台湾人旅行客が思わず買いたくなる、販促広告と店頭POPの作り方

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初めまして、台湾からのインバウンド向け広告販促を手掛けております、ビビアン・ジュンです。

この度、ゲストライターとしてイロドリさんへ記事寄稿させていただくことになりました。

私は台湾人の父と日本人の母の間に生まれ、15歳まで台湾の台北に住んでおりました。

あなたは台湾にどんなイメージをお持ちでしょうか?

今でこそ台湾も“都会”と言われるような街も増えましたが、私が住んでいた当時の台湾は、Taipei101もなければ、地下鉄も工事中で完成のめどが見えないような状態でした。

Taipei101(左)と地下鉄(右)

小学生の頃に、日本のSOGO百貨店が初めて台北に進出し、祖母と一緒にドキドキしながら、台湾人で埋め尽くされた日系の百貨店に足を運んだのを今でも印象的に覚えています。当時から、台湾の人々は日本の商品を高く評価し、買い物を楽しんでいました。私もSOGOで買ってもらったサンリオのけろけろけろっぴの筆箱を、自慢気に学校へ持って行ってたのが懐かしい思い出です。

日本に移住後、大学でデザインを学んだ後、イギリスでマーケティング修士号を取り、その後、広告制作会社で流通小売業向けの販促企画に長年携わってきました。チラシや店頭POPの見せ方ひとつで、小売店の売り上げは、大きく変わることを肌で実感してきました。「特売でない商品でも、ちょっと店頭POPを変えただけで、売上が普段の5倍近く上がった」「チラシの見せ方を変えたら来店客数が前年より増えた」というような事例は数多くあります。そして、私はそれをデザインの視点から分析することを得意としており、今もクライアントの売上アップのお手伝いをしております。

さて、最近街を歩いていると、訪日外国人を相手にしたチラシやリーフレットを目にする機会がますます増えてきましたね。

英語を始め、中国語や韓国語に翻訳したものなど、頑張って「おもてなし」をしようという想いが伝わってきます。

しかし、残念なことに、中国語の制作物を台湾人の立場になって見ると、なぜか伝わりにくい仕上がりになっている媒体が少なくありません。

ではなぜ、せっかく書いたコトバが伝わらないのでしょうか?

例えば台湾人向けの広告を台湾人の目線になって見てみると、それは「日本語の翻訳」になっていて、「台湾人の心に響くコトバ」になっていないからです。

せっかくの「お得な情報」も、「文章の羅列」に変換されただけだと、台湾人にはその「お得感」が伝わらないため、購入はおろか、手に取ってもらえないことすらあるのです。

一生懸命作った広告も、相手に伝わらないまま終わっているのは、非常に残念です。

では、どのように製作すれば、台湾人の心に響く販促広告をうてるのでしょうか?
実はそれはデザインではなく企画の段階で決まっていると言っても過言ではないのです。
そこで今回は台湾人に響く販促広告を作り上げるうえで、企画からデザインの工程で
「抑えておくべきポイント」をお伝えしたいと思います。

最初に知っておきたい3つの失敗例

台湾人に伝えたい想いや情報が正確に届かず、来店率や購買率が下がってしまい、結果的に売上げの損失に繋がっている失敗例は、大きく分けて3つあります。まずはそのパターンを知っておくことで、「大きな失敗」を回避することができます。

1.複数言語併記の落とし穴

最初に、一番よくありがちな失敗例が、
「一つのチラシや冊子で複数の翻訳言語を羅列してしまう」ことです。

確かに、限られた予算の中で、最大限のパフォーマンスを上げたい気持ちはわかります。

しかし、自分が海外に行ったときに、日本語の翻訳が一部に併記されたリーフットと、日本語版のリーフレットを手にしたとき、どちらをきちんと読まれますか?

