こんにちは。インターン生の桑原です。
あちらこちらで海外からやって来た人々を日常的に目にすることが多くなりましたよね!
「外国人観光客に向けてなんかしてみたい!」
と考える方は多いのではないのでしょうか?
そんなインバウンドの波を乗りこなし、大阪の中心から少し離れた東大阪市にまで、外国人観光客を引き寄せてしまう人がいるんです!
その方とは、大阪で外国人観光客に向けに和紙を使った「紙すき体験サービス」を提供されている「紙TO和」の代表の
林 美和子さん
です。
林さんがどのようにしてそんな偉業を成し遂げているのか、気になりますよね!
後編の今回は、現在林さんが力を入れている「紙すき体験」から「アクセスの悪い地域で体験・サービスを外国人観光客向けに提供する秘訣」を学んでいきましょう!
【林さんのグローバルな経歴に迫った前編は こちら】
林 美和子
キャビンアテンダント、通訳ガイド、そして外資系商社でのキャリアを経て、家業の「株式会社 庫内(くらうち)」を支える取締役。
自身の経験を活かし、新規事業「紙TO和」にて、外国人観光客向けに「紙すき体験」を提供する。
「紙」をどないすんねん!?
桑原:家業に戻ろうと決心した後、新規事業「紙TO和」を起こされましたよね。
ここにたどり着くまでに、どのようなことを考えられたのでしょうか。
林さん:せっかくならば家業である「紙」を利用して、新規事業を起こそうと考えました。
でも1年くらいは「紙」をどう用いるべきか悩みましたね。
「どないすんねん!?」って(笑)
自分でビジネスをするに自体には興味があったんですが、最初は「紙」という商材に全く興味が持てませんでした。
でも、通訳ガイドの経験のおかげで、海外の人が「和紙」に興味があるということを思い出しました。
きっと和紙なら海外の人にウケるんじゃないかと思ったんです。
桑原:なるほど。今までの経験が繋がっていますね。
林さん:繋げるのに苦労しました。
最初なんて、海外の方向けに日本料理の料理教室しようかなとか思っていたくらいで(笑)
桑原:全く紙と関係ないですね(笑)
なんとしてでも海外の方を新規事業に呼び込みたかったということですか?
林さん:そうなんです。
心斎橋を歩いていたら、日本語が聞こえないくらい海外の方たちがたくさんいらっしゃるじゃないですか。
だからなんとかして東大阪まで来てくれるようなことをしたかったんです。
日本の歴史そのものである和紙
桑原:和紙ならば、大阪の中心にいる海外の方を少し遠い東大阪まで連れてこられると考えられたんですね。
林さん:はい。
和紙には1400年の歴史があります。
原料の産地が変わったくらいで、作り方はほとんど変わっていません。
しかも和紙って1000年くらい持つんです。
和紙がなかったら、歴史的な文書は残ってなかったでしょう。
そこで、和紙の強みこそ、日本の強みなんじゃないかと考えるようになりました。
つまり、昔ながらの作り方を続けてきたこと、それは日本という国が2000年以上も続いてきたことにも繋がるんじゃないかと思うようになったんです。
桑原:和紙ってすごいですね!
林さん:そうなんですよね。
そして「庫内」のルーツを知ったことも和紙をメインでやろうと考えるきっかけになりました。
「庫内」の創業者の1人の祖母の先祖が越前の出なんです。
越前(現在の福井県)と言えば和紙が有名で、越前和紙の里と呼ばれるほどです。
そこから大阪まで、紙を売りに出てきたということを知って、なんだか感動しました。
その越前で実際に「紙すき体験」をして、やっと紙に対して興味が出ましたね。
それからは、「紙すきしよう」とみんなを巻き込みました。
1年くらい紙すきの実験をし続けて、周りも「割と面白いじゃん」って言ってくれるようになりました(笑)
桑原:私も取材する前に紙すき体験をしましたが、とっても面白かったです!
紙すき体験をさせてもらいました。押し花のデザインを決めるとき、可愛い押し花がたくさんあってとても迷いました。
可愛いポストカードを、和紙から作ることができて楽しかったです!
Airbnb Experienceを通じた「紙すき体験」サービスの提供
桑原:どのように「紙すき体験」のプログラムを作り上げたのでしょうか?
林さん:「プログラムに参加してもらう人に、提供する体験を楽しんでもらいたい」という気持ちがありました。
でも「どうやったら楽しいと思ってもらえるんだろう?」と悩みましたね。
最初はただ紙すきをするだけの内容だったんですよ。
そのときAirbnbのスタッフさんに、「ストーリーを作ってください」と言われたんですね。
そこで、
「作った和紙をポストカードにして、そのハガキに書いた旅の記録が旅行から戻ったら家に届く」
っていうストーリーを思いつきました。
「欧米の人たちがポスカードを書くのが好き」ということは過去の経験で知っていました。
これなら楽しいんじゃないかなって思ったんです。
Airbnb Experienceで林さんが提供する「紙すき体験」は約2時間30分のプログラムです。
その内容は、1. 和紙の成り立ちを抹茶を飲みながら学ぶ
2. 実際に紙すきして和紙でポストカードを作る
3. 乾かしている間に筆ペンの練習
4. 日本語を話す練習
5. 乾いたポストカードに筆ペンで宛名やメッセージを書く
6. 郵便局へ行き、習いたての日本語を使って郵便局員さんから国際郵便に必要な切手を購入する
7. 購入した切手をポストカードに貼り、ポストに投函する
8. 帰国すると(もしくは帰国後しばらくすると)自分が作ったポストカードが自宅に届く
桑原:このストーリーはすごくいいと思います! 良い旅の思い出になりますね。
林さん:そうですよね。
さらにそのポストカードにもせっかくだから日本語で書いてもらえるように、ひらがなとかを教えています。
その時はすごく盛り上がりますよ。
その後、実際に郵便局で話す日本語を練習したり、日本の日常を体験してもらって、面白そうにしている反応を見るのは楽しいです。
さらにAirbnbのスタッフさんに言われたのは、和紙の歴史だけでなく、「庫内」は創業86年であり、三代も続いていているということを強調すると良いと。
それで実際にこれを説明すると、みんな「86年!?」と驚いてくれるんですよ。
桑原:わたしも過去にアメリカ人から「日本は古くから続くものを保護しながら、活かすことが上手で素晴らしい」と言われたことがあります。
古き良き日本文化の歴史は、欧米の方からすると新鮮に映ることかあるのかもしれませんね!
