【シュさんに学ぶ台湾シリーズ第3弾】台湾人にとってのインフルエンサー(KOL)の重要性とは

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イロドリの小林です。

今回も弊社の台湾人スタッフのシュの情報をもとに台湾についての知識を一緒に深めていきましょう。

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朱 冠蓁(シュ カンシン)
台湾の台中市出身。
2015年7月から日本に住み、現在は日本語学校で勉強をしながらイロドリでライターとして活躍中。
好奇心旺盛な性格なため、すでにイロドリスタッフより日本の魅力や観光地、イベントを知っているという噂すらある。
彼女のインタビュー記事も公開中!
「なぜ福原愛ちゃんの結婚会見はあんなに緊張感がありますか!?」台湾人インターン生のシュさんが驚いた日本人とのギャップとは <前編>
「なぜ日本はそんなに悪口のレパートリーが少ないですか!?」台湾人インターン生のシュさんが驚いた日本人とのギャップとは <後編>

さて、今回のテーマは「インフルエンサー」です。
また、「インフルエンサー」以外にも「KOL」なんていう表現をする場合もあります。

最近はこの言葉をよくネット上でも見かけるようになったのでご存じの方も多いかもしれませんが、「カタカナや英語で分かりにくいよ! もっと分かりやすく教えて!」という人も多いかと思います。

インフルエンサーやKOL(Key Opinon Leader)を一言でカンタンに説明すれば「影響力のある人のこと」だと思っていただければOKです。

一番分かりやすいのが芸能人ですね。

今だとマツコ・デラックスさんなんかスゴい影響力を持っていますよね。
一説によるとマツコさんの「うまい」という言葉には8億円以上の経済効果があるとかないとか(笑)

たった一言で8億円とか規格外すぎますね ^^;

その他にも各業界で影響力のある人っていますよね。
その人が商品やお店の情報を発信したら瞬く間に注文やアクセス、来店が殺到したなんていう話も珍しくありません。

そんなインフルエンサーやKOLですが、台湾ではどんな人たちがいるのかご存じでしょうか?

また、台湾のインフルエンサーやKOLとはどんな存在なのでしょうか?
※これより先は表記を「インフルエンサー」に統一してお届けします。

今回から複数回に分けて台湾のインフルエンサー事情について深掘りしてお届けしていきたいと思います。

日本とちょっと違う台湾のインフルエンサー事情

日本と台湾の「芸能人」が持つ影響力の違い

日本のインフルエンサーと言えば真っ先に思い浮かぶのが冒頭で例に出したような「芸能人(や有名人)」だと思います。

特に今のようにSNSがなかった時代はそれが顕著でした。
とにかく人気のある芸能人や有名人を起用して大々的に宣伝をすれば大きな広告効果を得ることができたからです。

ブログやSNSが普及した今ではジャンルによっては芸能人より一般人の方が影響力を持っていることも珍しくありませんが、それでも芸能人や有名人が持つ影響力はいまだに絶大です。

しかし、台湾では少し事情が変わります。
なぜなら台湾ではそもそも日本に比べて「自国の芸能人」が少ないからです。

日本では当たりまえのように無料で見れる地上波放送があるため、ほとんどの家庭ではテレビを見るときは地上波放送を見ていると思います。
ケーブルテレビやWOWOW、スカパーを契約している家庭は少数派ではないでしょうか。

ところが台湾ではほとんどの家庭でケーブルテレビに加入しているため、日本に比べて国内の地上波放送を見る機会が極端に少ないのです。
※ただし、世界的に見れば日本のテレビ文化が特殊だということも同時に理解しておく必要があります。

2004年にNHK ONLINEで掲載された少し古いデータですが、「台湾のケーブルテレビの普及率は85%まで達している」とあります。

台湾の地上局は普及率が85%にまで達したケーブルテレビに広告市場を奪われ、テレビ広告の収入に占める地上局(公共テレビを除く4局)のシェアは1993年の90%以上から今では28%にまで落ち込んでいます。
出典:NHK放送文化研究所

弊社台湾人スタッフのシュも物心ついた頃からテレビは100チャンネル以上あるのが普通だったそうです。
つまり「家で海外の映画やドラマ、スポーツ中継やニュースを見れるのは当たりまえ」という感覚なのです。

日本人の私たちからすると「いっぱいチャンネル見れて羨ましいなぁ」と感じますよね?
しかし台湾では視聴者が海外コンテンツばかり消費してしまうようになり、国内のテレビ市場が縮小してしまいました。
※同時に民法の放送局が作るコンテンツレベルへの不満もあるそうです

それによって「台湾人の芸能人の需要がさらに減少した」というのが実情のようです。

その影響もあって日本企業が台湾でCMを打つ際に日本の芸能人が出演しているのはごく普通のことで、韓国企業であれば同じく韓国の芸能人が出ているのが普通だと言います。

これがよく分かるのが花王が台湾で展開した「ソフィーナ プリマヴィスタ」の台湾人専用の商品です。
この商品は「台湾人だけのために作られた商品」にも関わらず商品HPを見るとイメージモデルを務めるのは佐々木希さんです。

