「日本でのAirbnb宿泊者300万人」が意味することを考えていたら「火星移住計画」まで行き着いてしまった話

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イロドリの小林です。

先日、Airbnb Japanより2016年に日本でAirbnbを利用して滞在したインバウンドゲスト数が300万人を突破したというリリースが出たことで業界に大きな衝撃が走りました。

Airbnb利用のインバウンドゲストが300万人を突破|Airbnb Japan株式会社のプレスリリース

このリリースからは他にも、

・Airbnbを利用する世界中の旅行客の約10%が日本を訪れたこと
・2015年からの伸び率は230%を記録していること
・アジアからのゲストが69%も占めていること
・日本での利用者が一番多いのは韓国からのゲストであること
・Airbnbを利用したインバウンドゲストの69%がミレニアル世代(18歳〜34歳)であること

など、様々な情報を知ることができます。

消費額などの情報もありますので、詳細を知りたい方はリリースをご覧ください。

この300万人という数字ですが、実は同じゲストが東京で1泊、大阪で1泊した場合は二重にカウントされているため延べ人数になっています。
それでも少なく見積もっても200万人以上はいるはずなので、そのインパクトの大きさに変わりはないでしょう。

なぜなら日本政府観光局(JNTO)が発表した2016年10月末時点での訪日外国人数は2011万人なので、約10%もの人たちがAirbnbを利用して宿泊したということになるからです。

さらに民泊系サービスはAirbnb以外にもたくさんあります。
Expediaが買収したHomeAwayや中国発の自在客(Zizaike)などさまざまなサービスがあり、これらのサービスすべてを含めるとどれほどの数字になるのか想像もつきません。

このニュースによって改めてホームシェアリングの可能性やあり方について議論がされていますが、もっと大きな視点で見るとホームシェアリング以外にも既存の資産を活用する「シェアリングエコノミー」という概念や新しい市場に大きな注目が集まっています。

シェアリングエコノミーについては法律面や安全面など解決すべき課題が多いことも事実ですが、今回はそういった制度面ではなく「300万人がAirbnbを利用して滞在したという実態から私たちは何を考えるべきなのか?」をテーマに、私なりに現状と今後の動向について掘り下げて考えてみたいと思います。

ちなみに、当初はこの記事を簡潔にまとめるつもりだったのですが、構成をアレコレと考えていたら結局かなりの長文になってしまいました……(汗)

全文をお読みいただかなくてもできるだけエッセンスが伝わるように見出し分けをしましたので、一度立ち止まって「あなたが“想う現状”と“描く未来”」を見つめていただくキッカケになれば幸いです。

そもそもシェアリングエコノミーって?

まずは「シェアリングエコノミー」とは何なのかを整理しましょう。

総務省のHPでは「個人が保有する遊休資産(スキルのような無形のものも含む)の貸出しを仲介するサービス」と定義されています。

ここでは「貸し出し」に限定されていますが、人によってこの定義は変わってきます。

私が個人的に一番しっくり来ているのは株式会社ディー・エヌ・エー原田氏がこちらの記事で語られた「使われていない資産、リソース、これを有効活用することで新しい価値を生むもの」という考え方です。

大きな違いは「貸し出し」という手法に限定せず、「有効活用する」と定義している点です。

シェアリングエコノミーは日本語にすると「共有経済」という意味になります。
つまり、貸し出しだけに限らず「他人となにかを共有する」というのがシェアリングエコノミーの基本概念ではないかと思うため、この記事ではこの考えを元に話を進めて行きたいと思います。

なぜシェアリングエコノミーが注目されているのか?

シェアリングエコノミーには、いろんなジャンルがあり、いろんなサービスがあります。

例えば家以外のスペースのシェア。
代表的なものでは駐車場をシェアするakippaや会議室やイベントスペースなどをシェアするスペースマーケットなどがあります。

他にも注目度が高いジャンルとしては乗り物をシェアするライドシェアがあります。
世界的に有名なUberをはじめ、日本で言えばカーシェアリングのタイムズカープラスもその1つと見ることができるかもしれません。

その他にもモノのシェア。
例えばairCloset(エアークローゼット)というサービスはプロのスタイリストが自分のために選んでくれた洋服をレンタルすることができるというものです。

また、シェアされるのは何もモノや車、スペースだけに限らず対象が「人」になる場合もあります。
ただ、ここで言う「人」とは肉体的な話ではなく技術や労働力などです。

例えば全国の優秀なデザイナーやエンジニアに仕事を依頼できるクラウドソーシングサービスのクラウドワークスランサーズをはじめ、自分の得意なことを活かして誰かにサービスを提供できるANYTIMESや30分から自分のスキルを誰かに提供できるTimeTicketなどのサービスが出てきたことで、自分の余った時間や持ち合わせているスキルを有効活用できる可能性が急激に広がっています。

では、なぜこれらのサービスが一気に注目を集めることになったのでしょうか?

