本当にモノ消費からコト消費に変化してるの? 買い物額が高い5カ国を調べてみた

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こんにちは。
イロドリの今津です。

最近、外国人観光客のトレンドが買い物を楽しむ「モノ消費」から体験型の観光を重視する「コト消費」に変化しているという情報を耳にする機会が増えてきました。

実際、体験型のサービスを提供しているお店から話を聞いてみると、数年前に比べて外国人観光客の利用が急激に増えているとのことです。
このことからも体験型サービスを利用する人が増えていることは紛れもない事実ではないかと思います。
しかし、それは「モノ消費」から「コト消費」へのトレンドの移り変わりではなく、単に外国人観光客の数が増えているため、体験型の観光をする人も増えているということも考えられないでしょうか?

そこで、観光庁が発表したデータをもとに、2014年の買い物消費額が5万円以上の国に焦点を当て、2014年から2016年にかけて実際にモノ消費からコト消費へとトレンドが移っているのかを調べてみました。
※通年データが揃っていないため、2014年~2016年の1月~6月を比較しています。

2014年の買い物代ランキング

まずは2014年の買い物消費額ランキングを見てみましょう。

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ランキングを見ていくと1位から6位までをアジアの国々が上位を占めています。
その中でも「爆買い」が注目されている中国を見てみると、なんと14万円を超える金額を買い物に消費しています。
そして6位の香港までが5万円以上の消費をしています。

そこで今回の調査では買い物消費額からの移り変わりを見ていくため買い物消費額の多い国(5万以上を消費している国)を基準とし調べることにしました。

もし、これらの国の買い物消費額が2014年から2016年にかけて減少し、コト消費にかける消費額が増えていればトレンドが変わってきていると言えることになりますよね。
果たして結果はどうなるでしょうか? 1カ国ずつ見ていきましょう!

2014年から2016年でモノ消費とコト消費はどう変化した?

今回の調査では、モノ消費とは観光庁のデータ項目の中の「買い物代」、コト消費とは「娯楽サービス費」と仮定して調べました。

〈娯楽サービス費の内訳〉
●現地ツアー・観光ガイド
●ゴルフ場・テーマパーク
●舞台鑑賞・スポーツ観戦
●美術館・博物館・動物園・水族館
●スキーリフト・スキー用品レンタル
●その他娯楽サービス費

〈買い物代の内訳〉
●菓子類
●その他食料品・飲料・酒・たばこ
●カメラ・ビデオカメラ・時計
●電気製品
●化粧品・香水
●医薬品・健康グッズ・トイレタリー
●和服(着物)・民芸品
●服(和服以外)・かばん・靴
●マンガ・アニメ・キャラクター関連商品
●書籍・絵葉書・CD・DVD
●その他買物代

これだけ細かく分類されていますが、今回はモノ消費からコト消費のトレンドの移り変わりを調べるため「娯楽サービス費」と「買い物代」を一括りとして見ていきます。

また、「買い物代」と「娯楽サービス費」の購入比率と購入者単価を分析しながら見ていきます。
購入比率とは、アンケート対象者の内「買いました」と答えた人の比率を表しています。
購入者単価とは1人あたりがその項目の商品を購入した際の平均金額です。

それでは、各国のデータを見ていきたいと思います。
なおベトナムは回答数が少なく正確性が担保できないと判断したため、ベトナムを除く上位5ヶ国を調べました。

買い物消費額6位:香港

まずは2014年の買い物消費額ランキング6位の香港です。増加したのか減少したのかが一目で分かるように表の中で増加した年は黄色、減少した年は青色にしました。
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<購入比率>
娯楽サービス費は29.6%(2014年)→36.4%(2016年)と6.8%の伸びています。
2014年から2016年の買い物比率については微減となりました。

<購入者単価>
娯楽サービス費は2014年から2016年にかけて微減しています。
買い物代については2014年から2016年にかけて約1万円の増額となりました。

<ポイント>
なんと香港では娯楽サービス費に費やす金額が減り、買い物代が増えるという結果になりました。
もしかすると香港人の買い物意欲はまだまだ減っていないのかもしれません。
しかしコト消費をする人の数は増えているため、モノ消費をしつつもコト消費をする人も増えているということではないかと思います。

買い物消費額5位:シンガポール

続いて2014年の買い物消費額ランキング5位のシンガポールです。
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<購入比率>
娯楽サービス費は40.6%(2014年)→54.1%(2016年)と13.5%の伸びています。
また買い物代は97.6%(2014年)→99.3%(2016年)と1.9%伸びています。

<購入者単価>
娯楽サービス費を見てみると2014年から約5,000円消費額が増えています。
反面、買い物代は2014年から2016年にかけて約2万円減少しています。

