イロドリの小林です。
今回の記事を書くにあたり、内容の前に私の頭を悩ませたことがありました。
それは、「この和菓子の名前を何と表記するか?」です。
今川焼き? 大判焼き? 回転焼き? それとも別の名前?
あなたの街での呼び名は何でしょうか?
日本全国各地で名称が違いすぎて、なかなか「これだ!」と決めることができません(笑)
【参考リンク】
関東人「今川焼き」 関西人&九州人「回転焼き」 北海道「おやきだろ」 兵庫人「御座候だよね」 『えっ』 – Jタウンネット
全国集計の結果、最も支持を集めたのは「大判焼き」で369票(24.9%)だった。「今川焼き」が313票(21.1%)で2位となり、3位が「回転焼き」で285票(19.2%)、4位が「御座候」で159票(10.7%)と続いた。
上記の記事によると、どうやら「今川焼き」「大判焼き」「回転焼き」が定番スリートップのようです。
そこで、キーワードの検索トレンドを調べられるGoogle トレンドで、3つの単語を比較してみました。
これによって「回転焼き」が脱落することが分かりました。
関西では主流の「回転焼き」が……(泣)
弊社は大阪の企業なので「回転焼き」を推したい気持ちは山々ですが、読者は日本全国におられるわけですから、そこはアッサリと手放すことにしました。
弊社はあくまでも読者ファーストの姿勢を貫きます。
すると、残るは「今川焼き」と「大判焼き」なのですが、アンケートでも検索トレンドでも、なかなかのデッドヒートです。
そこで詳しく調べて見ると、最初は「今川焼き」という名前だったのが、全国に広まる際に「大判焼き」という名前になったという経緯があるようです。
そこで、本記事では以下の2種類の表記を使い分けたいと思います。
【本記事内での表記パターン】
1. 今川焼き
2. 今川焼き(大判焼き)
もし違和感を感じられる方は、あなたの地域の呼び方に置き換えて読み進めていただくようお願いいたします。
さて、話は変わって2017年の新語・流行語大賞で、「忖度」と並んで「インスタ映え」が年間大賞に選ばれました。
とくに今年の後半はテレビ、雑誌、ネットメディアなど、どこを見ても「インスタ映えする◯◯が大人気!」といった言葉が踊りましたよね。
むしろ大衆化し過ぎて、時には「インスタ映えね(笑)」という嘲笑さえ含むこともあるほどです……。
さて、そんな2017年のバズワードとなった「インスタ映え」ですが、台湾ではこの波が「今川焼き(大判焼き)」にまで押し寄せていることが分かりました。
そこで今回は「台湾の今川焼き(大判焼き)最前線」と題して、新しい世界を一緒に覗いてみましょう。
いつも通り、解説をしてくれるのは、弊社の台湾人スタッフで「台灣OLの日本奮鬥記」という台湾人向けメディアで日本の情報発信をしてくれている、シュです。
今川焼き(大判焼き)と言えば?
