大阪では訪日客の19%が民泊を利用! Airbnbは民泊の仲介から旅の巨大プラットフォームへ!

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こんにちは。イロドリの福島です。
今年は全国的に桜の開花が遅いですね。
取引先の外資系企業でも、「せっかく日本に行くんだったら桜も見たい」と考える人が多く、この時期にうまくスケジュールを合わせて日本へ出張してくるスタッフが増えるらしいです。
しかし今年は日本に来たけどまだほとんど咲いておらず、結局桜を見れずに帰国したスタッフもいたそうです。

今年は日本で暮らしている私たちでさえ、お花見のタイミングが難しい状況なので、「桜を見るために日本へ旅行する日を決めることはかなり難しいことなんだなぁ」と改めて感じました。
今回残念ながら見れなかった方は、ぜひ来年リベンジしてほしいですね。

さて、先日大阪観光局は2016年度に関西国際空港で実施した訪日客アンケート調査結果を発表しました。
その調査によると、大阪府内に宿泊した訪日客の19%もの人が民泊を利用したとのことです。

訪日客の宿泊 19%が民泊使う 大阪府、16年度  :日本経済新聞
大阪観光局は28日、2016年度に関西国際空港で実施した訪日客アンケート調査結果を発表した。大阪府内で宿泊した施設のうち19%が旅行者を住宅の空室などに泊める民泊だった。人数は中国、韓国、台湾などアジアの客が多く、欧米客は比較的少なかった。

「民泊」が訪日客にここまで利用されているとは思っていなかったので、この数字には正直驚きました。

そして「民泊」といえば、仲介サービス最大手であるAirbnbを思い浮かべる人がほとんどだと思います。

そのAirbnbですが、昨年11月に新しいサービス「Trips(トリップ)」についてこのメディアで紹介しました。

Airbnbの新サービス「Trips」が日本のコト消費をさらに加速させる
こんにちは。イロドリの福島(@maxafuku)です。いよいよ2016年も残すところあと僅かとなってきました。あなたにとって今年はどんな1年でしたか?2017年は1月下旬に旧正月休みがスタートし、中華圏の国々から多くの観光客が来日します。2016年のうちに受け入れの準備は終わらせるようにしましょう!さて先日民泊の仲介サービス大手のAirbnbが宿泊の枠を越えた新しいサービス「Trips(トリップ)」を発表したのをご存知ですか?今回発表されたこの「Trips」というサービスは今後日本国内の体験サービスなどのいわゆる「コト消費」の市場を大...

そしてつい先日、この「Trips(トリップ)」の対象エリアが拡充され、東京に続き大阪でも “体験” が予約可能になりました。
すでに紙すき体験包丁研ぎ体験などユニークな体験プログラムが掲載されています。

Airbnbは2017年中に「Trips(トリップ)」の提供都市数を51まで増やす計画で、さらにサービスの幅を拡げていくようです。

民泊の仲介サービスとして成長してきたAirbnbはそのサービスの形を大きく変えようとしています。

そして、私は近い将来、Airbnbは世界的な旅行のプラットフォームになるだろうと考えています。

今後はより多くの外国人観光客がAirbnbを通してさまざまな予約を行い、日本に来るようになるでしょう。
そしてそれは訪日観光客だけではなく、世界的な動きになっていくはずです。

今回はなぜ私がそうなると考えるのか?
その5つの理由について書きたいと思います。

1. すでに多くの旅行者がAirbnbを使って宿泊している


日本では2015年あたりから徐々に知られるようになったAirbnbですが、まだ利用したことがないという人が多いと思います。
しかし、大阪観光局の発表にもあったとおり、世界ではすでにたくさんの人たちに利用されています。

累計1億5千万人以上が利用!全世界で300万件以上の物件が登録されている

Airbnbの累計利用者数はすでに1億5千万人を超え、世界191カ国、6万5000以上の都市でサービスが提供されています。
全世界で300万件以上の物件が登録されている世界最大の民泊仲介サービスの1つなのです。
出典 : Airbnb(エアビーアンドビー)で叶えるユニークな暮らし

