あえてドアを開けない、その理由。【趣佳インタビュー 後編】

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(前編はこちらから)

大阪、谷町六丁目にある、小さなお店「趣佳」

趣佳さんに置いてあるのは、店長のyaeさんがセレクトした、手作りの作品たち。
うつわや織物、ペンダントライトやアクセサリーなど、さまざまなつくり手さんのさまざまな作品が並びます。

うつわも織物も知らぬ大学生、今後の進路に悩むイロドリインターン生の長田は、上司に背中を押されるがまま、趣佳さんに社会見学的取材にうかがったのでした。

店長のyaeさんはいいます。

「お店のドアは、あえて閉めています。お客さんに緊張感をもって作品を見ていただきたくて」

「つくり手さんの作品は、唯一無二。作品との出会いは、一期一会です」 (前編より)

空堀商店街の一角に白く映えるこちらのお店「趣佳」には、yaeさんの想いがつまっています。
後編でも引き続き、趣佳のはじまりやyaeさんの想いについて、うかがっていきます!

(前編はこちらから)

【趣佳(シュカ)プロフィール】
Mission:つくる楽しみや、ストーリーのあるものを愛用していく楽しみを、多くの方に知っていただくこと。
実店舗では、正規的に若手を中心にした陶芸家の企画展を開催
オンラインショップは、播州織のショールのほか、作家ものの陶器やガラス作品などを常時販売している(趣佳Facebookより)

所在地:大阪市中央区谷町6-15-22
営業時間:11:00~19:00(定休日:木曜日+不定休)

オンラインショップ http://syuca.jp/
Facebook https://www.facebook.com/syuca.jp
Instagram https://www.instagram.com/syuca_jp/
Twitter  https://twitter.com/syuca_jp/

うつわ。

これまでしっかり見たことはあまりなかったけれど、見れば見るほど、ハマる人の気持ちがわかる気がするのです。
今自分の手の中にあるうつわが唯一無二だと思うと、いっそう愛おしさを覚えます。

そういえば、「趣佳」ってお店の名前は、店長のyaeさんがつけられたんですよね。

yae
『おもむきに秀でている』という意味を込めています。お客さんには、意味でなく読み方を聞かれることが多いですけどね。シュカです(笑)

おもむき。趣き。

意味を調べると、「風情のある様子。しみじみとした味わい」とあります。

前編でも触れた「ああ、いいなぁ」という形のない確かな雰囲気。
「おもむき」と表現すると、とたんに素晴らしいものを感じている気分になれますね(笑)

「佳」という字は、「すぐれている、ひいでる」という意味を持ちます。

味わい深いものに、秀でているお店、趣佳。

シュカ、という短さに、こんなにも意味を込められる。
漢字って、あぁ、いいなぁ、なんて考えてしまいました。

yae
うつわやショールを買った後の使い方を聞いてくださるお客さんが多いんですけど、私が本当に話したいのは、実は作られた経緯やつくり手さんについてなんです。急に熱く語って驚かれないよう、気をつけています(笑)

ショールの織りの特徴。お皿の焼き方。お皿の削れた部分の由来。yaeさんのお話を少し聞いただけで、その作品がより面白くなります。お店に並ぶ前の物語に想いを馳せるのも、手作りの作品の楽しみ方の1つかもしれません。

yae
大量生産されたものって、例えるなら「均一」で「平坦」じゃないですか。つくり手さんがつくるものや、その制作の過程はそうではありません。
yae
この仕事のおもしろいと感じるところは、つくり手さんって、仕事と暮らしがいっしょくたなんです。気持ちで仕事をしているからだと思います。もちろんそうではないつくり手さんはたくさんいらっしゃいますけど、うちで長くお付き合いしているつくり手はそういう傾向が強いように感じていますし、それは毎日楽しいです。それと、窯で焼いたり乾かしたりって作業は、気候に影響されたりもします。納期が読めない部分は困ることもありますが(笑)待つことも楽しみのひとつではあります

そんなお話も、しっかりと納期があるお仕事の経験もあるyaeさんだからこそでしょうか。

yaeさんは以前、Web制作会社で働いておられたそうです。
会社のそばには、いくつか雑貨屋があったといいます。

yae
どの雑貨屋も似たようなものを売っていたんです。あ、これさっきのお店で見たな、みたいな。雑貨屋がはやり始めたころだったのかな、きっと同じところから仕入れていたんでしょうね(笑) でも、同じものばかりじゃ面白くないなぁと思って