もちろん、日本語版のほうだと思います。

とりわけ、その媒体の目的が取り扱いなどの説明文ではなく、「集客や販売促進を目的」としたものであれば、なおさら、各国の言語版を制作することをお勧めします。

さらに、各国の言語版で制作することで、集客数や売上のアップが見込めると同時に、キャンペーン終了後には、配布数やクーポンの利用数などを計測することで、

・企画内容に問題があったのか
・ターゲット設定に問題があったのか
・媒体に問題があったのか

を分けて分析することができるため、正しい効果検証がしやすくなり、次の企画にも生かすことができます。

2.誰のためにもならない翻訳

二番目の失敗例は、
「日本語をただ翻訳する」ことです。

単純に商品やサービスの説明が目的であれば問題はないのですが、目的が「お店に来てほしい」「イベントに参加してほしい」などといった相手の心を動かしたい場合は、ただ翻訳するだけでは十分に伝わらないうえ、最後まで読んでもらえない可能性が高くなります。その結果、せっかくの企画も、盛り上がりに欠けてしまいます。

例えば、台湾人なら、台湾人にしか伝わらない言葉やフレーズがあります。
それを表現することで、初めてそのお店に行ってみよう、商品を手に取ってみよう、という気持ちにさせられるのです。

3.惹かれないデザイン

三番目によくみかける失敗例は、

「デザインに惹かれない」ことです。

これは、翻訳を併記している媒体や、とりあえず翻訳を載せて宣伝している広告によく見かけます。

ターゲットが多いため、デザインに個性がなくなり、結果的にあいまいな広告になってしまっている場合が多いのです。

人種やお国柄によって、惹かれるイラストや色使い、文字の大きさなどは異なります。こうした嗜好を細かく取り入れることで、媒体の反応率も大きく向上します。

ここまでお読みいただき、勘の良い方であればすでにお気づきかもしれません。

販促広告や店頭POPで効果を出すために大切なのは「どんな媒体やPOPを作るか」ではなく、「いかにターゲットに刺さる企画を作って、それを媒体やPOPまで落とし込めるか」ということです。

私は台湾で生まれ育ったということもあるので、今回はその経験から「台湾人をターゲットにした場合の刺さる企画づくりのヒント」と「デザインへの落とし込むためのヒント」をご紹介したいと思います。

それではまずは企画編です。

すぐに企画に取り入れられる! 台湾人が好む4つのヒント

1.Buy one get one free (買一送一) 一つ買うと、一つプレゼント

実際は2つ買うと50%OFFになるセールですが、台湾では超定番の販促手法です。日本では少し馴染みのない販促手法なので、取り入れるのに悩む方も多いかもしれません。例えば、日本だとドミノ・ピザが持ち帰り限定で一枚買うと一枚無料というBuy one get one freeという販促を打ち出しています。 定価で2つ買えるという「お得感」に惹かれるのでしょう。
台湾の街中の小売店では、かなり高い頻度でこのセールPOPを見かける事ができます。

台湾のセブンイレブンのインナー商品のチラシ

台湾大手流通が販売しているドリンクのPOP

もちろん、2個以上買って1個おまけもありです!

2.懸賞プレゼント

特定の商品や一定金額以上お買い上げで1口応募できる、懸賞キャンペーン。
百貨店や小売店でよく企画されている台湾人好みの販促の一つです。
景品はその時に流行っている商品や豪華旅行などを取り入れたものが人気です。
また、中国語には「碰運氣 pèng yùn qì 」という運を試すという言葉があるように、運試しが好きな国民です。日本でもお正月にはおみくじを引いて、新年の運勢を試す風習がありますが、台湾ではお正月にスクラッチの宝くじを家族そろって買い、新年の運試しをされるのをよく見かけます。このように、台湾人は運だめしが好きなので、景品に応募をして、運を気軽に試したいのかもしれません。

