本気で体験サービス提供するならココへ行け! 観光素材工房の交流会に参加してきた

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イロドリの小林です。

昨今、インバウンド業界で一番注目されているキーワードのひとつと言えば「体験」ではないでしょうか?

ご存じない方のためにカンタンに説明すると、かつてはアジア圏の観光客を中心に日本旅行の主目的が「買い物」だったのが、FIT(個人旅行客)やリピーターの増加の影響もあり、主目的が「体験」へとシフトしているというものです。

その流れもあって、最近はユニークな体験サービスが話題になる機会も増えてきました。

そういったサービスを通して海外の人たちにいろんな角度から「日本」を見て・聞いて・知ってもらえるのはとても喜ばしいことだと思います。

ところが、体験サービスの提供をスタートした人に共通する「あるあるネタ」があります。

それは「体験サービスはできたけど、どうやってこのサービスの存在を知ってもらったら良いんだ……?」という悩みです。

もしかするとこれを読んでいるあなたもそんな1人ではないでしょうか?

大阪(または関西圏)で体験サービスを提供している方にとっては、これから紹介する「観光素材工房」には課題解決の糸口があるかもしれません。

ではその「観光素材工房」とは一体何なのでしょうか?

観光素材工房の事務局長を務められている礒田真さんにたっぷりと話を伺い、2017年1月25日(水)に観光素材工房が主催する交流会にも参加させてもらったので、レポートと合わせてお送りしたいと思います。

関西で体験サービスを提供されている方にとっては必見の内容です!

「観光素材工房」って何ですか?

さて、まずは「観光素材工房」について詳細を知っておきたいと思ったので、交流会の数日前に事務局長を務める礒田真さんにお話を伺いました。

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礒田 真
旅行会社の株式会社博文舎で取締役でありながら観光素材工房の事務局長を務める。
旅行事業ではインバウンド、アウトバウンド(海外旅行)、イントラバウンド(国内旅行)の企画全般を担当。
また、会社の枠を越えて観光をテーマにした新規事業開発や自治体との連携など日本の観光産業を盛り上げるための活動に取り組んでいる。
小林
礒田さん、今日はお時間いただきありがとうございます。まずは「観光素材工房」についてカンタンに教えていただけますか?
礒田氏
はい。観光素材工房は一言で表すなら「日本に魅力的な観光スポットや商品を創るためのコミュニティ」です。主な活動としては今回開催する交流会をはじめ、成功事例の共有やコンテンツ企画、コラボレーションのマッチング、そして企画商品の販売までを行っています。
小林
販売まで! サービスはできても出口が見えずに苦労している人も多いので販売支援までしてもらえるというのは大きな魅力ですね。販売は具体的にどうやって?
礒田氏
販売はまだまだこれから強化していく予定なのですが、観光素材工房の事務局には旅行会社の人間が何人かメンバー入りしているので、海外や日本の旅行会社に対してコンテンツを売り込んだり提案したりしています。
小林
なるほど、旅行会社の人であればそこは最大の強みですね! ちなみに観光素材工房はどういう人たちが運営しているんですか?
礒田氏
今は観光関連産業従事者の有志が集まって運営しています。なので、観光素材工房だけを専門に動いている人は1人もいません。
小林
そうなんですね。つまり「新しい観光スポットや商品を創りたい」と思っている方々が集まっているということですか?
礒田氏
はい。今は事務局のメンバーを中心に、あとは参加者の方々に協力いただきながら運営しています。

なぜ「観光素材工房」を立ち上げたんですか?