子どものころから、大工をしている父の姿をみていたというyaeさん。
ものづくりに携わりたいという思いはずっとあったそうです。

その思いから、社内コンテンツとして「ものをつくる人に特化した」webサイトを制作。
のちにオンラインショップとして機能し始めたそのwebサイトを、yaeさんが会社を退職する時に譲り受けたそうです。それが、今の「趣佳」のはじまり。

(詳しくはこちら 趣佳webサイト「趣佳のはじまりのお話。」)

空堀商店街にある現在の実店舗がオープンしたのは、2016年のこと。

以前は別の場所で店舗を構えていたそうですが、

yae
個展をしたくて、個展なら路面店だなと。たまたまこの物件を見つけたので、空堀商店街に移ってきたんです

定期的に、つくり手さんの個展やワークショップを開催されています。

▲oguさんが買ってきてくださった、商店街そばの「MOITIE モワティエ」さんのフロランタン。2階喫茶スペースにて、うつわに載せて、いただきました。マグカップには、びわの葉茶。どちらも美味しい!
(※2018年1月現在、喫茶は一時休業されています)

やっぱり、買ってきたお菓子も、一度お皿に載せてみるだけでぐっとおいしそうになりますね。

yae
日本料理にとってうつわは大事です。和食がユネスコ無形文化遺産に登録されましたよね。それでうつわにも興味を持たれた海外の方もいるようです。
空堀商店街のそばにゲストハウスがあるので、ときどき海外からのお客さんも来店されますよ! 
yae
日本の食器って、ほかの国と比べて種類が豊富で、多様だと思います。1つの形でも用途が幅広かったり、同じ汁椀でも形が様々だったり。

趣佳のオンラインショップには英語のページもあり、海外からの注文も受け付けています。

yae
やり取りはメールに限定しています。
スタッフみんな、英語できないので(笑)

うつわや織物について、日本語でさえ難しいのに、英語で説明するなんて絶対難しい! 
Google翻訳などを駆使して、みなさん頑張っておられるそうです。

webサイトにある英文からは、「いいものを共有したい」という趣佳のみなさんの心を感じました。

yaeさんは、店に置く作品、つくり手さんを、どうやって選んでいるのでしょう?

yae
展示会で気に入った作品を見つけたら、つくり手さんに直接交渉して、置かせてもらってきました。時には断られることもあって、つらかったですね。こちらも、誰でもいいわけじゃなくて、お願いしていますので。
yae
今は落ち着いてきたので、お付き合いするつくり手さんはこれ以上はあまり増やさないかな。やっぱり、つくり手さんとの「つながり」が大事ですから

増やしすぎると、つながりが薄くなってしまう。
つくり手さん1人1人を大切にされているからこその姿勢ですね。

おっと。居心地が良すぎて、うつわやショールに囲まれた空間が素敵すぎて、気づけばお店に長居をしていました。

では、そろそろ、最後の質問。

趣佳を、一言で表すと?

ogu
……それが、わからないんですよねー!!

あれ、これでバシッと決める計画だったのに、締まらない!?笑

yae
何のお店か聞かれたとき、いつも説明に困るんです。 
雑貨屋? クラフトショップ? ライフスタイルショップ? どれもしっくりこなくて
maki
うつわを売ってるけど、うつわだけじゃなくて……と言っていたら、一言じゃなくなっちゃうんです(笑)
yae
いい表現があったら教えてください(笑)

趣佳のFacebookやInstagramの紹介文を見ると、それぞれ違う表現になっています。
毎回悩んで書かれたのでしょうか。なんだかほのぼのします。

確かに、一言で表すのは難しい。

でもそれは、yaeさんの想いを形にしてきた結果。

いま一言で簡単に表わせちゃったら、それこそ「面白くないなぁ」ですよね!

上手く言えないけれど、素敵なお店、趣佳。

説明に悩み続けるのか、ぴったりの一言を見つけていくのか。
趣佳のこれからが楽しみです。

yae
一期一会の作品との出会いで、お客さんに笑顔が生まれているのを見ると、オンラインショップだけでなく、実店舗を作ってよかったと嬉しくなります
yae
つくり手さんの作ったものって、「非日常」で「縁遠いもの」で、恐れ多い「伝統工芸品」って思われてると思います。それを、日用品との間、「生活工芸品」という位置づけで、みなさんにお届けできたらと思っています

日用品よりはちょっと特別で、大切に扱うもの。だけど、日常の中で身近なもの。
うつわやショールをそんな存在として使ってほしい。
その思いは、購入したお客さんに長く上手に使っていくためのアドバイスをするyaeさんの姿から伝わってきました。

ディスプレイの仕方について、工夫していることはありますか? と聞いたところ、
「んー、特にないですねえ」とクールにおっしゃったyaeさん。

そう言いながらも実は、作品のよさを最大限引き出せるディスプレイの仕方や企画を常に考え、つくり手さんひとりひとりとまっすぐに向き合っておられるのです。

つくり手さん、作品、そしてお客さん。
どれもひとつひとつ大切にしている、趣佳の、yaeさんたちの姿を感じることができました!

yaeさん、makiさん、oguさん、ありがとうございました!!