<ポイント>
今回調べた国の中ではシンガポールの娯楽サービス費の購入比率が54.1%ともっとも高い結果になり、すでに半数以上の方がコト消費を体験していることが分かる結果になりました。
また、買い物代が2万円減り、娯楽サービス費が5,000円増えていることから、今まで買い物に使っていた消費がコト消費に回ったのではないかと推測できます。

買い物消費額4位:マレーシア

次は2014年の買い物消費額ランキング4位のマレーシアです。
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<購入比率>
娯楽サービス費は31.1%(2014年)→38.5%(2016年)と7.4%の伸びています。

<購入者単価>
娯楽サービス費は2014年から2016年にかけて約1300円増加しています。
買い物代は2014年から2016年にかけて約6400円減少しています。

<ポイント>
娯楽サービス費の購入比率を2015年と比較すると40.9%(2015年)→38.5%(2016年)と若干ですが減少しています。
マレーシア人のコト消費が落ち着いてきたのかどうかは、ここ数年のデータだけではまだまだ分からないので、今後の動きも注目して見ていく必要がありそうですね。

買い物消費額3位:タイ

次は2014年の買い物消費額ランキング3位のタイを見ていきます。

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<購入比率>
娯楽サービス費は28.4%(2014年)→34.6%(2016年)と6.2%増となり2年連続の伸びています。
買い物の比率は94.9%(2014年)→92.5%(2016年)と1.4%減少しています。

<購入者単価>
娯楽サービス費は2014年から2016年にかけて約2,000円上昇しています。
逆に買い物代は2014年から2016年にかけて約2万円減少しています。

<ポイント>
タイでは2014年から2016年にかけて買い物の購入比率も購入者単価も減っています。
しかし娯楽サービス費の比率は上昇しているためモノ消費からコト消費に移行してきているのかもしれません。

買い物消費額1位:中国

最後に2014年の買い物消費額が一番高かった中国のデータを紹介します。
※2位はベトナムですがアンケートの回答数が少なかったため今回のデータでは除外しています。
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<購入比率>
娯楽サービス費の購入比率は2年連続で上昇となりました。
購入比率を見てみると17.3%(2014年)→24.2%(2016年)と6.9%の伸びています。
買い物比率は若干の微増減はあるものの、99.8%(2014年)→99.5%(2015年)→99.6%(2016年)と高い数値で推移しています。

<購入者単価>
娯楽サービス費の購入者単価は2年連続で伸びています。
一方、買い物消費額は2014年から2015年は増加したものの2015年から2016年には減少しています。
しかしこれはコト消費との関連性ではなく中国政府の関税の引き上げや税関の取締が厳しくなったため、旅行者の購入品が高額品から日用品に移り変わっている可能性があります。

<ポイント>
中国人の娯楽サービス費にかける比率は24.2%と他の国と比較するとままだまだ少ないものの、2016年1月~6月の訪日中国人数が約307万人であったことを考えると、すでに約74万人の人たちがコト消費をしたと推測できます。
比率は低いものの訪日中国人の人数を考慮するとこれらも注目して見ていく必要があります。

現地通貨で見ると消費額は減っていない!?

さて、ここまで各国ごとのコト消費とモノ消費のデータをご紹介してきましたが、これはあくまでも日本円ベースでのデータです。

しかしトレンドの変化を正しく把握するためには日本円ではなく各国の現地通貨ベースでの推移を見る必要があります。

例えば、あなたがアメリカに旅行にいくとき、現地で使う予算を米ドルで考えますか? それとも日本円で考えますか?

すくなくとも私は日本円で予算を10万円までなどと決めて旅行をします。

おそらく多くの人はそうではないでしょうか。

同じように日本に訪れる外国人観光客も予算を自国の通貨で考えているはずです。

そこで日本円だけでなく現地通貨での消費額の推移を調べてみることにしました。

まずは各国の円に対する為替レートを見てみましょう。

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表示しているレートはIMF(国際通貨基金)から参照したデータの2014年~2016年の1月~6月の平均値となります。

現地通貨で見るコト消費

次に各国の娯楽サービス費の現地通貨での消費額を見ていきます。

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2015年から2016年にかけての消費額を見ていくと5ヶ国すべての娯楽サービス費が増えていることが分かります。
2014年から2016年の数字を見てみても香港を除く4ヶ国の消費額が増加しています。
このことからも現地通貨で見てもコト消費に費やす金額が年々増えていることが分かります。

現地通貨で見るモノ消費

次に各国の買い物代の消費額を現地通貨で見ていきます。
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特に注目したいのが中国の消費額です。