日本で「今川焼き(大判焼き)」と言えば、これが普通のイメージですよね。
もちろん日本でも、普通のあんこ以外にも白あんが入っているものがあったり、
和栗や豆乳クリームが入ったものもあるようです。
パンプキンやほうじ茶なんていうものも見つけました。
確かに珍しいものもありますが、そこそこ探さなければ見つけることはできません。
基本は普通の今川焼き(大判焼き)ばかりが並びます。
だってあのシンプルなのが美味しいですからね、それが自然でしょう。
インスタ映えしちゃってる台湾の今川焼き(大判焼き)
台湾の台中市で話題のお店
ところが台湾の今川焼き(大判焼き)はちょっと違います。
最近台湾で話題になりつつあるのが、台中市にある「大判燒」というお店だそうです。
Instagramで、そのお店の今川焼きを見てみると、
何だかめちゃめちゃカラフル!笑
私が知っている今川焼きとまったく違います(笑)
このまま公園へ行ってピクニックでもしたくなりますね。
インスタ映えするかどうかは個人個人の感想にはなりますが、この箱への詰め方は写真映えを意識していることは間違いありません。
それとこれ、よ〜く見てみると真ん中の今川焼きに乗っているのは「オレオ」なんですね(笑)
「オレオ入りって、中は一体どんな感じになってるの!?笑」と気になったので、探してみると丁寧に断面の写真をアップしてくれている人がいました。
右上がオレオのようです。
真ん中にはクリームチーズが入っていて、下(写真だと逆さまになっていますが)にもオレオのクッキーの部分が詰められているんだそうです。
う〜ん……、食べてみたいようなみたくないような!笑
また、すべての具材を写真で解説してくれている人もいました。
他にもインスタ映えを意識したお店が
こちらは新竹市というエリアにある「明明好味道」というお店です。
こちらのお店では、今川焼き(大判焼き)に可愛いイラストの描かれています。
これは思わず写真を撮ってアップしたくなる気持ちも分かりますね!
他の種類のイラストもあり、イラストで中の具材が分かるようになっているんだそうです。
また、他にもこだわりのメニューがあるようです。
カスタードといった通常メニュー以外にも、あずき抹茶アイス&タピオカといったメニューもあります。
タピオカってこうやって見るとなかなかのビジュアルですね(笑)
今までタピオカミルクティーしか飲んだことがなかったので、ビジュアルまで気にしていませんでした。
さらに、こんなメニューもあります。
これはチョコ&モッツァレラチーズだそうです。
今、台湾でも大人気の「コップのフチ子さん」が今川焼きに腰掛けてますね(笑)
なかなかインパクトありますね〜!
夜市でもインスタ映えフードに
台湾と言えば屋台が並ぶ夜市が有名ですよね。
台湾の各地にいろんな夜市があるわけですが、そこでもインスタ映えを意識した今川焼き(大判焼き)があるようです。
例えばこちら。
ここでもフチ子さんが一緒に写っていますが、無視してくださいね(笑)
それにしてもチーズたっぷりで思わず写真を撮りたくなる一品ですね!
すると、こんな写真を撮る女性も。
他にも今川焼きをの魅せ方をこの様に工夫しているお店もありました。
なんだか具材を選ぶのが楽しくなりますね。
ちょっと工夫するだけで、こんなに変わるんですね!
勉強になります。
実は古くから台湾でも「当たりまえの食べ物」だった今川焼き(大判焼き)
今川焼き(大判焼き)が台湾に伝わったのはここ最近のことかと思いきや、実は台湾では古くから当たりまえのように今川焼きを食べているそうです。
へ〜、そうなんですね!
私も台湾へ行ったときはもちろん夜市に行きましたが、今川焼きの存在に気づけませんでした。
ちなみに台湾での今川焼きの呼び名も面白いんです。
実は日本のように呼び方は1つではないそうで、「車輪餅」もしくは「紅豆餅」と呼ばれているそうです。
ちなみにInstagramで2つのハッシュタグを見てみると、「紅豆餅」の方が1.5倍近く多いようです。
ただ、どちらのハッシュタグもインスタ映えする今川焼きが見れてとっても楽しいですよ。
あなたもぜひ、その世界を覗いてみてください。
▶Instagramで#車輪餅を見る
▶Instagramで#紅豆餅を見る
台湾の今川焼き(大判焼き)から学べること
さて、今回は日本の伝統的な和菓子のひとつである今川焼き(大判焼き)が台湾でインスタ映えフードに進化していることをご紹介しました。