今日見たうつわやショールには、次来た時にはもう会えないかもしれないのだと、寂しく感じながら。

また新たな出会いを楽しみに、必ずまた訪ねようと心に決めて、趣佳を後にしました。

将来どうなるんだろう、これからどう進めば良いんだろう、熱い思いが見つからない……なんて、私、悩んでいたっけ。

ひとつ、熱い想いが生まれました。

悔しいかな、今は余裕がないけれど、置くスペースのない今の一人暮らしの部屋を出たら、お財布が温まったら、うつわを買おう。
唯一無二のうつわを愛でよう。

うつわとの出会いは一期一会。

「一期一会」は、もともと茶道に由来する言葉だそうです。

「お茶会に臨む際には、その機会は二度と繰り返されることのない、生涯に一度の出会いであることを心得て、亭主・客ともに互いに誠意を尽くす」という心構えを意味します。

生涯に一度きりの、出会い。

これは「一度しか会わない」という意味だけではありません。

何度も会う相手とも、「今日のこの瞬間」をともにすることは2度とありません。
だからこそ、今この出会いを大切にしよう、ということ。

今、将来に悩んでいる私が、このタイミングで趣佳のみなさんに出会えたのも、めぐりあわせなのだなぁ……そんなことも感じました。

趣佳を訪ねて、お抹茶のうつわや茶道の言葉に出会ったことも、私にとっては少し特別な、意味を持つものに思えました。
というのも、私の祖母は茶道の先生をしているからです。
お稽古で使うお茶碗、私に点ててくれるお茶のお椀を、ひとつひとつ大事に選んでくれていたような……
今度また話を聞いてみよう。

今回、趣佳、そしてyaeさんの素敵な歩みを、ちょこっとのぞかせていただきました。

人との繋がりや、ご自分の想いを大切にする姿。

つくり手さんの作品を扱いながら、ご自身でもそのよさを伝える場をひとつずつ形作っているyaeさんの姿は、私の心に刻まれました。

よし。一期一会だ。

影響を受けて揺らぎすぎる、なんて気にせず、機会を得たならお話を聞けることを喜ぼう。
そのタイミングで、その心境で、その人に会えるのは、その瞬間しかないんだから。

すぐに答えが出せないことも、あとから「おもしろさ」だと感じられたらいいな。
どう歩んでいくか悩む21歳の今も、今だけ。大切にしよう。

「何のお店かうまく言えない」

「よさは言葉にしません」

もちろん、言葉にして伝えることも大切です。
こうして文章を書いていることは、私にとって、ひとつの大きな挑戦。

でも、無理に言葉にしなくてもいいものも、あるのかもしれません。
言葉にするのに疲れたら、たまには休んで「よさ」そのものをただ感じよう。

たくさん言葉を紡いで人に伝えていかなければいけないだろう、これから。
うつわ、音楽、絵画、自然……
好きなものをただ感じていられる時間を、大切にしたい。

きっと、心の支えになってくれるから。

また、趣佳に、行こう。

閉まっているドアを自ら押し開けるには、少し勇気が必要かもしれません。

でも、そっと一押し。

ドアの向こうで、趣佳のみなさんと素敵な生活工芸品たちが、あなたとの出会いを待っています。

(前編はこちらから)

【趣佳プロフィール】
Mission: つくる楽しみや、ストーリーのあるものを愛用していく楽しみを、多くの方に知っていただくこと。
実店舗では、正規的に若手を中心にした陶芸家の企画展を開催
オンラインショップは、播州織のショールのほか、作家ものの陶器やガラス作品などを常時販売している(趣佳Facebookより)

所在地:大阪市中央区谷町6-15-22
営業時間:11:00~19:00(定休日:木曜日+不定休)

オンラインショップ http://syuca.jp/
Facebook https://www.facebook.com/syuca.jp
Instagram https://www.instagram.com/syuca_jp/
Twitter  https://twitter.com/syuca_jp/

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