メディアでは2015年から2016年にかけての中国人の消費額が減ったことから、爆買いが終了したという報道をよく見るようになりました。

実際、日本円での消費額は161,912円(2015年)→141,194円(2016年)と約2万円減少しています。

しかし、中国人民元に換算すると8255元(2015年)→8255元(2016年)となり、なんと消費額は全然変わっていないのです。

つまり、中国人観光客の消費意欲はまだまだ衰えていないということが分かってきます。

これは物事を1つの方向しか見ずに判断をしていると「本当に何が起こっているかのかを正しく理解することはできない」という典型的な例と言えるでしょう。

視聴率やアクセス数が命のメディアにとっては短絡的に「ついに爆買いが終了した!」とインパクトを出した方が都合が良いのかもしれませんが、少なくともインバウンドビジネスに真剣に取り組む私たちは多面的な視点を持ち続けていきたいですよね。

もちろん、今後の動向にも引き続き注視することも重要です。
もし、あなたが社内で動向分析や戦略立案を求められた際などはぜひこの視点を参考にしていただければと思います。

コト消費の増加にはリピーターと個人旅行客の増加が関係している!?

最後に、今後コト消費をする人が増える理由として次の2つの要因が関係していると言われているので紹介したいと思います。

まずは1つ目の要因としてFIT(個人旅行客)の増加です。
今まで団体旅行のツアーに参加して旅行していた人たちが、ビザの規制緩和などにより個人旅行へと続々とシフトしています。
個人旅行が可能になったことで、旅行先での選択が自由になりコト消費をする人が増えていると考えられます。

そしてもう1つの理由がリピーターの増加です。
あなたもそうだと思うのですが、初めて行く国では、まず有名な観光地をメインで巡りませんか?
でも同じ国へ何度も訪れると、より現地ならではの新しい体験や経験(コト消費)をしてみたくなりますよね。

このような旅行スタイルの変化(個人旅行客やリピーターの増加)がコト消費に影響しているのではないかを実証するためにデータを紹介します。

まずはFIT(個人旅行客)比率見ていきます。

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2014年から2016年を比較をするとすべての国の比率が上昇しています。
またシンガポールや香港ではすでに90%近くの方が個人旅行で訪れているようです。

次にリピーター比率です。

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若干微減している年があるものの、2014年から2016年を比較すると全ての国の比率が増加していることが分かります。
そして香港ではリピーターが80%とかなり高い数字を記録しています。

次に各国の娯楽サービス費比率、個人旅行比率、リピーター比率の2014年から2016年の伸率を比較してみました。

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香港のリピーター比率以外、すべての項目で伸びていることが分かります。

ちなみに買い物費の伸率も同期比で見てました。

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するとシンガポール以外の国が2014年との比較では微減となりました。

これら伸率を見ていくと、個人旅行比率とリピーター比率の増加が「コト消費」に大きく影響していることが分かります。
このように旅行スタイルの変化とともに、今後も「コト消費」をする人たちがもっともっと増えていくことになるのではないかと思います。
そしてモノ消費については微減している国が多いものの、もっとも買い物消費額の高い中国を見てみると-0.2%とほぼ横ばいのため消費意欲はそこまで変わっていないということも言えます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回、調べて分かったことは以下のことです。

<購入比率>
・各国とも2014年から2016年の娯楽サービス費の比率が増加した。
・娯楽サービス費の伸率は2014年から2016年にかけてすべての国で5%以上を記録した。
・買い物の比率は各国とも2014年から比べて微増減しているものの以前高い数字で推移している。

<購入者単価>
・娯楽サービス費の購入単価は2014年と比較すると各国とも数千円ほど高くなった。
・買い物消費額は中国と香港を除いた国で2014年と比較すると数千円から2万円ほど減少した。

<現地通貨での消費額>
・2015年から2016年にかけてすべての国で娯楽サービスにかける金額が増加した。
・中国の買い物消費額が人民元で見ると減少していないことが分かった。

<個人旅行とリピーター比率>
・2014年との比較ではすべての国で増加した。
・個人旅行比率は2014年から2016年にかけてすべての国で10%以上の伸率を記録した。

このことからも
1.コト消費のニーズが増えてきている。
2.個人旅行とリピーターの増加がコト消費に影響している。
ということが分かりました。

「モノ消費」から「コト消費」へのトレンドの変化の移り変わりは確認できなかったものの、リピーターと個人旅行客の増加とともに「コト消費」をする人が増えているということが分かりました。
そして、モノ消費の代表国である中国においては消費額の変動は為替が大きく影響しているだけで消費意欲がまだまだ落ちていないようです。
そこから考えれることとして「モノ消費」から「コト消費」へのトレンドの変化ではなく、「モノ消費」プラスアルファ「コト消費」をするようになってきたということが言えそうです。

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