「スタッフ全員が英語を喋れるようにしたい」 – 月のおどり 徳永さん、Michiさんインタビュー <後編>

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イロドリの小林です。
今回はホームページも無いのに外国人のお客さんが次々と来店するお店「月のおどり」さんのインタビューの後編です。
前編の記事はこちらからどうぞ。

「ホームページもないのに外国人のお客さんが次々とお店に来てくれるんです」 – 月のおどり 徳永さん、Michiさんインタビュー<前編>

後編では「外国人観光客に対する集客」「接客」「トラブル回避方法」「今後の展望」など、さらに深い内容となっておりますので、ぜひご一読ください。

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徳永 髙弘 店長兼社長

祖父が80年前に熊本で営んでいた焼鳥屋を大阪でオープン。
日本人だけでなく世界の人々に喜んでもらえる焼鳥屋になるべく日々研鑽を重ねている。

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Michi 広報・インバウンド担当

「日本に住みながら世界旅行ができそう」というほど多くの国籍の友達を持つ彼女。
WEBを使ったPR活動や外国人向けのメニュー作りなど、「月のおどり」のおもてなしレベルは彼女によって高められている。

飲食業界の方はもちろん、インバウンドビジネスをされる方にとっては必見の内容です!

英語喋れなくても、頑張ったら通じますから

小林:では次に接客で工夫されていることを教えていただけないでしょうか?

徳永、Michi:フレンドリー!!

Michi:もう、これがすべてですね。本当にこのお店で満足して帰ってもらうためにも、お客さんとはとにかく仲良くなります。

徳永:うん、フレンドリーは本当に重要です。

Michi:それこそテンションアゲアゲでいきますよ(笑)もちろんテンションだけじゃなくて細かく料理の説明をしたり質問にはできる限り丁寧に答えたり。お客さんに喜んでもらえるためにできることは全部やりますね。

小林:中には気難しい方とかもいらっしゃいますか?

Michi:もちろんいますよ。でも絶対に負けない(笑)それを上回るフレンドリーでぶつかって壁を壊しますね。

小林:さすがMichiさん!そうすると壁も無くなってくると。

Michi:そうそう。だんだん和やかになって仲良くなれる。それに私って日本人に見えないみたいなんですよ。

小林:確かに(笑)

Michi:でしょ(笑)だからそういう点では得してるかもしれないですね。それに昔から外国人の友達が周りにいるのが普通だったから全然抵抗がないんですよね。

小林:なるほど。

Michi:多分インバウンドに力入れるかどうか悩んでる人って外国人慣れしてない人が多いんじゃないですかね。だからみなさんに言えるのは、外国人に慣れるのが一番ということですね。

小林:慣れたら早いですか。

Michi:早い、めっちゃ早い。英語喋れなくても、頑張ったら通じますから。ウチの店でもいるんですよ。女の子のスタッフで英語喋れないけど、フレンドリーな子だからすぐ仲良くなってる。

徳永:そうそう。だから、外国人のお客さんも嫌な気がしないんですよ。

Michi:だから基本的に日本人も外国人も一緒なんだと思います。こちらが精一杯のおもてなしをして、お客さんに「美味しかった」「接客が気持ち良かった」って言って帰ってもらいたいだけですから。

普通にFacebookで友達になったりしてますよ

小林:では次に「トリップアドバイザーで口コミを書いてもらう」「その人にリピートしてもらう」「その人の友達に来店してもらう」など、お客さんがお店から帰られた後の「その後」ってすごく大事だと思うんですが、そこで工夫されていることって何かありますでしょうか?

Michi:うーん、たまに「口コミ書いてね」って言う時もありますね。

徳永:でもほとんど書いてくれないですけどね(笑)

小林:そうなんですか。

Michi:もちろん中には本当に書いてくれる人もいますし、こちらから何も言わなくても書いてくれる人もいる人もいますけど、ほとんどの人は書かれないですね。だから普通にFacebookで友達になったりしてますよ。

徳永:そう言えばウチがトリップアドバイザーを始めた時って、大阪のレストランってまだ8,000軒くらいしか載ってなかったんですよ。でも今はそれが倍に増えてますからね。ウチもまだまだ頑張っていかないとなと思ってます。
※現在は16,000軒以上(2015年6月時点)

小林:ちなみに今は日本人と外国人のお客さんの比率はどれくらいなんでしょうか?

Michi:多い時で半々ですね。少ない時で日本人7:外国人3くらいですかね。本当に多い時は外国人のお客さんだけって日もありましたけど。

小林:みなさんけっこうお酒は飲まれるんですか?

Michi:飲む人と飲まない人と分かれますね、友達に聞いたら日本人みたいにご飯のときにお酒を飲まない習慣の方も多いみたいですね。ご飯を食べ終わってから店を変えてお酒を飲むみたいな。だからみんながみんなお酒を飲むっていう訳ではないですね。

小林:なるほど。外国人の方に人気のお酒とかってあるんでしょうか?

徳永:やっぱり日本酒は人気ですね。ボトルで頼まれて皆さんで分けて飲まれてますよ。

そしたら皆さん「サンキュー」って言ってくれる

小林:最後にインバウンドに取り組まれている飲食店の方へのアドバイスをいただけないでしょうか?

