イロドリの小林です。
インバウンドはモノ消費からコト消費へ
これは最近メディアでよく使われているフレーズで、外国人観光客が爆買いをはじめとする「買い物」から文化や自然を楽しむ「体験」へと興味が移り変わっているということを表したものです。
そしてその「コト消費の最前線にいる」と言っても過言ではないのが今回インタビュー協力いただいた日本殺陣道協会の八木さんです。
八木 哲夫(ヤギ テツオ)東京で生まれ育ち定年までマスコミ業界で活躍。
定年を迎えた後に「日本殺陣道協会」を設立し、日本人向けに殺陣教室を開講する。
ここ数年で外国人からの人気が一気に高まり団体客から個人客まで客足が絶えない状態が続いている。
八木さんは数えきれないほどメディアに取り上げられているため、特に関西圏の方はご存知の方も多いかもしれません。
それもそのはず。
何と言っても八木さんが提供されている「殺陣教室」は2015年だけでも33カ国から1,440人の人が訪れた超人気のサービスだからです。
しかも広告宣伝費は1円も使っていないというのだから驚きです。
そんな中で私が他のメディアと同様に「殺陣教室」の人気ぶりを改めて紹介しても面白味に欠けてしまうでしょう。
そこで今回のインタビューではもっともっと深い部分を掘り下げて皆さんにお伝えできればと思います。
・八木さんとは一体どんな考え方の人なのか?
・八木さんの中での殺陣とは何なのか?
・なぜ八木さんは殺陣教室をやろうと思ったのか?
・殺陣教室が外国人観光客からこれだけの人気を集めた秘密は何なのか?
など、八木さんの人生に焦点を当ててこれまでの経緯を見て行くことでインバウンド集客だけに留まらず、「人にサービスを提供する立場」として大切にすべきことが見えて来ます。
それでは早速本編をどうぞ!
人手も給料も減らされて大変でしたよ
小林: 八木さん、本日はよろしくお願いします。
八木: こちらこそよろしくお願いします。
小林: そう言えば八木さんって元々は東京の方なんですよね?
八木: そうそう。東京生まれですよ。
小林: なるほど。今から色々とお話を伺っていきますが、東京から今の大阪での活動にどう繋がって来るのか楽しみです。
八木: そう?そんな大層な話はないよ(笑)
小林: いやいや、面白いお話が伺えそうなニオイがプンプンしてます(笑)ではまず初めに東京時代のことを教えていただけますか?
八木:僕は東京で育って中央大学まで行ってね。それで在学中に「アルバイトしよう!」と思って探してたらTBSを見つけて。と言ってもマスコミに興味があったんじゃなくてバイト代が一番高かったってだけなんだけど(笑)
小林: えっ、じゃあ別にTBSで働きたかった訳ではなかったってことですか?
八木: うん、全然(笑)そんな軽い気持ちでバイトし始めたんだけど、当時は人手が少なかったんですよ。だからラジオのニュースからテレビの取材まで何でもやらなくちゃいけなくて。
小林: へー!学生なのに凄いですね。
八木: その当時は何とも思ってなかったけどね(笑)それで大学を卒業するのと同時期に千葉テレビができるって話を聞いて。私の親は千葉に住んでいたこともあって千葉テレビに入社したんですよ。
小林: そうなんですね。
八木: ところが出来たばっかりの会社だから業界経験者がほとんどいなくて…。だから僕はまだハタチそこそこだったけど番組の企画をして取材もして原稿も書いて編集もして放送する…要は全部やってたんです。さらに新人教育もしながら。
小林: それは大変ですね…。
八木: でも、カミさんが「東京に住みたい」って言うんで仕方なく転職することにしたんですよ。
小林: そうなんですか(笑)
八木: その時にちょうどTBSが「東放学園」という学校を作るところだったんです。だからそこの立ち上げメンバーに入ってアナウンサーやカメラマンの養成をしてたんですよ。
小林: その当時の八木さんの経験を考えるとピッタリの仕事ですね。
八木: ところが最初の2年は全然上手くいかなくてね。私がというより会社がね。いくらTBSとは言え学校を作っただけで生徒が入って来る訳ではないですから。生徒が少ないから人手も給料も減らされて大変でしたよ(笑)
小林: えっ、そうだったんですか。
八木: うん。それで、いよいよ働き手が3人まで減ってしまった時についに“神風”が吹いてね。
小林: 神風!?
八木: うん。あちこちで新しくテレビ局ができるって話になってね。その影響で働き手が全国的に足りないっていう状態になったんですよ。そしたら大学生が大学を辞めてウチに入学してくるくらいの状態になって。その頃に入って来た生徒の中には堤幸彦とかもいたんですよ。
小林: えー!そうなんですか!
八木: うん、そんな彼らを3つくらいしか歳の変わらない僕が「先生」とか呼ばれながら教えてたんだから面白いよね(笑)
小林: 確かに(笑)
八木: 別に年齢を隠してた訳じゃないけど生徒に知られた時は「え!先生、俺と3つしか歳変わらないの!?」とか言われてね(笑)とにかくそこから数年でまさに急成長したんです。生徒が5人しかいなかったのが突然1,000人とかになる訳だからね。
小林: それは相当忙しそうですね…。
八木: いや、そりゃあもう…。移転はするし毎年のように新しい学校を作るし。家に帰る時間もないから職場の近くにマンションを借りて土日だけ自宅に帰るみたいな生活でしたよ。まさに仕事人間でしたね。
小林: 聞いているだけで壮絶な日々だったということが分かります。
たくさんの授業の中の1つにあったのが「殺陣」だったんです
小林: それから大阪にはいつ来られたんですか?