資本主義の新しいカタチ

それは資本主義をベースとした貨幣経済が進んだ影響だと言えるでしょう。

なぜなら資本主義社会で生き残るために必要なのは「より良いもの、より便利なものをより安く提供し続ける」ことにあるためです。

そのおかげで私たちはユニクロで価格以上の品質の服を買えたり、ミシュランで三ツ星を取るような腕前のシェフやソムリエが作った料理を低価格で食べられるようになりました。

少し前までは高額の通話料がかかっていた携帯電話も今ではLINEやFacebookなどのアプリを使えば無料で通話ができますし、LCCの就航が進んだおかげで大阪から東京へ行くよりも安い値段で海外へ行くこともできるのです。

消費者としては本当にありがたい時代になりましたよね。

しかし、その発展もやがて物理的な限界がやってきます。

なぜなら、いくらユニクロが低価格高品質になったとは言えひとりで何百着も買う必要性はないからです。
LCCだって毎日乗る人はほとんどいないでしょう。

その結果、現代では「モノあまり」という事態に直面しています。
そして、その反動と言えるかのように「すでに有り余っている価値を共有する」というシェアリングエコノミーに注目が集まっているのです。

シェアリングエコノミーは新しくもなんともない?

これだけ注目を集めているシェアリングエコノミーですが、これらのサービス自体が「今までになかった斬新かつ画期的なモノなのか」と聞かれれば答えはノーです。

それは一体なぜでしょうか?

古くからある助け合いの精神

幸いにも私は先人たちの血の滲むような努力のおかげで豊かな日本しか知らずに生きることができていますが、かつて日本が貧しかった頃はコミュニティ内で「助け合う」「支え合う」というのが当たり前でした。

実際に私もそれを少しだけ体験したことがあります。
私の出身地は長野県塩尻市という所で、実家は「郷原宿」という江戸時代に宿場だった地域にあります。

そこでは古くから「向こう三軒両隣(さんげんりょうどなり)」という自分の家の向かい側の3軒と左右の2軒の家とは共同コミュニティであるという習わしがあります。
そして冠婚葬祭のときにはお互い出席したり手伝いをしたりと今でも確かなコミュニティが存在しているのです。

今の豊かな時代になるとそれが「煩わしいもの」と感じてしまうことも事実ですが、それがあることによって生きやすい時代があったのもまた事実なのです。

バックパッカーから言わせれば「当たりまえのこと」

私の隣の席には元バックパッカーで過去に35カ国を訪れたことのある「今ちゃん」こと今津が座っています。

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彼に言わせれば「シェアリングエコノミーが新しいなんてまったく思わない」と言います。

なぜなら彼には発展途上国を中心に旅行をしたり、青年海外協力隊として2年間キルギスに住んでいた経験があり、彼にとって「現地の人の家に泊めてもらうこと」や「現地の人の車に乗せてもらって移動すること」は特別なことではなかったからです。

実際に彼も乗せてくれる車を2時間以上待った経験もあるそうで、乗せてもらうときは地域で大まかに決まった相場のお金を払うと乗せてくれるんだそうです。
※日本だと完全に白タク行為ですが ^^;
中にはガソリン代を節約するために乗せる人を探している人もいるみたいですよ。

そして彼はシェアリングエコノミーについての見解をこう続けます。

「他人とシェアをするというニーズはもともとあって、それをスマホとネットが一瞬で繋げてくれるようになっただけだと思います」

私もこれが今のシェアリングエコノミーの存在を理解する上でとても大切な考え方・視点じゃないかと思っています。

発展とは直線的な階段ではなく螺旋階段

ドイツの哲学者であるゲオルク・ヘーゲルの「弁証法」という哲学書の中に「事物の螺旋的発展の法則」という思想があります。

これは「物事が進歩発展するときに普通の階段のように直線的に発展していくものではなく、あたかも螺旋階段を登るように発展していく」という法則です。

もう少し詳しく説明すると螺旋階段を上から見ると同じところをグルグル回っているように見えますよね?
でも、横から見るとグルっと一週回ったときには同じ位置ではなく、一段高い位置に上がっています。

これと同じようなイメージで「この世に新しく生まれたと思えるモノも実は「古く懐かしいモノ」が「新たな価値」を伴って復活してくる」ということを意味しているのです。

手紙のようなコミュニケーションをスマホで

私たちの身近なモノで例を挙げるとすればLINEもそうでしょう。
今でこそ男性でも当たり前のようにLINEを使っていますが、リリース当初のLINEのコアターゲットは間違いなく女性ですよね。

ベッキーさんがLINEの無料通話機能を使って深夜に友だちと話しているCMが個人的にはとても印象的でした。
※今年は違った意味で世間に印象を残してしまいましが…… ^^;

自分の学生時代を思い返してみると、クラスの女子たちはよく友だち同士で手紙を書き合っていた印象があります。
手紙にどんなことを書いているのか聞いてみたことがあるのですが、特別なことを書いているわけではないそうで、その行動を理解できないという男性も多いのではないでしょうか。
手紙の空きスペースにはオリジナルの絵を描いたりしてコミュニケーションを取るのは女性ならではの素敵な楽しみ方だと思います。

そして時代は変わり、今ではLINEがあるのでさまざまな感情を表す「スタンプ」を使ったコミュニケーションが取れるようになりました。
「自分で絵を描かなくてもいろんな絵をスタンプとして送れる」という新しい価値によって、今では女性だけでなく私たち男性までもスタンプを使ってコミュニケーションを楽しんでいます。

立ち飲み屋で三ツ星料理!?