小林
続いてお聞きしたいのが、なぜ本業をお持ちの方々が会社や業種を越えて観光素材工房を立ち上げようと思われたのでしょうか?
礒田氏
はい。それはすごくシンプルな理由なんですが、「大阪に体験コンテンツがまったくないから」です。
小林
体験コンテンツがまったくない?
礒田氏
そうです。ここは思い違いをされている人が多いのですが、大阪には体験コンテンツが全然ないんですよ。ここ数年大阪には外国人観光客が急増し、さらに「時代はコト消費!」と言われているのでみんな何となく「大阪には体験コンテンツがたくさんある」と思い込みがちですよね?
小林
確かにそうかもしれないですね。
礒田氏
ところが全然ないんですよ。私も旅行会社という立場上、常に新しい提案をしたいので日々ネタ集めをしているんですね。それこそ「コト消費」という言葉が出るずっと前から会う人会う人に「なにか面白い体験コンテンツないですか?」と聞くようにしてたんですが、まったく出てこないんです。
小林
なるほど。大阪はナイトライフが弱いのは有名ですが、日中でも同じなんですね。
礒田氏
そうなんです。でも、2015年くらいまではそれでも良かったんですよ。お客さんや現地の旅行会社も「大阪は買い物の街」くらいの認識だったので。実際に当時は私が現地の旅行会社に体験コンテンツを提案してもまったく取り合ってもらえなかったですからね(笑)
小林
そうなんですか(笑)
礒田氏
でも、私の中では「体験コンテンツが求められる日が来る」とずっと思っていました。それは旅行会社として日本人の旅行スタイルの変化を目の当たりにして来たので同業の人間なら誰でも分かることです。ところが現地の旅行会社に体験コンテンツを何度提案しても通らない……。そしてある日そのジレンマに耐えきれなくなって「足りないお金はウチが負担するから体験コンテンツを1回スケジュールに入れさせてくれ!」って頼んだんです。
小林
えー! 自費で!?
礒田氏
そうです(笑) 不安もありましたけど「体験してもらえば絶対に喜んでもらえるはず」という自信もありました。そして「阿波踊りを見たり一緒に踊れる居酒屋」と「寿司職人体験」にお連れしたんです。
小林
それでどうなったんですか?
礒田氏
そうしたら予想通りみんな大喜びでした。旅行後のアンケートでも「この2つがダントツに面白かった」という回答ばかりだったそうです。
小林
礒田さんの思惑通りですね!
礒田氏
「ほら見ろ!」と思いましたね(笑) そのフィードバックを見て現地の旅行会社も気づいたんでしょう。「他にも何か良いコンテンツはないの?」という流れになってきた訳です。
小林
でも、ない…‥と。
礒田氏
そうです。提案したくてもコンテンツはない。それに大阪の人たちは何となく「大阪にはたくさん体験コンテンツがあるだろう」と思っているのでなかなか積極的にコンテンツ作りをする人が出てこなかったんです。
小林
なるほど。そこにギャップを感じられたんですね。そしてその課題を解決しようと?
礒田氏
そうです。ただ、自分ひとりでは解決方法が分からなかったのですが、話してみると周りの旅行会社や観光業界の人たちも同じことを感じていることが分かったんですよ。
小林
それで観光素材工房を立ち上げることになったんですね。
礒田氏
はい。そしてまずは「みなさんが思っている以上に体験コンテンツはないんですよ」ということを理解してもらうこと。そして「魅力のある体験コンテンツを創ること」の2つを主目的にしようという話になりました。
小林
それが観光素材工房の根底なんですね。
礒田氏
そうなんです。それに事務局のメンバーには私を含めて旅行会社の人間がいるので良いコンテンツであれば国内外の旅行会社に売り込めますからね。今後は他の旅行会社との連携強化や展示会への出展、体験コンテンツの紹介サイトの構築なんかも考えています。
小林
なるほど! とても分かりやすい説明をありがとうございました!

交流会ではどんなことをやっているんですか?

小林
それでは続いて数日後に開催される交流会について教えてください。交流会は何回目になるんですか?
礒田氏
今回で4回目ですね。
小林
なるほど。ちなみにどんな方が参加されるんでしょうか?
礒田氏
現時点では基本的に「コンテンツを持っている人」「箱を持っている人」のどちらかになります。
小林
お互いのニーズがマッチする人たちが集まっているんですね! コラボとかも起きやすそうですね。
礒田氏
そうなんです。実際すでに参加者さん同士でコラボしている人もいますからね。そういう事例をどんどん作っていきたいんです。
小林
なるほど。では、「コンテンツを持っている人」「箱を持っている人」であれば基本的には誰でも参加できるのでしょうか?
礒田氏
そうですね。基本的にはそんな方であればウェルカムです。
小林
ちなみに参加者はどうやって集めているんですか?
礒田氏
観光素材工房のホームページ上でも案内は掲載しているんですが、特に拡散もさせていないので今は来てもらいたい人にピンポイントで声をかけて「ほぼ人力」で集めています。
小林
人力なんですか! でも確か今回の参加予定者って40名とかじゃなかったでしたっけ?
礒田氏
そうです(笑) でも今回は会場の定員が40名なので参加者数もそれに合わせているだけで会場次第ではもっと増えますよ。
小林
そうなんですね! クローズドでそれだけ集められているイベントってなかなかないんじゃないですか? それだけ参加者の方々からすると「求めているモノがある場所」ということなんでしょうね。
礒田氏
いえいえ、まだそんな大層なレベルじゃないですよ。これからは新しい人たちにもどんどん参加してもらわないといけないですし、旅行会社との繋がりも深めて出口戦略を強化していかないと単なる集まりになっちゃいますからね。
小林
たしかに「単なる常連が集う場所」になっている会もたくさんありますもんね(笑) そういう意味では礒田さんはじめ事務局の方々の想いや可能性が伝わっているということじゃないでしょうか?
礒田氏
どうなんでしょう。そうであってくれたら本当に嬉しいですけどね。どちらにしろまだまだこれからなので、できる限りのことをやって行こうと思ってます。
小林
今後の動向に注目ですね! では交流会も楽しみにしています!