日焼け止めクリームを買うと、ハワイ往復切符が当たるスクラッチキャンペーン

台湾郵便局の「一番美しいと思う切手を選んで豪華プレゼントが当たる」懸賞キャンペーン

3.限定セール

季節の祭事やお正月、結婚式や祭りなどのおめでたい日によく使われる販促手法です。
「お正月限定」や「週末限定セール」など、今が買い時!という「お値打ち感」を打ち出すことが大切です。また、曜日奉仕にも似た、曜日毎にお得感を打ち出す企画も、定番化しています。

ティードリンク店、水巷茶弄の旧正月期間限定セール。割引セールとお年玉用のポチ袋をプレゼントする企画

台湾の居酒屋店森野。曜日毎にお値打ちのメニューを打ち出し、平日の来店訴求を図る。

4.ノベルティ

台湾人はおまけ好き。
おやつからバッグまで、おまけを付けてお得感を訴求する販促手法です。しかし、ポイントは、なんでもいい訳ではありません。ブランドロイヤリティが高く、商品との相乗効果が得られるものが喜ばれます。例えば、台湾人の私の父は一時期、ビジネス雑誌を年間購読していました。その頃、来日する度に違うキャリーバッグを持っており、なぜそんなにバッグを変えるのかと聞くと、すべて雑誌の年間購読料のおまけでもらったものだ、とのことでした。ビジネスマンにとって、キャリーバッグは、出張の際にあると助かるアイテムなので、ビジネス雑誌のおまけとしては、理にかなっていると言えるでしょう。

台湾ハーゲンダッツのノベルティにカップマット。ハーゲンダッツのパッケージデザインとイメージを合わせた女性好みのものになっています。

ショッピングセンター台茂。来店の際、ポイントカードと購入レシート800元分を提示すると、「五穀のビスケット」一袋がもらえる特典。

このようなヒントから、台湾人が思わず反応してしまいそうな企画を練ったら、次はそれをチラシや冊子、POPに落とし込んでいきます。

すぐにデザインに取り入れられる! 台湾人が好む5つのヒント

1.色

台湾人に好まれるのは、やはり赤色です。
日本のチラシはお買い得感を出すために随所にハンコの朱赤のような色(印刷用語で「金赤」と言います)を使いがちですが、台湾では同じ赤でも、少しピンクがかった赤色やレンガ色がかかった赤をよく使います。台湾では赤は、「吉祥」を表し、縁起がいい色として好まれているからでしょう。

店名に「紅」という文字があるだけに、広告も全面に朱色を使用

吉野家(左)もピンク色のチラシを制作し、ローカライズしているのがわかります。

2.文字記号(ボポモフォbopomofo)

中国語の文字は、大きく分けて2種類あります。中国本土で使われている簡体字と、台湾、香港で使われている繁体字です。さらに、台湾では小学生が繁体字を覚えるのに、台湾独特の「注音符号」という発音記号を用いて、文字の発音(読み方)を学びます。

台湾ではとりわけ若者向けにPOPやコピーの文末に、漢字を使わず、あえてこの「注音符号」を文章の末に「~だよね」や「~ね」の意味あいで使うことで、親近感やユーモアを表します。
これは、台湾人にしか伝わらないので、インパクトは大です。

例えばこれは豆花という豆腐で作ったスイーツの広告です。

中国語だと「dòu huā(豆花)」と発音するのですが、その頭文字である「D H」が書かれています。
例えば日本でも最近は「卵かけご飯」を「TKG」と言ったり、「バーベキュー」を「BBQ」と言ったりしますよね。
それと似たような感覚だと思ってもらえれば分かりやすいかと思います。

3.四字熟語

漢字文化なので、やはり四字熟語をもじった表現は好まれます。
その中でも、運がUPするイメージをもじった四字熟語は、よく使われています。
「招財進寶」「好事成双」などなど。熟語でなくても、4文字でひとつの事柄を表現するのが中国語特有の表現かもしれません。また、文字の発音を疑似って、当て字を使うことも多いです。