そして昨年の大晦日には200万人以上の人がAirbnbを使って宿泊し、年越しをしたと発表されました。

ちなみに一昨年の大晦日の利用者は100万人だったので1年で利用者が2倍に増えたと捉えることもできます。

新年カウントダウンはここ!Airbnb 旅行先人気ランキング 100万人超が世界150カ国で新年を迎える見込み。<Airbnb Travel Report>|Airbnb Japan株式会社のプレスリリース

日本人の利用者数はまだ徐々に増えているといった状況ですが、海外ではすでに宿泊場所を手配する手段の1つとして多くの人がAirbnbを利用しており、今もどんどん利用者が増えています。

訪日外国人の10%以上がAirbnbを利用

そして世界的な利用者の増加は、日本を訪れる外国人に関する数字にも現れています。

2016年にAirbnbを利用した訪日外国人はのべ370万人。
2016年の年間訪日客数が2403万人なので、多少の重複を加味したとしても、全体の10%以上の人がAirbnbを利用したことになります。

エアビー、民泊新法に対応 営業日数超は非表示  :日本経済新聞
旅館業界の反発などで法整備が難航するなか、現実には訪日客などを中心に民泊の利用が広がっている。2016年に日本での宿泊で、エアビーアンドビーを使った訪日客の数は約370万人に達した。日本政府観光局によると、16年の訪日客は2400万人超。訪日客の1割以上が同社のサービスを使った可能性がある。

そして冒頭でも紹介したとおり、大阪観光局が行った調査によると大阪では訪日外国人の19%が民泊を利用したということです。

訪日客の宿泊 19%が民泊使う 大阪府、16年度  :日本経済新聞

この19%の人の中にAirbnbの利用者も多く含まれていると考えられます。

2. 日本でも新しい法案が閣議決定される

そして、今までは法整備が遅れていると指摘されていた民泊について、先日新しい法案が閣議決定されました。

民泊、全国で解禁 新法案を閣議決定  :日本経済新聞
政府は10日の閣議で、住宅の空き部屋に旅行者を有料で泊める民泊を全国で解禁する住宅宿泊事業法案(民泊新法案)を決めた。家主に都道府県への届け出、仲介業者に観光庁への登録を義務づけて、だれでも民泊事業を営めるようにする。年間営業日数の上限は180泊とし、地方自治体が条例で短くできる規定も盛り込んだ。

この法律が施行されることにより、民泊をはじめるための基準が明確になります。
地方自治体の条例で年間営業日数を短くしたりすることが出来るので、各地域の自治体の動きにも左右されますが、しっかりと制度が決まることで今後日本でも個人で民泊をはじめる人が増え、Airbnbにもたくさんの物件が登録されるでしょう。

Airbnbにもたくさんの物件が登録されることで、さらに利用者が増えることが予想されます。

3. 旅行者のニーズが多様化している


今後、日本を訪れる外国人観光客のニーズはどんどん多様化していくことが予想されます。

個人旅行客(FIT)の増加

その1つとして訪日外国人観光客の中で個人旅行客(FIT)が年々増えていることが挙げられます。

2016年に日本を訪れた外国人観光客2403万人のうち、個人旅行客(FIT)は約1778万人で全体の74%を占めました。

団体旅行では決められたルートを巡るのに対して、個人旅行では自分の行きたい場所に行くことができます。
「誰も行ったことがない場所に行ってみたい」「特別な体験がしてみたい」と考え、今まで旅行者が行かなかったような場所を訪れる人が今後さらに増えるでしょう。

また、2014年までは団体旅行比率が6割を超えていた中国人観光客も2016年はついに団体と個人の比率が逆転し、個人旅行客(FIT)の比率が約55%になりました。


また中国からの観光客を受け入れている旅行代理店の方の話によると、今年に入ってさらに中国人観光客の個人旅行客(FIT)の比率が上がっているのを体感しているとのことですので、今後も中国人観光客の個人旅行客(FIT)の比率は上がっていくと思われます。

