんです。

この2つの理由で「”自由の国、アメリカ”、そして ”ブロードウェイミュージカルがある、アメリカ”。そこに行けば自分の人生の何か変わるかもしれない!」という希望を持ってアメリカに8か月間留学してきました!!

そしてその選択は、はっきり言って、大正解でした!
期待以上にアメリカでの勉強や生活は刺激的で、本当に多くのことを学ばせてもらいました。

しかし、不思議なことがひとつだけあったのです。
それが「アメリカで生活し、学べば学ぶほど、アレだけ悲観していた“日本のスゴさ”が分かってきた」ということです。

今回はそんなエピソードをご紹介したいと思います。

簡単に私の留学期間と留学先について説明しますと、私は昨年の8月下旬から5月上旬までアメリカのニューヨーク州に行っていました。

ニューヨーク?? あのかの有名な、タイムズスクエアがあるところ!?

と、想像する方がいるかもしれません。ですが、残念。それは響きだけです。
ニューヨーク州でも田舎の中の田舎という所に居ましたので、どちらかというと緑が豊富で自然と戯れるしかやることが無いような場所でした。汗
ちなみに大学の目の前から見える景色はこんな感じです。↓↓

毎夕、湖に沈みゆく夕日を拝むことが出来ます。中々素敵でしょ??( ´∀` )

私は最初、ブロードウェイミュージカルをすぐに見に行けるような場所だと思って “ニューヨーク” という名前に惹かれてここの大学を選んだんですが、まさかのニューヨークシティまで車で6時間という場所に住んでいましたので、そんな頻繁には見に行けませんでした……

このように、期待以上のこともありながら、期待をまんまと裏切られたようなエピソードは1日が48時間あったとしても1日では語りきれませんので割愛しておきます。

現地大学には留学生の日本人5人+アジア系アメリカ人4、5人の合計10人程しかアジア人が居なかったので、それこそ皆さんが思い浮かべるザ・アメリカ人の中で生活していました。

彼らの一番の特徴は一人一人が自分の個性を大事にしていて、嫌なことはキッパリ嫌だといいます。

例えば、朝8時から始まる授業に朝起きれないから行かないという理由を直接教授のところに文句を言いに行く生徒がいたり、クラブ活動にいつも30分遅れてくる男の子に対してリーダーが注意したら「それが、俺のポリシーなんだ」と、しらばっくれる人も居たり……

逆を言えば自分勝手な意見が多いアメリカ人ですが、こういう所にアメリカ人のフリーダムさを感じていました(笑)
自分らしく振舞うのは大前提で、さらに自分の好きなように生きるという彼らの生き様は、見習うべき所も多々ありました。

そんな自由人で構成されたようなこの大学で、舞台芸術科を専攻している人がたくさん居るような授業に2学期間通して参加していました。

座学から実技でダンスまで、勉強したかった分野を目一杯取っていました。

ある授業はひとクラス15人の少人数クラスで、事前に近くの劇場の運営の仕方を調べて実際にクラスメート全員でその劇場に芝居を見に行くこともしていました。

アメリカの大学ではグループワークやプレゼンテーションする機会は多く、自分から意見を持って参加しないと、置いて行かれてしまうので毎日彼らに喰らいついて授業を受けてましたね~

アメリカ人何が凄いって、トーク力が半端ないんです。
10分間の中でグループで調べたことを、即興で発表する時があったんですけども、まるで1週間前から準備していたかのように、理論が立ってて、且つユーモアでプレゼンを面白くするというスゴ技を皆持っていたんです。

それも、自分の意見を常に持っているからこそ出来るんだと思いますが、自分という人間を立てているアメリカ人と舞台芸術の授業を一緒に受けたのは、やはりとても刺激的でした。

本題の舞台芸術のレベルの高さの話は、これらの授業を受けていた時に感じた事なんです。なぜなら、演劇やミュージカルに触れるっていうことが、彼らの中では日常茶飯事であり、いつでも舞台芸術の中で生きているからです!

アメリカ人の芸術意識の高さを感じたエピソードを3つに分けてお話しします。

1.大学でミュージカルに誰でも参加できちゃう!?