八木: まだまだだいぶ後ですよ(笑)だって私が大阪に来たのは2004年だから。
小林: あっ!そうなんですね!?
八木: うん。実は2000年に「東放学園高等専修学校」という高校を作ったんですよ。私はこの時すでに役員だったので会社に提案をしてね。それまでは専門学校しかなかったんで、もっと若い世代からちゃんと育成をするべきだと思ったんです。
小林: 八木さんが作られたんですか!?
八木: うん、ありがたいことにトップが私のことを可愛がってくれててね。「君の好きなようにやって良い」って言ってくれたんで新宿の一等地に作ったんですよ。
小林: なるほど。その時の八木さんは50歳くらいですか?
八木: うん、そうだねぇ。それで幸い高校も大成功してね。そろそろ定年を迎えるという頃に「この高校を全国的に作って行こう」という話になったんですよ。それで「じゃあ、八木くん。君がやっていってくれ。」と言われて(笑)
小林: また大役ですね(笑)
八木: そう。そこから「仙台が良いかな?福岡が良いかな?」と出張しながら場所を探していたら、ある時の理事会でトップから「八木くん、大阪が良いよ」って言われて(笑)
小林: それで大阪に来ることになるんですね?
八木: そうそう。それで2004年に「東放エンターテイメントスクール」を作って、それを2006年に「東放エンターテイメント高等学院」としてね。ここのテーマはエンターテイメントだから役者や芸能人になりたい人たちを育成することが目的だったんですよ。
小林: なるほど。
八木: だからダンスやらボーカルレッスンやらタップダンスやらたくさんの授業があったんだけど、その中の1つにあったのが「殺陣」だったんですよ。
小林: なるほど!ここで殺陣に繋がるんですね!
八木: そうそう。さらにその殺陣教室を一般の方向けにも開放してね。そしたらすごい人気になっちゃって。しかも生徒のほとんどが女性だったからマスコミも飛び付いて。「いま女性が夢中になっている殺陣道教室とは!?」みたいな感じで全部の局が取り上げてくれましたよ。
小林: へー!すごいですね!その時は何名くらい生徒がいらっしゃったんですか?
八木: あの時で100人くらいはいたんじゃないかなぁ。
小林: その頃はもちろん全員日本人ですよね?
八木: うん、もちろん日本人ですよ。外国人は1人もいなかったんじゃないかなぁ。
カミさんは犬嫌いだから連れて帰れないしね(笑)
小林: それで2010年に殺陣道協会を作られたと。
八木: そうです。そのタイミングで定年だったんで、普通だったら東京に帰ってのんびり暮らすんでしょうけどね。いろいろ考えてたら「大阪を離れたくないな」って思っちゃった(笑)
小林: そうなんですか(笑)それはなぜなんでしょう?
八木:何だろう?フィーリングか合ったんだろうねぇ。
小林: なるほど。
八木: それで殺陣道教室も人気だったんで「大阪で殺陣道協会を作ろう」と思ったのが今に繋がってるんです。
小林: なるほど!これですべて繋がりました!でも奥さんは「東京に帰りたい!」って仰らなかったんですか?
八木: ハハハ!これは先に言っとくべきだったね。実は僕はもう長らくカミさんとは離れて暮らしてるんですよ。と言っても別に夫婦仲が悪いとか離婚危機とかそんなんじゃないよ?お互い自由が好きなタイプっていうだけで。
小林: え!そうなんですか!?すごいことを笑顔でサラッと言われるんでリアクションを取り損ねましたよ(笑)
八木: あっ、そう?笑 それに今「チクワ」っていう名前のチワワを飼ってるんだけどカミさんは犬嫌いだから連れて帰れないしね(笑)
小林: 八木さん、ツッコミどころが多すぎて正直僕は困惑してます(笑)ワンちゃんの名前については後日ゆっくりお話を伺うとして東京へ行かれた時はさすがに奥さんには連絡されるんですよね?笑
八木: うーん、する時もあればしない時もあるかな。例えば海外から帰って来た時に電話して「今成田に着いた」って言っても「だから何?」って言われたこともあるしね(笑)
小林: えっ(笑)
八木: 「仕事で東京へ行くから帰るよ」って言っても「え?ホテルでも良いじゃない。」とか言われたりね(笑)でももう昔から家にもろくに帰らずに仕事ばっかりしてたし、カミさんも自由人だからさ。
小林: 超越した夫婦関係ですね(笑)
八木: まぁ、子供はみんなとっくに自立したしお互い余生を自由気ままにね。
小林: なるほど。それにしてもすごいですよ(笑)
まとめ
日本殺陣道協会の会長である八木さんのインタビュー前編をお届けしましたがいかがでしたでしょうか?
前編では八木さんが殺陣教室を開くまでの道のりについてのお話を伺いました。
さらには奥様とも普通では考えられない関係を築かれている点も八木さんならではだと感じました。
そして後編では「その殺陣教室がなぜ外国人からの人気をこれだけ集めているのか?」「八木さんのこれからの展望とは?」といった秘密に迫って行きたいと思います。
後編はこちら。
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