こんにちは、インターン生の杉崎です。
「ただの野菜好きじゃない!? アメリカ人がベジタリアンになる2つの理由」では、アメリカ人がベジタリアンになるときのキッカケについて書きました。
今回も引き続き、ベジタリアンについてご紹介します。
ではここで問題です。
ベジタリアンとは何を食べない人のことを言うのでしょう?
「えっ? 野菜しか食べないんじゃないの?」と思っていたそこのアナタ、実はそうではないんです。
私もアメリカに行く前までは、そう勘違いしていました。
でもベジタリアンにも色々スタイルがあってそれぞれこだわりを持っていたんです。
では一体彼らはどんなスタイルを持っているのでしょうか?
留学先の大学で出会ったベジタリアン歴20年以上のM先生に話を聞いてみました。
ベジタリアンってどんなひと?
M先生いわく、どんなスタイルのベジタリアンにも共通しているのは、「動物を食べないこと」だそうです。
また、中には動物性のモノ、例えば毛皮や牛革製品などを身に着けないという人もいるそうです。
ただ、動物を食べない人の中でも、さらにスタイルが分かれてきます。
M先生によると、一番多いのは以下のよう人たちだそうです。
〇(食べられる)=野菜、フルーツ、木の実、豆類、海藻類、酪農製品(牛乳、チーズなど)、卵
✖(食べられない)=肉類、魚介類
牛乳やチーズ、卵は動物系の食材なので食べられないと思いがちですが、アメリカではほとんどの人が食べているのだそうです。
このような、チーズも卵も食べる人のことを ”lacto-ovo-vegetarian (ラクト・オボ・ベジタリアン)”と呼びます。
lacto (ラクト)とは酪農製品のことを、そしてovo (オボ)は卵を指します。
このラクト・オボのタイプがアメリカのベジタリアンの大半だそうです。
細かく見れば「チーズは食べないけど卵は食べる(オボタイプ)」という人もいれば、その逆も然りです。
逆に野菜やフルーツといった植物性のものしか食べない人は「ヴィ―ガン」と呼ばれています。
まとめると、私が留学先で出会ったベジタリアンの人達をタイプ別に分けてみると、以下の4つのタイプになります。
中でもヴィーガンは人数こそ少ないものの、とても厳格なベジタリアンです。
私が一番驚いたのはヴィーガンの友逹から「はちみつすら食べない」と聞いたときでした。
そんなベジタリアンやヴィーガンが世界のどこにいても苦労していることが、「レストラン選び」です。
特に日本でベジタリアン用のメニューのあるお店を探すことは非常に難しいと言われています。
日本食特有の”アレ”がベジタリアンにとって大きな壁に!?
なぜベジタリアンにとって日本でレストランを探すことが至難の業となっているのでしょうか?
ここで考えられる理由の1つは、日本には固有の”だし文化”が存在しているからです。
あるベジタリアンの人がこんな話を教えてくれました。
ある和食料理の店で「私たちが食べられるものはありますか?」と聞いたところ、その時に店側は肉じゃがのひき肉だけを抜いて提供したそうです。
単純に考えたら「お肉さえ抜けばベジタリアンの人も食べられるだろうから、大丈夫だろう」という風に思いますよね?
しかし、これはベジタリアンの人は食べられないのです。
なぜなら、料理段階で魚の成分が入っただしを使っているだけではなく、牛のひき肉が入っていたからです。
もし彼らが、この「肉抜き肉じゃが」にだしが入っていることを知らずに食べてしまったら、とんでもないタブーを犯したことになってしまいます。
この場合、肉じゃがに含まれる成分を説明して、ベジタリアンのお客様が肉じゃがを食べられないことを理解してもらうことが賢明な判断だったかもしれません。
「でも、まあ欧米人だけに限っただけのことなら、アジア圏の人ばかり来る店は関係ないだろう」と思う方もいるかもしれません。
しかし日本のお隣、台湾の例を聞くとそうでもないみたいです。
ベジタリアン用のメニューがないだけで売上げがダウン!?
社内にいる台湾人スタッフのシュさんに、台湾のベジタリアン事情を聞いてみました。
シュさんいわく実は台湾はアジアの中でもベジタリアンが多いらしく、台湾人の1割以上はベジタリアンなのだそうです!