では、Airbnb Experienceを通じて体験サービスを提供するメリットはなんですか?
林さん:色々な国の方がAirbnbを利用しているところです。
私が海外の方を呼びたい気持ちは強かったのですが、大阪に来る海外の人の8割がアジアから来ていると聞きました。
だから英語を話す自分じゃ役に立たないと思って、中国人スタッフを入れて、体制を整えていたんです。
でも蓋を開けてみたら、今まで来てくれた100人以上の方はほとんど欧米出身の方でした。
自分が英語を話すという点において、コミュニケーションが取りやすい欧米の方の利用者が多いAirbnbで体験サービスを掲載できて良かったですね。
もちろん欧米出身の方だけでなく、世界各国からの体験申し込みがあります。
色々な国の方達と触れ合えることが一番うれしいことです。
どの国の方も歓迎したいと思っているので、どんな人たちでも楽しめるようなプログラムにしたいと思っています。
面白い内容なら場所は関係ない
桑原:どうやって「紙すき体験」の集客をしたんですか?
林さん:実は何もしてません。ただAirbnb Experienceに体験サービスを載せただけです。
載せた瞬間に申し込みがあって、それからどんどんレビューで広まったと思います。
欧米の方は日本に長期滞在する人が多く、しかもあんまり旅行プランを立てないみたいです。
だから割とフラッとやって来てくれて、気軽に体験を楽しんでくれるようです。
「今東京なんだけど、何時に出発すればいい?」って聞かれたこともありました(笑)
桑原:わざわざ東京から!? びっくりしますね。
林さん:他にも、Airbnb Experienceを通さずに、いきなりここに来て、「体験したいんだけど」って言う人もいますよ(笑)
私がいないときは、日本語しか話せない社員が身振り手振りで、紙すきの仕方を教えるんですが、それでも楽しんでくれるみたいです。
桑原:彼らの行動力はすごいですね! つまり言葉も場所も関係なくて、やはり楽しい体験サービスを提供することが大事なんですね。
林さん:そうですね。
やっぱり体験の中身が大事です。楽しんでもらえる内容で、旅行の思い出になる日本らしいことだとさらに良いですね。
あとは自分も楽しんでその体験サービスを提供できるような「自分らしさ」が体験内容に入っているともっと良いと思います。
桑原:「楽しさ」・「日本らしさ」・「自分らしさ」の3点が詰まった内容だと、海外の人にとって魅力的なんですね!
最後に今後の展望を教えてください。
林さん:私はもっと和紙に他の使い道があるんじゃないかと考えているんです。
例えば、「紙すき体験」を通して、ドミニカ共和国出身のデザイナーの方と知り合いました。
彼女が
「和紙を使って、部屋をリフォームしたらおもしろいんじゃない?」
と言ってくれて、実際に彼女と協力して、和紙のお部屋を作ったんです。
これは自分だけでは考えられなかったと思います。
このことはテレビ大阪に取材に来てもらえるくらい話題性がありました。
このように、体験サービスを提供することで、色々な人との出会いがあります。
そして彼らから様々なアイデアをもらえています。
海外の人からの目線で和紙を見てもらって、和紙の可能性をどんどん広げていきたいです。
桑原:和紙の可能性は無限大ですね。
貴重なお話をありがとうございました!
まとめ
ここ数年、たくさんの外国人観光客が日本を訪れてくれるようになりました。
コト消費のブームで体験コンテンツが増えつつありますが、その中でも人気になった林さんの体験プログラムは以下の点が素晴らしかったと思います。
・古き良き日本文化の歴史が伝わる内容である
・ストーリーのある内容である
・自分も楽しいと思えるような内容である
この3点が重要だということを林さんから学ぶことができました!
海外からの観光客の多くの人(特に欧米の方)は少し都心から離れていても、内容が魅力的ならば「その体験をしたい!」と足を運んでくれるようです。
伝統的なコンテンツ以外にも、Airbnb Experienceでは日本の日常を切り取ったような体験プログラムも人気だそうです。
(例: クラブ巡り体験、公園で早朝ヨガなどなど)
日本人にとって日常的なことでも、当たり前なことでも、何も気に留めないことでも、海外の方にとってはどれも新鮮に見えることでしょう。
そんな彼らの目線によって、新たなビジネスチャンスが見つかるかもしれません!
わたしも自分の知識や経験を活かしながら、地元・岐阜県に海外の方を呼ぶためのアイデアを考えてみたいと思います!
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