留学先でドイツ人女性から「今日、私を利用したの?」と言われて猛烈に悩んだ話

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はじめまして、この度イロドリで記事を書かせていただくことになりました、露口(つゆぐち)です。

瀬戸内海の美しい海に囲まれ、「サイクリングの聖地」と言われるしまなみ海道を有する、愛媛県今治市で生まれ育ちました。

今は神戸で大学に通い、経済学を専攻しています。

僕がなぜ経済学を専攻したのか……。

読者の皆さんの中には、将来したいことを考えた時まったく何も浮かばない経験をされた方がいらっしゃるかと思います。

僕もその一人でした。

これといった将来の夢もなかった高校生の時に、「将来幅広い選択肢が残るだろう」という理由で経済学部に進学しました。

ただ、こんな僕でもぼんやりとですが、興味があることがひとつだけありました。
それが「海外」です。

そこで僕は、大学に入ってから独学で韓国語を勉強しはじめ、長期休暇のたびに海外に出かけました。

なんで韓国語かというと、読み方を知らないとポケモンの「アンノーン」にしか見えないハングル文字が、当時の僕には暗号みたいに見えて愛着が湧いたからです。
この暗号みたいな文字を、自分も書いてみたいと思っていました。

また、たまにTVとかで耳にする韓国語がとてもきれいに聞こえて、「自分も話せるようになりたい」とか思っていたのがきっかけです。

そして、昨年には韓国ソウルに1年の交換留学を経験しました。

留学を通して感じたのは「やっぱり海外の人たちとのコミュニケーションの方が自分には合っているな」ということです。

なぜ「やっぱり」なのかと言うと、僕の過去の経験によってそういう考え方になっていたからです。

例えば小学校の時。
僕はまったく英語がまったく話せないのに、オーストラリアに2週間ホームステイに行きました。

ホームステイ先に到着すると「一服しよう」と、ホスト先のお母さんが、お茶とケーキを出してくれました。

が、それは僕の苦手なチョコミントのケーキでした…….。

これから2週間お世話になる家のお母さんが、せっかく出してくれたケーキ。
食べないわけにはいきません。

お茶で流し込みながら、何とか食べきりました。

するとお母さんが、「もうひとピースいる?」と聞くのです。

僕は典型的な日本人です。
「ノー」が言えません。

「え、なんとか食べきったのに……。苦手な味なんだよな……。でも断りにくいな」
とか困っていると、お母さんが

「口に合わなかった?」と聞くのです。

僕は「うん、あんまり好きな味じゃなかったよ」と言うことすらできず。

ただ、苦笑いを浮かべながら、その場を乗り切りました……。

この時僕は、

「海外の人はYes、Noがはっきりして、まっすぐものを言ってくるのがいいな」

と感じたことを今でも覚えています。

この2週間のホームステイの経験は、僕に海外に対する関心を芽生えさせました。

日頃から外国語を耳にするたびにわくわくしたり、自分も話してみたいなと思うようになったのです。

大学でも留学生の友達が多くでき、留学先でも国際寮に住んでいたこともあり、日本人以外の人とコミュニケーションをとる機会がたくさんありました。

実際のところ、僕は日本人の友達より外国人の友達の方が多いです。

彼らのあのさっぱりとした物の言い方に、僕は心地のよさを感じているのです。

では、いったい彼らのコミュニケーションがどう違うのでしょうか?

たとえば、彼らは日本人の「おはよう」と同じくらいのノリで「ごはん食べた?」と聞いてきます。

で、食べてなければ一緒に食べにいくのがいたって普通です。

最初の頃は「自分を気遣ってご飯に誘ってくれて嬉しい!」とか思ってたんですが、しばらくするとそれが彼らにとっては「ふつうのこと」なんだと分かってきました。

また、友達の間の会話もずいぶん違います。

例えばこれは、留学中に仲良くなった香港人グループの話です。

僕はあることに気づきます。

彼らがやたら僕に悪口を投げかけてくるということに。

そのおかげで僕は、広東語で自己紹介はできませんが、悪口ならいっぱい言えます(笑)

もちろん彼らは冗談のつもりですが、
悪口の少ない日本で育った自分には、カッとくるときもありました……。

しかし、あるとき僕は気づきました。

彼らは「仲良くなるプロセスとして悪口を使っている」ということに。

韓国でも日本のように、先輩・後輩といった上下関係があり目上の人には敬語を使います。

しかし、彼ら香港人グループはふつうに、韓国人の先輩にもFU*Kとか連発しまくって打ち解けていきます。

これに気づくまでは、苦労しました…fu*k

ただ、彼らが私に投げかけてくるのは悪口だけではありません。

実は会話の中で本当に相手を知ろうとするような質問をたくさんしてきます。

それは、家族の話であったり、友達の話であったり、恋人の話であったり。

もちろん、初対面の人に何でも聞くわけではありません。

でも、ある程度の仲になると、日本人の友達からは聞こえてこない質問をいっぱいしてきます。

悪口をたくさん言うけど、たまにはまともな質問もしてくれる彼らは僕の大親友です。

そして私がコミュニケーションの違いを、とてつもない精神的ダメージと共に学んだ瞬間がありました。

それはあるドイツ人女性の友達をランチに誘って2人で韓国料理を食べにいったときのことでした。

僕と彼女の関係はというと、学校で顔を合わせていましたが、普段から連絡を取り合ったりするような仲ではありませんでした。

日本だったら普通によくある関係ですよね。

彼女とふたりで料理を食べながら、4時間近くいろんな話をしました。

たとえば、最近彼女が二年ぶりに行ったデートで会った男が、とんでもなく自慢好きで失望を通り越して笑ってしまった話。

韓国における留学生活の話。

僕が春休みに計画していたドイツ旅行の話。
彼女の姉と弟の暮らすアパートにホームステイまでさせてもらえることになりました。

そして、僕が当時気になっていた子についての話。

気がつくと夕方でした。

それぞれ晩ご飯の約束に向かうため店を後にしていると、別れ際に彼女が僕に言いました。

“Shu, did you use me today?” (今日私を利用したの?)