「それって日本でも佐々木希さんなんじゃないの?」と思いますが、実は日本で「ソフィーナ プリマヴィスタ」のCMに起用されているイメージモデルは石原さとみさんや菅野美穂さんです。

このことから「台湾人のために作った商品であってもCMにわざわざ日本の芸能人を起用した」こと、そして「花王は日本の芸能人を起用した方が広告効果が高いと判断した」という背景が見えてきます。

つまり、日本のように必ずしも「影響力がある人 = テレビに出ている台湾人」ではないということです。

シュ
私も「台湾で影響力のある芸能人は誰?」と聞かれてもパッと出てくるのは2人くらいしかいません……。特に今の若い世代はそれが顕著なんです。ソフィーナのCMには佐々木希さんと一緒に台湾の芸能人が2人出ていましたけど、名前も知らないくらいです……。

旅行に関するインフルエンサー

ところがこれが「旅行」というカテゴリーだと少し事情が変わってきます。

化粧品などであれば日本の芸能人が効果的ですが、旅行となるとさすがに外国人に「私たちの国へ来てください!」と言われても効果は限定的になってきます。
なぜなら言葉の壁や文化の違いがあるからです。

「佐々木希さんが言うなら日本へ行ってみたい!」と思う人はいたとしても「言葉がまったく分からなくても大丈夫そうだ!」とはなりませんよね。

そこで一気に価値が高まってくるものがあります。

それが「台湾人が実際に行って良かったと感じた情報」です。

むしろこの領域は情報発信者が有名かどうかは二の次になってきます。
それよりも「行きたい!」「見たい!」「食べたい!」のような興味関心をいかに高めれてくれるか、または「この情報があれば安心して旅行できそうだ」「旅行中のトラブルもこの情報のおかげで助かった」というようなお役立ち度の方が重要だからです。

日本ではよく日本の芸能人による旅番組がやっていますが、台湾には自国の芸能人が少ない分、日本よりも「台湾人 × 実体験をもとにした情報」の重要性が高いということになります。

「人はなぜ旅行するのか?」が分かれば見えるインフルエンサーの存在感の大きさ

ここで旅行におけるインフルエンサーの存在がいかに重要かを見ていきましょう。

以下は私なりに作った「人が旅行する時のマトリックス図」です。

縦軸は「旅行がしたい」という気持ちの強さ、横軸は「この国へ行きたい」という気持ちの強さになっています。

例えば右上の“夢の旅行”であれば「あの国(例えばフランス)を旅行したい!」という状態です。
むしろ旅行するのであれば、その国以外は考えられない状態とも言えるでしょう。

そして左上の“旅気分”は「この国! っていうのは決まっていないけど旅行がしたい」という状態です。
例えば「リゾート地でも行ってゆっくりしたいなぁ」みたいに考えている時などがこの状態になります。

そして右下の“一途”は「実際に行くことは考えていないけどこの国が好き!」という状態です。
例えば「北欧雑貨が大好き! だけど実際にその国まで行くことは考えてなかった」という人も多いでしょう。

そして残った左下の“日常生活”は特に旅行したいとも思っておらず、興味のある国もない状態です。

さて、ここで大前提として理解しておくべきことがあります。
それは“日常生活”から“夢の旅行”へジャンプすることはないということです。

「旅行もしなくない。興味のある国もない」という人が突然「俺の夢はフランス旅行なんだ!」と言い出すことは考えにくいですよね。

つまり、以下のように“日常生活”から“旅気分”もしくは“一途”になるか、“旅気分”や“一途”から“夢の旅行”になるということです。

では、その気持ちの変化はどのように起こっているのでしょうか?

その要因のひとつが「台湾人インフルエンサー」の存在になります。

シュ
台湾にいると日常的に海外の情報が流れてきます。もちろん日本だけでなく韓国やアメリカなどさまざまな情報がたくさんあります。そこでたまたま見た「日本の情報」に興味を持って「この機会に日本へ行ってみようかな〜」とか「久々に日本へ行こうかな〜」と思う人が多いんですよ〜!