徳永:うーん、ウチは結構特殊な店なんでねぇ(笑)

小林:おそらく他の人からすると、「あなたたちは英語しゃべれるから出来るんじゃないの?」っていうのがあると思うんですよ。

Michi:逆に英語喋れないんだったら、説明が不要なくらいしっかりしたメニューを作ってあげたら良いんですよ。例えば「つきだし」の説明を書いておくとか。

小林:「月のおどり」さんは入口のドアに「つきだし」の説明の貼り紙されてますよね。

Michi:そうなんです。これ最初めちゃめちゃクレーム多かったんですよ。

徳永:そう。「こんなの頼んでないしいらない」って。

Michi:だからこっちも頑張って説明するんですけど、「それなら最初に言ってよ」って言われるんです。だから貼ったんですよ。

小林:なるほど。そこで「つきだしを無くす」っていう選択肢もあったとは思うんですけど、継続を決めた理由は何なんでしょうか?

徳永:もちろんスタッフの中からは「つきだし無くしましょう」って声もありましたよ。でもね、ウチの前菜のスモークチキンは外国人の方に食べていただいたら皆さん喜んでくださるんですよ。やっぱり「つきだし」はお店の顔ですし、そこは崩したくないなと。だから「どうしたら理解してもらえるんだろう?」って考えた結果、張り紙することにしたんです。で、やってみてダメだったらまた考えようって。そしたら皆さん「サンキュー」って言ってくれるようになって。

Michi:「つきだし」の説明は苦労してる人多いと思いますよ。だからウチはメニューの最初のページにも説明を書いてて、そこを開いた状態でメニューを渡すんです。そうしたら絶対に目に入るんで。

小林:なるほど、そこからもうクレームは無くなったんですか?

徳永、Michi:ない。一回もない。

小林:それは素晴らしいですね。

Michi:あとはやっぱりメニューかなぁ。とにかく細かくちゃんと書いてあげる。

小林:かなり細かいく作られてますよね。

Michi:ここまで作ったらお互い英語喋れなくても指差ししてくれたら分かるじゃないですか。

小林:英語も中国語も韓国語もサポートされてますよね。翻訳はどうしたんですか?

Michi:これは全部お友達に手伝ってもらいました。で、他の外国人の友達に見てもらって「分からないとこある?あったら教えて。」って確認して。そしたら「これなら分かる」って言ってくれたので。

小林:それ大切ですよね。例えばですけど、この「大正焼き」ってメニューを「Taishoyaki」とローマ字表記にしてしまってるお店もありますもんね。

Michi:ありますあります。あっ、そう言えば私それで某グルメサイトに電話したことあるんですよ(笑)メニューを英語表記してくれてるのはありがたいんですけど「Taishoyaki」って書かれてて「それじゃ外国の方は分からないじゃないですか。」って。

小林:翻訳は説明を書いてあげた方が伝わりますもんね。

徳永、Michi:本当そうなんですよ。

小林:ちなみにメニューは今まで何回くらい作り直しされてるんですか?

徳永:4、5回くらいですね。と言っても最初も今の作りとほとんど一緒でしたよ。ただ、そこから一部の料理を外したり変えたり、つきだしの説明入れたり、ベスト5のメニュー作ったり。

小林:大きく作り変えてるって言うよりは、小さな改善を続けて来られたんですね。

Michi:そうです。めっちゃ細かいことですけど現場レベルで気付いたことをメニューに反映させて来た感じですね。

小林:これまで一番苦労されたことと言えばどんなことがありますか?

徳永:やっぱりこのメニューの作り直しかなぁ。

Michi:そうですね。後は会計ですかね。中には全部計算する人もいらっしゃるんですよ。食べ終わってから「伝票見せて」って言われて携帯で全部計算されてるんです。

徳永:あと、5人で来られて「伝票を5人バラバラにしてください。」とかね。

小林:でも取り分けて食べるメニューも多いですよね?

Michi:そういう方はそのメニューを1人で食べられるんですよ。例えばオムレツ頼んでも1人でそれを食べる。

徳永:だからお客さんの要望に応じて対応するようにしてますね。

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※お店の入口やメニューの見開きには丁寧に「つきだし」についての説明が書かれている。

スタッフ全員が英語を喋れるようにしたい

小林:それでは「月のおどり」さんの今後の目標を教えていただけますか?

徳永:もうちょっと外国人のお客さん呼びたいですね。あとはスタッフ全員が英語を喋れるようにしたい。

小林:なるほど。その為に既に何かされてるんでしょうか?

徳永:してますよ。スタッフに英会話教室通ってもらってます。

小林:そうなんですか。

徳永:僕はこれからもっと業態が変わって来ると思ってます。立地的に考えても日本人のお客さんだけでは店として生き残っていけないと思うんですよ。そう考えると時代の変化に合わせて業態を変えて行く必要がありますし、そうなると英語は絶対に必要になってくるんで。

Michi:うん、間違いないと思う。だってここ数年でも道頓堀を歩いてる客層がガラッと変わりましたもん。最近は「ここは外国?」って思うくらい外国人観光客が多いですから。

徳永:でもこれから更に増えるってことは色々とトラブルも増えるってことだと思うので。少なくともウチの店ではトラブルを起きないようにして、皆さんが気持ち良く食べて飲んで帰っていただけるお店にするために、みんなで力を合わせて頑張ります。

小林:貴重なお時間いただきありがとうございました。お話を伺って外国人の方々に人気の理由がよく分かりました。今後も「最高のおもてなし店」としてのご活躍をお祈りしています!

まとめ

「月のおどり」の徳永さんとMichiさんのインタビューはいかがでしたでしょうか?
お二方ともとても気さくで明るく、そして面白い。
その掛け合いの様子は漫才を見ているようでした(笑)

あなたもぜひ一度「月のおどり」を訪れてみてください。
外国人集客だけでなく、料理や接客などすべてが参考になるはずです。

私たちも訪日外国人観光客向け大阪観光メディアとして微力ながら「Tsuki no Odori」を応援したいと思います。
次回のインタビュー企画もお楽しみに!

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