4.角が丸い字体

日本のセール広告では、力強さを表現するのにゴシック体、高級感を表すのに明朝体と、使い分けが目的によって明確な場合が多いです。一方で、台湾人は、セール広告やPOPでも様々なフォントを使用します。その中でも特徴的なのが、文字に丸みを帯びたもの使うことが好きです。漢字のもつ硬さを和らげる効果があり、親近感や値ごろ感を表すからでしょうか。

5.日本語の「の」

台湾人が親日であるのは、東日本大震災の時の台湾人の寄付金額からでも創造できます。そして、最近は台湾の広告でも、日本語を使っているのがしばしば見受けられます。もっともポピュラーなのが、日本語の助詞「の」を使った広告です。中国語の「的」と同意なので、「的」の代わりに「の」が使われています。説明をするよりも、例を見ていただくほうが、納得していただけるかと思います。

日本でも店舗展開している、台湾のティ専門店、貢茶のクーポン付チラシ

洗顔料の店頭POP

上記以外に、媒体の制作にあたって、分かりやすい写真を掲載する、地名表記する際は台湾人がガイドブックなどで見たことのある地名にするなど、企画やビジネスに合わせた基本的な配慮は不可欠です。このように台湾人だけをターゲットにしたモノをしっかり作り込めれば、それだけ反応率UPが期待できます。なので、多少制作コストが上がっても、売上UPやSNS拡散にも繋がることで十分に回収できる可能性もあります。

また、例え期待通りの反応が取れなかったとしても「それなら企画が悪かったのかもしれない」「時期が悪かったのかもしれない」など、問題点をハッキリさせることができるため、PDCAサイクルを正しく回すことができるようになります。

まとめ

これまで、台湾人の買いたいスイッチを押す販促広告の手法と見せ方を紹介しました。
すでに自店に台湾からの観光客が来ているけれど、どのように売り上げにつなげたらいいかわからない、もしくは、これから台湾人の観光客を誘致し、売り上げを上げたい方にお伝えしたいポイントをまとめました。

まず、リーフレットやチラシでやってはいけない3大NG

1.一つのチラシや冊子で複数の翻訳言語を羅列してしまうこと
2.ただ、日本語を翻訳しただけのもの
3.ターゲットの国に合わせた紙面デザインがされていない

それらを踏まえたうえで、台湾人が好む販促とデザインを的確に広告やキャンペーンに取り入れましょう。

販促においては、台湾人の気質にあった、定番のBuy one get one free(買一送一)セールをはじめ、懸賞キャンペーンや限定セール、ノベルティがおすすめです。
そして、これらの企画目的が、きちんと台湾人に受けるデザインに仕上がっていることが大切になります。
色や文字、フォントなど、台湾人が好むデザインを的確に表現することがポイントです。

台湾人は親日でも有名ですが、本当に日本の製品をはじめ、風土や文化に関心が高いです。すでに台湾でも、日本文化はかなり浸透しております。
ゆえに、彼らが日本に旅行に来る目的は、日本文化をどっぷり満喫したいのではなく、気軽にリラックスして、日本を楽しみたいのです。そのニーズに応える為にも、台湾になじみのあるサービスを提供することが、真の「おもてなし」といえるのではないでしょうか。

インバウンド集客において大切なのは「日本人だけで考えないこと」です。

なぜならお客さまは海外の人であり、文化風習も日本とはまったく違うからです。

より確実にPACAサイクルを回して販促広告効果を最大化するためにも、ぜひターゲット国の視点を取り入れてみてください。

私は15歳まで台湾に住んでいた経験から、台湾人の視点は持っているつもりです。

もし、台湾人をターゲットにした効果的な企画や広告づくりでお手伝いできることがありましたら、こちらまで気軽にお問い合わせくださいませ。
※基本的には関西限定とさせていただきます。

j glocal communication design
ビビアン・ジュン
e-mail: info@jglocdesign.com

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