2017年は地方が主役! 日本が真の観光立国になるために必要なこと

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こんにちは。イロドリの福島(@maxafuku)です。
2017年が始まりました!

つい先日2016年の訪日外国人観光客数が2400万人を突破したことが発表されました。
これは日本政府観光局(JNTO)が統計を取り始めた1964年以降で最多の訪日者数で、2015年よりも約430万人も増えました。

2016年の訪日外国人数は2400万人超え! 中国・韓国・台湾・香港で1700万人以上に
イロドリの今津です。このたび日本政府観光局(JNTO)から2016年12月の訪日外国人数についての発表がありましたので、その中から抑えておきたいデータをご紹介したいと思います。前年同月比15.6%増の205万1千人! 12月としての過去最高を記録!12月単月では前年同月比15.6%増の205万1千人となり、これまでの12月過去最高であった2015年12月の177万3千人を27万人以上も上回り、過去最高を記録しました。これで12ヶ月の訪日外国人数が発表されましたが、2015年には1度も超えることがなかった単月200万人を4月、7月、8月、10月、12月と5度...

この調子でどんどん増えていって欲しいですね。

さて、この記事を今読まれている方はご存知の方も多いと思いますが、日本政府は観光を成長戦略の大きな柱のひとつにしようとしています。
具体的には外国人観光客を2020年までに4000万人、2030年までに6000万人の呼び込むという目標を掲げ、「観光立国の実現」を目指しています。

2016年の訪日外国人観光客数が2403万人なので2020年に4000万人を達成するためには今後4年でさらに約1.7倍に増やす必要があります。

あなたはこの目標を達成可能だと思いますか?

「このペースでいけば余裕で達成できるでしょ!」という方もいれば「ちょっときびしいかなぁ?」という方もいらっしゃると思います。

私は日本政府が掲げている2020年4000万人、2030年6000万人という目標の達成、そして日本が観光立国になるためには地方都市の力が不可欠だと考えています。
もっともっと日本の地方都市がインバウンドに力を入れて外国人観光客を受け入れていくべきなのです。

今回はその理由について解説します。

そもそも観光立国とは?

日本政府は観光立国実現を目指しています。
ではそもそも「観光立国」とはどういった状態のことを指すのでしょうか?

観光立国を辞書で調べると以下のように説明されています。

観光立国(カンコウリッコク)とは – コトバンク
国内の特色ある自然環境、都市光景、美術館・博物館等を整備して国内外の観光客を誘い込み、人々の落とす金を国の経済を支える基盤の一つにすること。
[補説]多くの国が観光局等を設置、観光資源の整備、観光業の規制、特に外国人観光客の誘致に努めている。

つまり日本の各地域の魅力を世界中の人々に伝え、しっかりと受け入れの体制を整え、観光客を誘致し、その人たちの消費が各地域の経済を支える柱になっている状態になれば、日本は観光立国であると言えるわけです。

では観光立国になるためには何が必要なのでしょうか?

外国人観光客をさらに増やす

観光立国になるためにはまずは一定数以上の外国人観光客を安定的に獲得し、消費してもらう必要があります。
そのわかりやすい指針として政府は2020年に4000万人、2030年に6000万人という数値目標を掲げています。

そして2020年に4000万人、2030年に6000万人の外国人観光客を集客する為には、各国からの観光客数を全般的に底上げする必要があります。

外国人観光客は近くの国から来る

外国人観光客をさらに増やすための1つ目のステップとしてまずアジアからの集客をさらに強化するべきです。

なぜなら、外国人観光客はそのほとんどが近隣諸国からやってくるからです。
そしてこれは日本に限ったことではないのです。

例えば世界で最も観光客が多いフランスを見てみましょう。
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2015年にフランスを訪問した外国人観光客は約8445万人。
そのうち約80%が同じヨーロッパからの観光客です。
またアメリカもカナダやメキシコなどの近くの国から、タイや中国もそのほとんどが近隣諸国からの観光客で構成されています。

私たちの日本も同じです。
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2016年に日本を訪れた外国人観光客2403万人のうち、アジアの国(中国、韓国、台湾、香港、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシア、ベトナム)の構成比を全て足すと合計で83%もの比率になりました。

観光立国を目指すうえで、まず近隣のアジア諸国へのPRをさらに強化し、全体の観光客数を底上げすることが必要になるでしょう。

ASEANからの集客強化

アジアと言ってもたくさんの国があります。
ではたくさんのアジアの国の中でどの国に力を入れていくべきなのでしょうか?