と。僕は驚きを隠せず、とっさにこう言いました。

“Ehhhh……how come?” (えっ……なんで? そんなわけが……) 

もちろん僕には彼女を利用しようというような意図はありませんでした。

ただ「もっと仲良くなりたいな」と思って、ご飯に誘っただけです。

しかし、それを彼女は「利用された」と感じていたのです。

僕はその場では必死に弁解しましたが、彼女は腑に落ちていませんでした。

その夜僕は、彼女の質問にずっと頭を抱えていました。

数日後、ついに僕は答えにたどり着きました。

「自分たちと外国人のコミュニケーションのスタイルには根本的な違いがある」

ということに。

それはどういうことか。
日本人だと連絡するとき「今、あいつ忙しいかな~」とか考えますよね?

そのせいか、友達の間でも用事があるときだけ連絡している気がします。

だけど、彼らは特別な用事がなくても連絡をしてくれます。

親しい友達だったら、友達が今どんなことをしていて、どんなことに困っているかとか大体知ってます。

そのほかにも、SNSのグループチャットが頻繁に動いていたり、Facebookで友逹の投稿のコメント欄でみんなでじゃれ合ったり。

つまり、日本人は「目的がある前提のコミュニケーション」だけど、彼らは「コミュニケーションしていく上で新たな目的が生まれる」という決定的な違いがあるということです。

ドイツ人の彼女が僕に「利用した?」と聞いたのは、僕が「目的がある前提のコミュニケーション」をとっていたからです。

彼女は突然ご飯に誘われ、相談までされてきっと思ったはずです。

「ん?なんだろう。いつも連絡しないのに、必要な時だけ連絡して。もしかして、私を利用してるんかな?」と。

これをキッカケに僕のコミュニケーションも変わりました。

変に気を使うことなく日頃から彼女にメッセージを送ったり、ご飯を食べに行ったり。

そのおかげで今では彼女は僕のもっとも仲の良い友達の1人です。

日本に帰国してから半年……。

とくにこれといった用事もないのによく動く留学生友達のグループチャットと、ご飯を食べに行く約束や頼みごとがあるときだけ動く大学友達のグループチャット。

彼らのコミュニケーションのとり方に慣れてしまった僕は、日本人の友達とも

「ムダなことでも良いからもっと密なコミュニケーションを取りたい!」

と感じるようになりました。

今日本には訪日外国人観光客が増え、その影響で地方に海外の人たちが訪れたり、民泊の普及によって海外の人が自宅に泊まりにくるようになりました。

それによって、昔と比べると日本人と海外の人達がコミュニケーションを取る機会も爆発的に増えたはずです。

レストランへ行くと看板やメニューが外国語で書かれて、日本語のできない人たちも問題なくごはんを注文できます。

しかし、訪日外国人観光客に対して、通訳・翻訳をすることばかり気にしている気がします。

もちろん、これは彼らにより便利に旅行してもらおうとか、お客さんだから精一杯「おもてなししよう」という思いでしていることです。

だけど僕は、こういう「おもてなし」も大切だけど、彼らはそれ以外に「より人間っぽいコミュニケーション」を求めている気がします。

もちろん最初は慣れないし緊張するし、何を話せばいいかわからないかもしれません。

でも、はじめから完璧に英語や中国語を話す必要なんてありません。
まずは日本語で良いから笑顔で話しかけてあげましょう。すると会話が生まれます。
そして、それだけでお互いの距離は少しずつ縮まると思います。

彼らは意外と声を掛けてもらえるのを待っています。

その声掛けに最初から「目的」なんて必要ありません。
その一歩が「目的」を生み出してくれます。

何気ない会話が、彼らの困っていることを解決したり、今まで知らなかった彼らの嗜好を知れたり、改善できる要素の発見につながったりします。

そして、何よりもきっと彼らとの会話が楽しいはずです。
もしかしたら、「あとで一杯いこう」なんてこともあるかもしれません(笑)

「日本」と「外国」

みなさんも両者に無数の違いが存在することにお気づきでしょう。

人柄、言語、生活様式、価値観などさまざまです。

僕もふだんから「日本と外国の違い」に興味を抱いていました。
留学中からずっと「この頭の中のぼんやりしたものを、言語化して共有できないだろうか」と考えていました。

そんな中出会ったのが、ここイロドリのインターン生募集です。
「チャンスだ」と思った僕は即応募をし、今回この機会を手に入れることができました。

イロドリで記事を書きながら、僕の発見や思いが少しでもみなさんのお役に立てればと思っています。
まだまだ、未熟者ですがよろしくお願いします。


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