このことからも今後日本を訪れる外国人観光客のニーズはさらに多様化していくことが予想されます。

4. 地方都市との提携もはじめる


Airbnbは世界各国の都市と提携を進めており、日本においても地方都市と提携が進んでいます。

その初めての事例が岩手県釜石市です。

Airbnb、釜石市と提携 民泊で地域活性化目指す:朝日新聞デジタル
民泊仲介大手の米Airbnb(エアビーアンドビー)は20日、岩手県釜石市との間で、農林漁業をしている家への民泊などで市内観光を促進し、地域を活性化させる覚書を結んだ。同社が国内の自治体と覚書を締結するのは初めて。

岩手県釜石市は2019年に開催されるラグビーワールドカップの会場の1つになっており、それに合わせて1万6千人が収容可能なスタジアムを整備するようです。

しかし、市内の既存の宿泊施設には1000人強しか宿泊できなく、このままでは釜石市を訪れる多くの人の宿泊場所がない状況になってしまいます。
釜石市はこの課題を解決するために、宿泊施設を新たに建設するのではなく、民泊を活用するという選択をしたのです。

2016年のリオ五輪でもAirbnbはオフィシャルサプライヤーとして8万5千人以上を受け入れた実績があります。

リオ五輪期間の民泊Airbnb利用者は8万5000人、ホスト収入は総額3000万ドル以上に | トラベルボイス

そして2018年に開催される平昌オリンピックでも開催地の江原道(カンウォンド)と提携をしました。

民泊Airbnbと韓国・江原道が提携、2018年冬季オリンピック開催で宿泊支援と観光促進など | トラベルボイス

このように急激なニーズの高まりにもAirbnbは対応することが可能なことから、色々な都市との提携が進んでいます。

5. 今後さらにサービスの幅が拡がる

Airbnbは、もともと宿泊の仲介をするサービスでした。
しかし昨年11月にTrips構想を発表し、旅行中の “体験” も仲介するようになりました。
その “体験” についてもすでに全世界で800件以上のプログラムが掲載されており、提供数や提供都市も順調に増えています。

米民泊エアビーアンドビー、日本で民泊以外のサービス提供を拡充 | ロイター

そして今後はさらに提供するサービスの幅を広げようとしています。
Airbnb上で航空券の手配、レンタカーの手配やレストランの予約までできるようにする構想があるようです。

Airbnb、アクティビティなど取扱領域を拡大、将来は航空券も | トラベルビジョン

それを見越してか? 航空会社との提携も進んでいます。

ジェットスター、民泊「Airbnb」と提携 公式サイトで予約が可能に | FlyTeam ニュース

このように、さまざまなニーズに応える宿泊場所の仲介に加えて航空券、現地での体験(アクティビティ)、レンタカー、レストランの予約とサービスの幅が拡がることで、Airbnbは民泊仲介サービスから巨大な旅のプラットフォームへと変化するのです。

ではAirbnbが巨大な旅のプラットフォームへと変化した場合、旅行はどう変化するのでしょうか?

旅のCtoC化が加速する

Airbnbはもともと「ユニークな旅がしたいと考える旅行者」と、そんな「旅行者に来てほしいと考えている泊まれる場所を持っている地元の人」の個人対個人(CtoC)を仲介するサービスです。
そして、その範囲が体験に拡がっても個人と個人(CtoC)という形は変わりません。

旅行をする際には旅行代理店に申し込みをし、ホテルや現地のアクティビティを手配してもらうという流れが少し前までは主流でした。
そして宿泊先やアクティビティも個人ではなく法人やそれに近い組織(いわゆるB)であり、旅行業界全体はBtoCという形が主流でした。

しかし、Airbnbの台頭により、旅行業界でもCtoC化が進んでいます。

そして、冒頭で紹介したとおり、Airbnbは「Trips(トリップ)」を拡充させ、旅全体を包括的に仲介する方向に向かっています。

この「Trips(トリップ)」が拡充され、多くの人が利用することで今後ますます旅行のCtoC化が進むと思われます。

今後は地域のコミュニティが重要になる

旅のCtoC化が進むと、旅行に関する多くの仕事が個人の手へと移っていきます。

宿泊場所は個人の自宅。
旅行中の体験を提供するのは個人。
街を案内するのは個人ガイド。
オススメの場所やお店を教えるのは地元に住む個人。

など、今まで法人が担っていた多くの仕事がAirbnbでは個人へと移ります。

ではそのような旅行者に自分たちのお店に来てもらったり、自分たちの商品を買ってもらうにはそうすれば良いのでしょうか?