私は最初にこれを知ったとき、「最近日本で今川焼きを知った台湾人が、台湾に持ち帰ってインスタ映えフードに進化させた」と思っていたのですが、それはまったく違いました。
最近どころか、少なくとも70年以上の歴史があったのです。
それでも台湾では、今川焼きが日本人の私たちが想像もしなかったような新しい商品としてとして生まれ変わりつつあります。
これらの現象を眺めていると、ある2つのことを感じました。
1. 固定観念を壊すことの大切さ
日本人に限らず、人間はどうしても固定観念に縛られてしまいがちです。
今川焼き(大判焼き)と言えば、私たちは誰もがあの定番の和菓子を思い浮かべると思います。
しかし、それは台湾人も同じことです。
なぜなら70年以上も日本と同じような今川焼きが当たりまえのように存在していたからです。
ところが、固定観念に縛られなかった誰かが、「インスタ映え」という新しい視点から、今川焼きに新しい価値を付けました。
この「新しい価値」というものは、時にとてつもないインパクトをもたらすことがあります。
例えば天才発明家のエジソンは、蓄音機を発明したとき、発明に没頭しすぎて「使い方」まで考えきれていませんでした。
悩んだ彼は、蓄音機を「遺言を録音して再生するための機械」として売り出します。
それからしばらくすると、どこかの誰かが「あれ? これって音楽を録音しておいて再生したら良いんじゃない?」と思いつきます。
これがこの世に「音楽レコード」が誕生した瞬間です。
一生に一度使うかどうかも分からない遺言を録音する機械と、毎日使える音楽レコード。
どちらが世の中にインパクトを与えたのかは明白ですよね。
もちろん今回の今川焼きにそこまでのインパクトはありませんが、日本にはまだまだ「新しい視点で見れていないモノや場所」があることは間違いありません。
例えば大阪の「梅田スカイビル」なんかは良い例でしょう。
ここでは詳しい説明は省きますが、梅田スカイビルは一時期入場者数が大きく低迷していました。
ところが、2008年にイギリスメディアのタイムズにて“世界を代表する20の建造物”として、アテネのパルテノン神殿やシドニーのオペラハウスと共に紹介されたのをきっかけに、見事に観光スポットと生まれ変わり、入場者数がV字回復しています。
一部の人からは「未来の凱旋門」とまで評されるほどです。
近年、この梅田スカイビルのような事例が日本全国各地で起こりはじめています。
これらの眠れる資源を海外の視点からひとつずつ見つけていくことが、今の日本に求められていることなのだと改めて感じました。
2. 時代の空気を読むことの大切さ
冒頭でも紹介しましたが、日本でも「いろんな味の今川焼き(大判焼き)」は存在します。
ただ、それはあくまでも「具材が違う」というだけです。
ところが台湾の今川焼きは明らかに写真(もっと言えばSNS)を意識してデザインされています。
だからこそわざわざ断面を見せる、という演出をしているのでしょう。
時代の流れと共に「人が食に求めること」も大きく変わってきています。
狩猟時代は「食べられること、それ自体が幸せ」でした。
そして農耕時代に入ると「たくさん食べられることが幸せ」となり、産業革命以降は「美味しいものを食べられることが幸せ」となりました。
そして今。
人は美味しいだけでは満たされず、「見て楽しめるか」や「人に自慢できるか」といった新しい価値観が続々と生まれています。
「味のレベル」ではなく、「総合的に満足できるか」という軸で食を考える人が増えているということですね。
台湾で今川焼きを提供している人たちは、そういった「時代の空気」を上手く読んだと言えるのではないでしょうか。
ただ、難しいのが「ブームはいずれ終わる」ということです。
単に「インスタ映えする」という特徴だけでは、話題になっている間は新規客が獲得できても、そのお客さんをリピーターにすることは難しいでしょう。
リピーターが獲得できなければ、当然商売として成り立たなくなってしまいます。
コンテンツの質を高めながら、固定観念を捨て、時代の空気を読み続ける。
とても難しいことですが、これからの時代を生き抜いていくためには、これらのことがますます求められいくのかもしれませんね。
そんなことを考えながら日本の街を歩いてみると、また新しい発見がありそうです。
以上、台湾でインスタ映えフードに進化している「今川焼き(大判焼き)」のご紹介でした。
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