観光素材工房の交流会に参加してきました!

そして1月25日(水)、19時から大阪ビジネスパークのツイン21 MIDタワー内にある「OBP アカデミア」で開催された観光素材工房の第4回研究会に私も参加してきました。

この日の大まかなプログラムは以下の2つでした。

1. 観光コンテンツのプレゼンテーション
2. 交流タイム

さて、どんな人たちがどんな情報共有や交流をしたのか?

カンタンにご紹介したいと思います。

プレゼンテーターが三者三様で面白い!

今回は3名の観光コンテンツをお持ちの方によるプレゼンテーションがありました。

<株式会社まなれぼ 時任啓佑氏>
まずは今回の会場でもあるOBPアカデミアを運営する「株式会社まなれぼ」の時任氏によるプレゼンテーションです。

OBPアカデミアは「大人に必要な“サードプレイス(第3の居場所)”」をコンセプトに、コワーキングスペースやカフェ、交流スペースやセミナーなどを提供している施設です。

OBPアカデミアがある大阪ビジネスパークは、ビジネス街でありながら大阪城が見えるという立地の特徴を活かし、「文化」と「ビジネス」をテーマに、さまざまなコラボセミナーや講座、交流会を実施しているそうです。

そして、その数は2015年10月のオープン以降400回以上実施しているというのですから驚きです。

その他にもOBP全体の活性化のために、さまざまな自治体や企業と次々にコラボレーションした事例が紹介されました。

<株式会社桃山社中 桃山きよ志氏>
続いてのプレゼンターは“神式冠婚葬祭コンサルティング”という誰もが思わず「何それ!?」と驚くようなサービスを提供している株式会社桃山社中の桃山氏によるプレゼンテーションです。

1994年、神道家の7代目を継承された桃山さんは型にはまらない斬新な発想で、開運・幸福祈願神社「願いの宮」を開宮されたり、冠婚葬祭神式セレモニー、イベントやセミナーの開催など次々と驚きのサービスを展開してきたそうです。

また、最近ではインバウンド向けに「巫女体験」や「LGBT結婚式」なども手がけているそうです。

さらに今後は新しい宮の建築や宿坊ホテルの建築など2020年を目処に次々と施策を打っていくとのこと。

プレゼンテーション後に「その斬新な発想はどこから出てくるんですか?」と聞くと「何でしょうね。「やりたい!」と閃いちゃうんですよね。それからすぐ動くので最初はスタッフも抵抗があったみたいですが、最近はすっかり慣れてくれたみたいです(笑)」と笑顔で語ってくれました(笑)

また、宿坊ホテルはインバウンド狙いかと思ったのですが、桃山さんは「近所の人に来てほしい」と言います。

理由を聞くと「ちょっと疲れやストレスが溜まったと感じたときにリフレッシュするために来てもらえるような場所になりたいんです。それが今の日本人に必要なことだと思っているので」と、胸に秘めた熱い想いを語ってくださいました。

<株式会社デザインポケット 倉橋幸子氏>
そして最後のプレゼンターは株式会社デザインポケットの倉橋氏でした。

難波の道具屋筋商店街で食品サンプルショップや制作体験を提供している「デザインポケット」は、テレビでもよく取り上げられているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか?