その候補となるのが経済発展がめざましいASEANの国です。

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2016年の訪日観光客数をみると、インドネシアは前年対比30%以上、フィリピンとマレーシアも30%に迫る勢いで、ベトナムも25%以上と大きく伸びています。
この4カ国にここ数年高い伸びをみせているタイを加えたASEAN5カ国は今後も経済が発展し国民の所得も上がっていくため、訪日観光客もまだまだ伸びる要素があります。
この5カ国に向けては今後さらにPRを強化していく必要があるでしょう。

また、現在日本に来ている外国人観光客の中で一番存在感があるのは中国からの観光客です。
2016年に日本を訪れた外国人観光客は2403万人のうち中国人観光客は約637万人となり、実に4人に1人以上が中国からの観光客という結果です。
そして中国と韓国の2国で訪日外国人のおよそ48%という比率になります。

たくさんの方が日本に来てもらえるのは非常にありがたいことですが、特定の国に依存することはリスクにもなります。
特に中国や韓国とは政治的な摩擦がたびたび起こり、過去を見てもそのたびに観光は打撃を受けています。

インバウンドにおいて中国と韓国は非常に魅力的なマーケットです。
2020年に4000万人という目標はこの2国からの観光客を抜きに達成することは難しいでしょう。
しかし、何らかのキッカケによって一気に減ることもあるというリスクが他の国に比べて高いということもきちんと理解しておく必要があるでしょう。

そしてリスクを分散させる意味でもASEANからの集客強化は非常に重要なのです。

ヨーロッパからの集客強化

先ほど紹介したとおり、日本を訪れる外国人観光客の80%以上がアジアからの観光客となっています。
この比率自体は地理的な条件がある為、今後もそこまで大幅には変わらないでしょう。
しかし、2020年4000万人という目標と達成するためには全体的な底上げが必要となってきます。
その際に、まだまだ伸ばす余地があるのがヨーロッパからの観光客です。

同じくアジアの観光立国の先輩であるタイの事例を見てみましょう。
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日本と同じく近隣諸国からの観光客が大半を占めますが、8位にイギリスがランクインしていることに注目しましょう。

2016年にタイを訪れたイギリス人は約100万人です。
対して2016年に日本を訪れたイギリス人は約29万人で、タイを訪れたイギリス人の3分の1以下にとどまっています。

また11位にランクインしているドイツについても約83万人がタイを訪れているのに対して日本を訪問したのは約18万人にとどまっています。
その他のヨーロッパの国も全て訪タイ者数が訪日者数を上回るという結果になりました。

地理的な条件ではタイのほうが若干有利だとは思いますが、ヨーロッパからの集客はまだまだ伸びしろがあるでしょう。

ヨーロッパからの旅行者は旅行先ならでの体験を重要視する方が多くいます。
そういった人たちにその土地ならではのユニークな体験サービスをきちんと準備して届けることができればヨーロッパから日本に来る人はまだまだ増えるはずです。
ここにもチャンスはたくさんあると考えています。

地方都市の力が今後さらに必要になる

4000万人そして6000万人の外国人観光客を集客していくには必ず地方都市の力が重要な要素になってきます。

多様な日本の魅力を発信していくことが必要

今後さらに外国人観光客を日本に呼び込むためにはもっと多様な日本の魅力を発信していくことが必要になります。
そこに日本の地方都市の力が必要になるのです。

日本には外国人観光客が喜ぶような魅力的な地域がたくさんあります。
しかしその魅力はまだまだ世界の人に知られていないのが現状です。

まずは地域の人々が一体となって、自分たちの地域の魅力は何なのか? を改めて発掘し、しっかりとターゲットを決めてPRしていくことが大事になってきます。
「外国人観光客を自分たちの地域に呼びたいけど具体的になにをどうしたらよいの?」という方は以下の記事が参考になると思います。
ぜひ地域一体となってインバウンドの集客に取り組んでください!