タイプ別に見るインフルエンサーの役割

さて、続いてはインフルエンサーのタイプとその役割について見ていきましょう。

台湾のインフルエンサーを大まかなタイプに分けると、

<台湾人インフルエンサーのタイプ>
1. SNSタイプ(主にFacebookやInstagram)
2. YouTuberタイプ
3. ブロガータイプ
4. メディアタイプ

の4つに分けることができます。

もちろんブログとSNSをやっている人もいますし、YouTuberでSNSを活用している人もいるので基本は混合型になります。
なので、このタイプはあくまでも「主に活躍しているフィールドはどこなのか?」という視点で考えていただければと思います。

ちなみに4の「メディア型インフルエンサー」は複数人のライターが情報発信をしていることがほとんどで、特定の人というよりもメディア全体で影響力を持っているケースが多いです。
そのため厳密には「インフルエンサー」とは言えないかもしれません。

そして、このようにタイプを分けて考えると各タイプごとに役割が異なっていることが分かってきます。

「自分のビジネスや商品を台湾人に上手く伝えるためには」というマーケティング視点で考える時にはここが重要になるので覚えておいてください。

「旅マエ」のさらにマエ

よく訪日外国人観光客の行動について「旅マエ」「旅ナカ」「旅アト」という表現が使われますよね。

しかし、インフルエンサーの役割を理解する上では「旅マエ」のさらに前段階について考えることも重要になってきます。

なぜなら先ほどのマトリックス図の“日常生活”の人たちを“旅気分”や“一途”に引き上げてくれている大きな存在がインフルエンサーだからです。

つまり「日常生活から旅行することを決め、実際に旅行をして帰国するまで」は以下のような流れであることが分かります。

そして、それぞれのインフルエンサーがもっとも影響力を発揮するタイミングも異なってきます。

例えばSNSタイプは日常生活でSNSをしているときに「たまたま見る」というパターンが多いので、「日常生活→旅マエ」のステージで影響力を発揮します。

特に台湾は一時期「Facebookの利用率世界一」を誇っていたほどのSNS好きですので、SNSで興味関心が高まることはごく自然な流れと言えます。

Youtuberタイプは「台湾と日本の文化の違い」などSNSでシェアされやすいコンテンツ作りをする傾向にあるため、SNSタイプと似たステージで影響力を発揮します。

また、ブロガーは配信している情報が「旅行に役立つ情報」の比率が高い傾向にあるため、日常生活よりも「旅行に行くことが決まってから調べたときに情報に触れる」というケースの方が多くなります。
現にブロガーが持つアクセスの多くはGoogleなどの検索エンジン経由なのがその証拠と言えるでしょう。

4のメディア型インフルエンサーも「大阪で絶対に行くべきスポット10選」のような記事も多いので、多少ブロガーと似た要素を持っていると言えるでしょう。

それらをまとめると各インフルエンサーがもっとも影響力を発揮するタイミングは以下のようになると考えられます。

さらに各インフルエンサーのファンや読者層も人によってまったく異なるため、マーケティング視点で見れば「誰に」「どのように」情報を発信してもらうのかによって得られる効果も大きく変わってきます。

近年ではインフルエンサーを招待して情報発信してもらう「ファムトリップ」なる施策が増えて来ていますが、招待する側が「インフルエンサーで影響力があるはずだから」という依存的な考え方で実施してしまうと期待していた効果が得られない可能性もあります。

まずは各インフルエンサーの立ち位置を俯瞰して捉え、その上で自分のステージやフェーズに合ったインフルエンサーに情報発信してもらうことで効果を最大化していきたいところです。
インフルエンサーにも得意分野や活躍しやすいフィールドがあるので、お互いがWin−Winになるような関係を築ければベストだと思います。

また、もちろんその前段階ではそもそも興味を持ってもらえるような観光資源を創り上げておくことが大切になるので、日本に住む留学生や外国人の力を借りながら自分だけの魅力をしっかり磨き上げておきましょう。

まとめ

さて、今回は台湾におけるインフルエンサーやKOLの役割や影響力について紹介しました。

冒頭でも書きましたが、日本では芸能人や有名人が持つ影響力がとてつもなく大きいため、それと同じ物差しで考えがちです。

しかし、それが世界の常識ではないことも理解しておかなくてはいけません。

例えばシンガポールに住んでビジネスをしている知人は「シンガポールは公用語が英語ということもあり、自国ならではのメディアやエンターテイメント、コンテンツが日本に比べて圧倒的に少ない」と言っていました。

まずはそういった国ごとの特性を把握することが大切になってきます。

また、インフルエンサーに情報発信してもらう、いわゆる「インフルエンサー・マーケティング」が注目されていますが、それもあくまでも手段のひとつです。

しかし、「インフルエンサーに情報発信してもらうこと」がゴールになり、手段が目的化してしまっている事例もたくさん見ます。

まずは自分のビジネスを客観的に見つめ、「誰に」「どのように」情報が伝わっていくことがPR効果を最大化できるのか考えてみましょう。

それが自分主導で設計できるようになれば、この考え方は台湾人インフルエンサーだけでなく、他国のインフルエンサーや日本国内のインフルエンサーのPR施策でも応用できるでしょう。

次回は台湾のSNS型インフルエンサーはどんな人がいるのかご紹介できればと思います。

その他のシュさんに学ぶ台湾シリーズはこちらでまとめています。

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