新学期始まって2週間経った時に、大学で行われる定期公演でミュージカルのオーディションを受けるチャンスがありました。そのオーディションは、舞台芸術学科限定の募集ではなく、その大学に所属している人なら誰でも応募できました。なので、学部が理系だろうと文系の社会学系だろうと参加できる権利があったんです。

実は私はそのオーディションを受け合格し、ダンサーとして出させて頂きました。

演目はブロードウェイミュージカルの一つ”URINETOWN(ユーリンタウン)”で、この作品は2時間半ほどありますが、1カ月半弱で仕上げなければならなかったのです!! よって役者は1週間以内に台本全部覚えて来ないといけないという状況でした。

しかし、それを彼らはなんなくやってのけて来たんです! 早い人なんて3日で台本無しで練習していました。

何故そんなことが可能なのか、出演する友達に何人か聞いてみたところ、文理、専攻関係なくとも、ほとんどの人が今までに何らかの舞台経験があったんです!!

彼らの話をまとめると

・高校やミッドスクールの授業で舞台に関わることあった
・子供の頃から親がシェイクスピアとかブロードウェイミュージカルに連れてってくれた
・趣味のひとつだから台本を読んだことがある

だそうなんです!

大学に入る前、幼少期からそういったものに触れる機会を親や学校が作ってくれる環境にあるからこそ、多才な芸術感覚を身に着けることが出来るのかなあと思います。

2.日常会話にメアリーポピンズの話??

「メアリーポピンズ」の物語をご存じでしょうか?
物語を知らなくてもディズニー好きな人であれば、「チムチムチェリー」という曲をどこかで聞いたことあるのではないかと思います。

ですが、アメリカ人はメアリーポピンズのあらすじを大体知っていて挿入歌もほとんど歌えるのです。なんと友達は鼻歌で歌っているほどです!

それはメアリーポピンズに限らず、他のミュージカルや劇の作品についても同じことが起こるんです! 私たちが桃太郎の話を知っていて、桃太郎の唄を歌えるというような感覚で、アメリカ人は色んな作品の話をします。

こんなこともありました。
食堂でご飯食べていたら、目の前に言語学を専攻している友達が座ってきて「ねえ、ブロードウェイミュージカルのウィキッドの登場人物の中でエルファバとグリンダだったらどっちが好き?」といきなり聞いてきたんです。

私は、日本の劇団四季で一度見たことがあったので、その質問には答えることが出来ましたが、このような話がランチタイムに繰り広げられるとは思ってもいなかったので相当驚きました(笑)

ミュージカルや劇の話は、私たちが日本の童話を知っているような感覚で、アメリカ人はするんです。

3.宣伝、広告の量が凄まじい。


アメリカ人はほぼ全員と言ってもいいほどFacebookを使っています。誰かと連絡を取るときはMessengerが主流で、全校生徒用のFacebookページがオンラインにあって、そこで催し物を宣伝するというくらいFacebookのアカウントを持つことは重要でした。

私も渡米した後からよく使っているんですが、使っていると、友達からブロードウェイミュージカルや町の劇場の宣伝がよくまわってくることがあり、オンラインでもこんなに宣伝するのか! とビックリ。

確かに、タイムズスクエアに行けば、ビルの広告にミュージカルの広告が大きく何処かしこにも掲げられていて、SNSでも、街の中でも、様々な場面で劇場作品の宣伝の多さが際立っていました。

想像してみてください。
もしも日本で渋谷や心斎橋に大々的に劇場やミュージカルの看板がたくさんあったら。
しかも、1つだけではなく10作品もの広告がどこかしこにあるという状況を。

今の日本だと有り得なさそうなことですよね。でも、これがニューヨークシティだけではなく、ある程度大きな都市で劇場を保持しているような場所であれば、よく見かけます。

舞台芸術産業がその市の地域を活性していることもアメリカではあったんです。

 

アメリカ国民の中で舞台芸術が身近なものに感じる理由の一つはここにあるのだと思います。

他にも、彼らの芸術意識が高い理由を感じられる場面は山ほどありましたが、総じて、舞台芸術がアメリカ人の日常に根付いているのは、
「芸術を知る環境とそれに対してのアメリカ人の舞台に対する興味が鶏と卵の関係にあるから」なのではないかと思います。

その興味は幼い頃から教育として舞台芸術を学んでいることから沸いてくるもので、そしてブロードウェイミュージカルの作品をはじめとした、様々な作品がブランド化し、多くの人が見に行きたいという動機になっている。

この循環が、アメリカの舞台芸術は総合してレベルが高いと思える理由です。

こうやって考察した後にふと我に返ったんです。
「だったら、日本の舞台芸術はいったいどうなっているんだ」と。
そう自国の文化に疑問を持っていた私に、ある友達が、「日本の能のテクニックが、自分が舞台で演者になる上で大きくヒントになっているよ。」と教えてくれました。

また、教育学を学んでいる友達は
「歌舞伎のストーリーは日本の江戸時代をよく表していてとっても面白いよね! だから、もし江戸時代の舞台芸術の歴史で知ってることがあったら何でもいいから教えてほしいな!」
と聞いてきたんです!