(ちなみにアメリカでは国民の約5%がベジタリアンと言われています)
台湾にベジタリアンが多い理由は宗教が関係しています。
仏教が牛を食すことを禁じている訳ではありませんが、人によっては肉食(殺生)を禁じている人達もいます。
だからと言って、家族全員が同じ考えかと言えば必ずしもそうではないそうです。
「シュさんは、ベジタリアンですか?」と聞いてみると、
私たちには馴染みのないベジタリアンですが、実は日本のお隣である台湾では「当たりまえの文化」なんですね。
そして台湾の食文化についても、こう語っていました。
逆に言えば、台湾にあるレストランはベジタリアン用のメニューが無いだけで、お店が潰れる原因にもなり得るのだそうです。
なんということでしょう。
この状況が日本で今起こったとすると、大半のお店が閉店の危機にさらされそうです。
しかし、年々インバウンドが増え続けている日本もその兆候を無視できないのではないかと私は思います。
なぜ私がこう思ったのか、1つエピソードを紹介させて頂きます。
「30分探したのに……」やっと私のバイト先に辿りつくベジタリアン
私がこう言えるのは自分のバイト経験からです。
京都駅直結のある茶漬け屋さんでバイトをしていますが、外国人のお客様が多く英語を使うシーンが頻繁にあります。
そして、週に2、3度はベジタリアンの客が現れます。
そんな彼らの中には
「かれこれ30分かけて10件くらいお店を周ってきたんだけど、どのお店にも僕たちが食べられそうなものが無くて……。この店には何か私たちが食べられそうなモノはありますか?」
と尋ねてくる人もいます。
運良く、私が働く店では1品だけはベジタリアンが食べれそうなものがあるので、食べ方を説明してそれを食べてもらうようにしています。
しかし、本当はそのお茶漬けには”だし”の効いたスープをかけて食べるのが一番美味しい食べ方なんです。
そのスープをホットのほうじ茶に変えて提供しているので、彼らは真のおいしさを知ることはありません。
それでも彼らは「食べれて良かった」と言って帰っていくのです。
「この店のだし汁スープの味に似通った、ベジタリアン用のスープが出来れば、彼らはもっと味を楽しむことが出来るんだろうな」と思ったことが多々あります。
きっと、日本にやってきたベジタリアン達は日本食に挑戦することを楽しみにしていたはずです。
それなのに食べられるメニューが1つも無かったなんて……。
今あるメニューの中からベジタリアンが食べれるものを提案をすること。
それだけで彼らにとって素敵な”おもてなし”になるかもしれません。
ちょっとした配慮をするだけでベジタリアンの方々は間違いなく笑顔になると思います。
まとめ
前回の「ただの野菜好きじゃない!? アメリカ人がベジタリアンになる2つの理由」に続き、2回に渡ってベジタリアンを特集してきましたが、これらの記事をキッカケにベジタリアンへの関心を深めて頂けたら嬉しいです。
留学に行く前はベジタリアンへの関心があまり無かった私ですが、留学先でできた友逹がベジタリアンだったので、自然と彼らの食文化を理解することができました。
外国人観光客が増える日本では飲食店にベジタリアンの人が訪れる頻度も間違いなく増えると思います。
特にアジア圏は仏教の信条で肉や魚を食べない文化を持つ人々がたくさんいます。
これからのお店の売上などはこういった食にこだわりを持った新規顧客の方々の影響を受けるかもしれません。
ベジタリアンにも優しいおもいやりのある日本になれば、きっと日本のファンもドンドン増えていくことでしょう。
食や味だけではなく、お客様への配慮もある国になって欲しいと思っています。
もし留学先の大学のM先生が日本にやってきた時に、自信を持って
「ここは先生のようなラクト・オボ・ベジタリアンでも食べれる店だよ!」
と言えるレストランが身近にたくさん出来たらいいな……と願っています。
最新のインバウンドニュースをメルマガで受け取る
弊社ではインバウンドビジネスに役立つノウハウや最新ニュースをメルマガで配信しています。
イベント開催時もメルマガにて先行案内をいたします。
また、今なら登録いただいた方には「外国人観光客に人気の都道府県ランキングデータ」をプレゼント中です。
いつでも配信停止手続きができますので、まずはお気軽にご登録くださいませ。
メルマガ登録はこちらから