また、倉橋さんのスゴいところはサンプル職人の高齢化が進み、職人不足が深刻化している現状を打破するために日本食品サンプル普及協会なるものを立ち上げ、食品サンプル職人の養成スクールを開講してしまう実行力にあります。

また、「せっかく職人になれても職にできなければ意味がない」ということで、職人デビュー後はデザインポケットが運営するショップで積極的に作品を販売するという、まさにWin-Winの関係ができあがっているのが素晴らしいです。

また、体験サービスとしては食品サンプル制作だけでなく、

・提灯職人体験
・寿司職人体験
・和菓子職人体験
・看板製作体験
・グラスアート体験

など、「道具屋筋商店街しか提供できない体験サービス」を次々と展開していくなど、着実に国内外の観光客を獲得していっているようです。

また、実績のあるプレーヤーだからこそ知っているインバウンド対応の「成功あるある」と「失敗あるある」も共有してくれました。

例えば成功あるあるでは「英語圏の国の人であれば相手の名前を漢字にしてあげると喜ばれる」、失敗あるあるでは「ムスリムの人には例え食品サンプルでも食材の説明をしないといけない」など、リアルな経験に基づいた情報共有は参加者の方々にとっても学びが多かったようです。

交流タイムも大盛り上がり!

3名のプレゼンテーションが終わると、いよいよ交流タイムです。

事務局長の礒田氏が話されていたように、参加者は「コンテンツを持っている人」「箱を持っている人」が中心なので、とても会話が盛り上がっているのが印象的でした。

実際に参加者の方に話を伺ってみると、「ちょうど団体客を受けるための箱を探してたので助かりました」や「面白いコンテンツを持っている方がたくさんいるので、何かコラボできないか考えてみます」といったポジティブな感想をたくさん聞くことができました。

【結論】大阪で体験コンテンツやるなら観光素材工房へ行こう!

今回は観光素材工房の取り組みについて事務局長を務める礒田氏に話を伺い、さらに交流会に参加させてもらいました。

そこで感じた率直な感想としては「大阪で体験コンテンツを提供しているor提供したい人は観光素材工房に参加してみた方が良い」ということでした。

その理由をカンタンにまとめると、以下の5つかなと思っています。

Point1: 「体験コンテンツだけ」をテーマに継続的な活動をしている会はないから
私が知っている限り「インバウンド」や「観光」をテーマにした会はありますが、一貫して「体験コンテンツ」をテーマにしている会は他に見たことがありません。

Point2: スピーカーさんから学びを得られるから
これも「体験コンテンツ」というテーマなので同業の人は学びが多いはずです。

Point3: 共感できる人、もしくはニーズがマッチする人とピンポイントで交流できるから
これもテーマが「体験コンテンツ」なので交流会でよくある「名刺交換をして話し込んでみたけどお互いまったくの畑違いだった」という機会損失を防ぐことができます。

Point4: 無料or良心的な価格で参加できるから
観光素材工房を本業にしている人がいないため、費用は無料もしくは会場費を参加者で割った程度の価格で参加できるそうです。

Point5: 出口戦略まで考えられているから
事務局メンバーに旅行会社の人が入っているのはかなり心強いと思います。特に団体客を取りたい場合は送客しやすいポイントなどのアドバイスも受けられるため、より市場ニーズとマッチしたコンテンツ作りをすることができます。

体験コンテンツに限らず、観光コンテンツにおいて大切なことは「点ではなく面で勝負する」ということです。

例えばどれだけ優れたコンテンツを作り上げたとしても、観光ルート上でなければ団体客の集客は見込めませんし、FIT(個人旅行)でも「わざわざそこまで行く理由」が作れなくてはなかなか足を運んでもらえません。

だからこそ、地域や周りの人たちと協力し合って面としてアピールしていくことが求められます。

インバウンドビジネスの大成功事例とも言えるドン・キホーテですら「自社の努力だけではどうにもならない」と考え、周囲の飲食店などと連携して“街の魅力”を伝え続けたことで今の成功があるというのは有名な話です。

そう考えたときに、「体験コンテンツに携わる人たちが繋がれる場所」はとても貴重な場だと感じました。

もし体験コンテンツを提供しているor提供したいと考えている人は一度「観光素材工房」へ行ってみてはいかがでしょうか?

ちなみに次回の交流会は3月22日に開催するそうなので、観光素材工房のホームページをチェックしてみてください。

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