まさか、アメリカ人がこんなこと聞いてくるなんて思ってもみなかったので、かなり驚きましたし、その時に自分自身、日本の文化の事全く知らなかったので、なんだか恥ずかしい気持ちになりました。

このことがキッカケで私は、日本の舞台芸術について自分で調べるようになって、アメリカと日本の舞台芸術のあり方をあらゆる面で比べてみました。

そして気づいたことは、
ブロードウェイミュージカルを売り出して大きな収益を誇ってるアメリカですが、それほど大した舞台芸術の歴史が無いということです。

よく考えれば、今年やっと独立241年を迎えたばかりの世界的に見てもまだまだ新しい国で、日本の何千年と続く歴史と比べたらまだまだ薄っぺらいし、歴史的に見てコンテンツが少ないんです。

しかし、その舞台芸術が発展途上の状態だからこそ、今、現在もアメリカのブロードウェイや劇場産業は上昇気流に乗ってきており、毎年のように面白い作品が出てきているのではないかと考えられます。

逆に言えば、日本はもう既に固有の芸術文化を持っている! ということにも気づきました。平安初期の雅楽から始まって、能、歌舞伎、など今でもその歴史は繋がってきており、その歴史的価値はとても高いと改めて思い知りました。

そう思えば日本の芸術文化って、案外凄いもので、他国に相対して自慢できるものかもしれない! と思って、そんな歴史ある日本人として生まれて良かったと思ったんです。

しかし、私を含めて日本人は自分の国の文化に興味もなければ、逆に敬遠している雰囲気があるのでは? と考えます。歌舞伎や能といった日本唯一の舞台産業は、特に若い人は古いと感じ、しかもほとんどが世襲制であり、正直、それらに対して親近感が沸きにくいです。

日本では、劇団四季が「キャッツ」を、宝塚歌劇団が「ベルサイユのばら」を上演するなど、他国の作品を取り上げた時、多くの人が足を運ぶのが現状だと思います。

アメリカ人は割と自分の国の事が大好きです。
舞台やミュージカルにも進んで足を運んで、そういった鑑賞するための時間を持つことを
大切にしています。

日本人の私たちが自国の文化を愛さない限り、その文化は廃れていってしまうんだろうなって、アメリカ人から気づかされました。

アメリカでこのように舞台芸術をアメリカ人に混ざって勉強できたのは貴重な体験でした。
なぜなら、「芸術教育の死角: 演劇を、国立大では学べないワケ」で書かれているように、日本の国立大学にはまず、”舞台芸術学部”なるものは存在しないからです。

基本的に芸術大学や専門学校に行かなければ、舞台芸術という学問をアカデミックに学ぶことはできません。

それに、街のどこかにいつでも劇場があって、芝居や歌などを見て学ぶなどするような場所は日本にはごく少数の場所しかないと思います。

どこへ行っても芸術体験、幼い頃から色んな舞台作品を親が観させてくれる、総合大学では、必ずと言ってもいいほど、舞台芸術専攻がある国、アメリカ。

舞台鑑賞は観劇ファンが行うもの、舞台を踏むにはプロにならないとできない、そこまで自分の国の芸術文化に興味がないという国、日本。

 

どちらが、この先何十年経っても自国の舞台芸術文化を残して行くことが出来るかって言われたら、一目瞭然ですよね?

 

でもやっぱり、日本の舞台芸術の文化は外国人にウケるほどの、それ相応の奥ゆかしさとおもしろさが間違いなくあると思います。

日本の芸術文化に誇りを持ったと同時に、バックアップの少なさには寂しさを感じる私ですが、やはりこの先もユニークな日本の作品が残っていって、もっと教育的にも改善されて、愛着と興味を持つ人が増えて……という、そんな日がいつか来るといいなあと願っています。

 

まあ、このお堅い話は置いといて(笑)
イロドリでのインターンで、素敵な文化を持っている日本人に、それは本当にスゴイことなんだよ! と知ってもらえるような「伝える力」を身に着けていければなあと思っています。

これから、大学生ならではの視点で皆様のためになるような情報をドンドン発信していこうと思います! 未熟者ですがよろしくおねがいします!


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