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地方の受入体制の整備

2020年4000万人、2030年6000万人という外国人観光客を集客していくには地方都市の魅力発信が重要な要素です。
そしてしっかりと魅力を発信し、PRできれば必ず外国人観光客はあなたの地域にやってきます。

しかし実際に多くの外国人観光客を受け入れるにはきちんと整備すべきこともあります。

具体的には地方の空港や港の整備はもちろん、宿泊施設や交通機関の外国人対応レベルを向上することが必要になってくるでしょう。

また、標識や案内看板なども今後外国人観光客を意識したものに整備する必要が出てきます。

観光立国になるということは日本中に海外から観光客が来るということなのです。
その準備、整備を地方でもさらに進めていく必要があります。

真の観光立国になるために

2020年に訪日外国人観光客4000万人、2030年に6000万人という明確な目標があるのは悪いことではありません。

しかし、実際にはその数字だけを追い求めるのはあまり意味がありません。
日本が真の観光立国を目指すのであれば、単純な数字目標を追い求めるのではなく、「どんな旅行者に来てほしいのか?」「どのように日本を楽しんで欲しいのか?」というしっかりとしたプランを各地域ごとに立てて、集客していくことが必要となります。

現在日本に来ている中国からの観光客は中国全体の人口の0.5%にも達していません。
数字だけを求めるのであれば、政府が中国に対するビザ要件をさらに緩和することで一定の成果は得られるはずです。
しかし、それでは本当の意味での観光立国にはなることができないと思います。

政府としてはもちろん、各地域、そしてそこに属する個人がそれぞれ観光立国になるためには何をすべきなのか? 自分たちの地域に外国人観光客に来てもらい楽しんでもらうためには何をすれば良いのか? ということを改めて考え、取り組んでいくことで道は開けていくはずです。

また観光立国の定義に「国内外の観光客を誘い込み」とあるように国内の観光客も疎かには出来ません。
実際に観光庁の発表によると2015年の日本人国内宿泊旅行の市場はインバウンド消費額3.3兆円の約5倍にあたる16.3兆円となっています。
さらに日帰り旅行の消費額などを合わせると22.2兆円にもなり、インバウンド消費市場の6倍以上です。
旅行者数自体は2010年以降微減していますが、消費額の22.2兆円という数値はほぼ横ばいが続いており、この市場はとてつもなく大きいです。

また日本人の旅行市場では「若者の旅行離れ」が将来的に旅行市場を維持する上でも大きな課題とされています。
観光庁の調査によると「若い頃の旅行経験が将来の旅行頻度にも影響する」という調査結果(PDF)も出てきていることから、若者に旅行をしてもらうために観光庁も本腰を入れて対策を始めています。

観光庁の対策については以下にまとめられています

若者旅行の振興 | 観光庁

若者に旅行をしてもらうキッカケを作るうえでも、地域から国内外へ向けて魅力をPRしていくことは重要で、それが未来の旅行市場を作っていくことにつながります。

そして日本国内の様々な地域で、日本人観光客と外国人観光客がバランス良く共存し、
「日本人でも外国人でも同じようにその地域での旅行を楽しめる!」

これが観光立国のあるべき姿なのではないでしょうか。

2020年4000万人、2030年6000万人、そして誰もが楽しめる観光立国の実現に向けては特に地方で頑張っている皆さんが主役にならないといけません。
その実現に向けて今年もがんばりましょう!
私たちも全力でサポートさせていただきます。

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