もちろんSNSなどを活用した既存のPR手法でも効果を発揮するものはあると思います。

しかし一番重要なのはその地域に住む1人1人がしっかりと繋がったそのコミュニティを形成し、旅行者を受け入れる土壌を作るということではないでしょうか?

そこにはBもCもありません。
1人の人間として地域にしっかり関わることで、必然的にさまざまな繋がりが生まれます。
そして、その繋がり(コミュニティ)にさまざまな人が訪れるようになると私は考えます。

Airbnbも地域のコミュニティを重視しており、昨年12月には同社として世界で初めてのコミュニティハウスを奈良県の吉野町にOPENさせました。

Airbnb×日本の伝統「吉野杉」。歴史ある町に生まれた、新しいコミュニティハウス | ROOMIE(ルーミー)
2016年8月に開催された「HOUSE VISION 2」に登場した、Airbnbと世界的建築家・長谷川豪氏の協働で生まれた宿泊施設「吉野杉の家」。
展示後は奈良県吉野郡吉野町に実際に移築される計画で、12月6日についにオープンした。

この吉野杉の家は、吉野町の林業従事者が伐採した吉野杉を使い、吉野町の大工の手で建てられました。
そしてゲストをもてなす家のホスト役は、地域のコミュニティが担っています。
1階のリビングは、宿泊者のみならず、地域住民も集えるコミュニティスペースとなっていて、この家に宿泊する旅行客を地域住民がもてなし、交流を深めるという狙いがあるようです。

すでに多くの人に利用されていて、宿泊者のレビューも集まってきています。
興味がある方はぜひ予約して泊まってみてください。
YOSHINO CEDAR HOUSE 吉野杉の家

まとめ

いかがでしたでしょうか?
今回はAirbnbがどのようなサービスへと変わっていくのか?について考えてみました。
記事の中でも触れましたが、Airbnbはすでに多くの外国人観光客に利用されており、今後も利用者は増えていくでしょう。
だからと言ってホテルや旅館に泊まりたいというニーズがなくなるわけではありません。

しかし、旅行者のニーズが多様化してきているのをなんとなく感じている方も多いと思います。
その多様化してきている旅行者のニーズを先回りして捉え、サービスを拡大させていっているのがAirbnbなのです。

すでにAirbnbを利用している外国人観光客は、インバウンドを呼び込みたい人たちにとって無視できないレベルまで増加しつつあります。
インバウンドに取り組むのであれば、しっかりとこの時代の流れを理解し、自分たちの地域やビジネスとどう関わり合いを持っていくのかをしっかりと考えておく必要があるでしょう。

最後にAirbnbの共同創業者ジョー・ゲビアによるTEDのスピーチを紹介します。
これは私が数あるTEDのスピーチの中でも大好きなスピーチの1つです。
そのサービスの成り立ちから、彼らが何を目指しているのかが理解できると思います。
興味がある方はぜひご覧ください。

ジョー・ゲビア: Airbnbの成功の裏にある信頼のためのデザイン | TED Talk | TED.com
Airbnbの共同創業者ジョー・ゲビアは、家に泊まり合えるくらいに人は信頼し合えるという考えに会社の命運を賭けました。知らない人は危険という人々の持つ先入観はどうやって克服できたのでしょう? 優れたデザインによってです。1億2千3百万泊を経た今、ゲビアは孤立と分断の代わりにコミュニティと繋がりを育むデザインによって共有の文化を実現しようという夢へ乗り出しています。

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