ピクトロンウェブプランニングの杉山(@pictron2009)です。
ウェブデザインを中心にプロモーションのコンサルティングや、アプリや様々なデザインの制作やディレクションを業務として行っています。
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関西のインバウンドプロモーションのセミナー会場で名刺交換しお話を伺ったことがきっかけでイロドリに寄稿する事になりました。
ウェブ業界は技術情報をセミナーやコミュニティで得ることも多く、私自身も時間がゆるせば参加するようにしています。
そういった場所で企業内のウェブ担当や制作会社のウェブデザイナー開発者などにしばしば相談されるのがサイトの多言語化の手法です。
日経が調査したあるアンケートでは外国人観光客の不満の1位に「外国語のサービス」が少ないと答えたそうです。
おもてなし「ニッポンのココが残念」 外国人100人に聞く:日本経済新聞
1位 外国語サービスが少ない
2位 無料Wi−Fiの整備が遅れている
3位 飲食店の食券システムがわからない
4位 飲食店で食べ方を教えてくれない
5位 現金しか使えない店が多い
ここでは「サービス」と汎用的な言葉になっていますが、2位に「無料Wi-Fiの整備が遅れている」が挙げられている事と合わせ見れば、1位のサービスがサインやメニューだけでなくウェブが入っていることも推して知るべしです。
観光客が街を歩く時に片手にあるのはスマートフォンやタブレットです。
当然ながらウェブ制作を担当する社内外のスタッフには他言語対応でマルチデバイス(スマホ、タブレット、ネットTV、PC)対応が要求定義に必須項目として入ってきます。
そこで今回はできるだけ効率的に多言語サイトを構築する上でオススメの手法を3つご紹介したいと思います。
スマートフォン最適化の重要性
と、その前にウェブサイトをスマートフォンで見やすいように最適化することの重要性についてお話したいと思います。
Googleは2015年4月に、以前からアナウンスしていたモバイルフレンドリーというウェブページの評価を開始しました。
これがどういう評価かと言いますと、モバイル(スマホ)でウェブサイトを閲覧した際に
・ボタン間隔がせまくて指で押しにくい
・文字が拡大しないと読めない
・画面サイズに適用したサイトがそもそもない
というような評価をページの重要度に反映するものです。
つまり、スマートフォン最適化されていないサイトはGoogleの検索結果の表示順位が下がってしまうということを意味しています。
さらにせっかくウェブサイトを見てもらえても「日本語で書かれていて読めない上にスマートフォン最適化もされていない」のであれば外国の方は見る気も無くしてしまうでしょう。
とは言え、このモバイルフレンドリーに推奨されるような技術的ルールを1つ1つ穴埋めしていくのは専門家でないと難しく予算のかかる作業でもあります。
ですが、オープンソースのCMSを使えばこのような推奨される構造、つまりベースの「型」を提供してくれるのでオススメです。
それではエンタープライズ規模のCMSではなく、一般的なウェブで他言語、マルチデバイスのサイトが作れるオープンソースのCMSを3つほど紹介します。
WordPress + Bogo
WordPressはご存知の方も多いたくさんのサイトで採用されているCMSです。
これはもともとブログを作成するCMSとして設計され、ブログのようにあるフォーマットの記事を分類したり整理したりしながらサイトを作っていくのに便利な管理方式です。
各ページのフォーマットがバラバラだったり、改装もカテゴリーごとに違うようなサイトは構築に少し苦労します。
WordPressはプラグインと言われる追加プログラムで機能を拡張することができます。
他言語化を行うためにはこのプラグインを追加するのが効率的です。
まずは無料で使えるBogoというプラグインを紹介したいと思います。
Bogoは、世界中で使われているフォーム生成のプラグインContact Form 7を開発した日本人プログラマの方が開発されたプラグインです。WordPressで開発者の履歴を確認する事はスムーズな開発の重要はステップです。
このプラグインの特徴は、
・各ページを言語ごとにペアリングできる
・言語切り替えメニューも自動生成してくれる
・投稿や固定ページそれぞれに言語切り替えを行い別の言語の対訳ページを作る構造を提供してくれる
といったことが挙げられます。
ただメニューの切り替えや共通部分のテーマ開発に関してはWordPressをPHPで開発するスキルが前提のプラグインとなります。
プラグインは無料が希望で、ある程度WordPressのテーマ開発に経験のある方は試してみてください。
■参考サイト
食育ずかん
http://shokuiku-zukan.com/
WordPress + WPML
次にWPMLという有料(29$-195$)のプラグインを紹介したいと思います。
WPMLは有料だけにBogoと同じ対訳ページのペアリングや言語切り替えメニューの自動切り替えに加え、
・ヘッダーやフッダーの切り替え
・ページ内の記事以外の単語の言語に関するペアリング
などが可能になります。
言語に関するペアリングとはサイト内に「ニュース」という単語が出てくると英語版では「News」フランス語版では「nouvelles」と自動的に置換するという機能です。記事部分以外のボタンやナビゲーションに使えます。
他にも様々な機能が提供されますのでオフィシャルサイトを確認してください。
WordPressのテーマ開発の経験も必要ですが、どちらかというと大規模なサイトでより威力を発揮するような機能が豊富です。
■参考サイト
日本語会議通訳者協会
http://www.japan-interpreters.org/
concrete5
最後にconcrete5というCMSを是非紹介したいと思います。
concrete5は最近行ったメジャーバージョンアップで多言語機能を標準で実装したオープンソースのCMSです。
このCMSはページのペアリングはもちろん、コンテンツをページ単位ではなく、文章でいえばパラグラフや画像などの各要素単位で管理するので対訳ページが同じ構成でなくても問題ありません。
例えば日本語ページと英語ページで補足説明や不要なコンテンツで著しくボリュームが異なるような構成でもかまいません。
またWordPressは個人のブログを作成するCMSとして端を発したCMSだけに決してアドバンテージがあるとは言えない権限管理が標準機能で実装されている事も評価できるポイントです。
例えば管理者だけでしか表示しない段階で精査し、責任者が公開するというようなワークフローも実装できます。
これを多言語サイトのワークフローで考えると、あるページや、ページの一部のパラグラフを翻訳依頼し、翻訳者にはその部分だけの編集権限を持たせます。
管理者が翻訳結果を認証して、公開します。
これらのワークフローをサイト上のCMSだけで実現が可能になり、メールのやりとりや他のグループウェアでの作業フローなどが軽減されます。
制作する過程でコンテンツ制作のワークフローを分割したり、言語毎のコンテンツを自由にフォーマットを変えたりしたい方は試してみてください。
■参考サイト
猪野工業株式会社
http://www.inokougyo.co.jp/
まとめ
閲覧者に対し伝えたい事をスピーディーに効率よく、そしてどのようなデバイスにもわかりやすく見やすく作ることが、これからのウェブサイトの要求定義として求められと言えるでしょう。
まずは「誰に対してどんな情報を届けたいのか」を明確にすることで、あなたにとって最適な構築方法を見つけることができるはずです。
もしサイトの多言語化やマルチデバイス対応で質問や相談があればお気軽にお問い合わせください。
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