他にもミシュラン星付き級の料理人が腕をふるった料理が信じられないほどの低価格で食べられる「俺のイタリアン」や「俺のフレンチ」でも同じ見方をすることができます。

実際に運営元の「俺の株式会社」の代表取締役の坂本氏はホームページ上でこう語っています。

「立ち飲み業態では、今の社会が忘れかけている「人との語らい」がもたらされます。」

もちろん今でも立ち飲み屋さんはたくさんありますが、そこに「ミシュラン星付き級の料理人が腕をふるった料理」という新しい価値を付けたことによって、まさに螺旋的発展をしたわけです。

このような視点で考えるとAirbnbやUberをはじめとするシェアリングエコノミーという概念も同様だと言えます。

タダからはじまった宿泊業

例えば日本で初めて「宿」が誕生したのは奈良時代の「布施屋」だと言われています。
この宿は野宿や栄養失調などの危険を冒しながら旅をする人々のために作られたそうで、作ったのは地元の僧侶の方たちだったそうです。

そしてこの宿に泊まる代金はなんと「無料」でした。

今の旅館の原型ができたのは、なんと江戸時代だそうです。

それから時代を経て古くから自然にあった「助け合い」という仕組みが、最新のテクノロジーの力によって「助けたい人」と「助けて欲しい人」を瞬時にマッチングできるようになったのがシェアリングエコノミーの正体です。

しかし、ここで1つの疑問が出ます。

「シェアリングエコノミーは完全なボランティアじゃなくてお金を取引しているじゃないか」

という点です。

事実、ホームシェアリングで言えばCouchsurfing(カウチサーフィン)という無料で宿泊させてくれる人と宿泊したい人をマッチングさせるサービスがあります。

しかし、資本主義経済の中ではボランティア精神だけでは続けられない人たちが多数いるのも事実です。

そして、私はそこにこそシェアリングエコノミー系のサービスが世界的に盛り上がりを見せている理由があると見ています。

ボランタリー経済とマネタリー経済の絶妙な融合

今の時代、「経済」と言えば「貨幣(マネタリー)経済」だけのイメージが強いですが、他にも「交換経済」や「贈与経済」などいろいろな形があります。

そして今注目を集めているのが「ボランタリー経済」です。
田坂広志氏の言葉をお借りすればボランタリー経済とは「人々が、善意や好意など、自らの自発的意志によって行う経済活動のこと」を言います。

ただ、勘の良い方はお気づきかと思いますが、この概念はとりわけ真新しいものでも何でもなく人間が古くから持ち合わせている精神の1つです。

インターネットがボランタリー経済を押し上げている

では、なぜボランタリー経済が再び注目されているのでしょうか?
それはインターネットによる影響にほかなりません。

例えば私たちは知りたいことがあればGoogleを開いてキーワードを入力するだけで無料で答えやヒント、データを手にすることができます。

また、調べても分からないことは数あるQ&Aサイトに質問を投稿すれば誰かが善意で教えてくれる上に、1円たりとも請求されないのですから驚きです。

さらに本や商品を買いたいときはAmazonで、レストランを探すときは食べログで、旅行をするときはトリップアドバイザーでといった形で、ユーザーが善意で書いたクチコミを(信憑性の是非はともかくとして)無料で見ることができます。

そしてそれらの企業は私たちに無料でさまざまな恩恵を提供しつつ、大きな利益を挙げることに成功しています。

つまりインターネットビジネスで成功する1つのパターンとして「ボランタリーとマネタリーを上手く融合させる」というものがあるということです。

その視点で見るとシェアリングエコノミー系のサービスはまさにその究極とも言えるのではないでしょうか?

例えばホームシェアリングを見てみましょう。
私は今まで性別や年齢を問わずたくさんのホスト(部屋の提供側)の方々とお話する機会がありました。

その中でホストの方々には次のようなタイプがいることが分かっています。

1. 誰かの役に立ちたい or 恩返しがしたい
2. 社会との繋がりを作りたい
3. 国際交流がしたい
4. お小遣い稼ぎがしたい
5. ガッツリお金を稼ぎたい

1の方がボランタリー的で、5になるほどマネタリー的になります。
大体みなさんこのいずれかか混合型になると思います。

もちろん完全にビジネスと割り切っている人が多いのも事実ですが、ホームシェアリングが広がる上でのコアユーザーは間違いなく「ボランタリー精神を前提とした人たち」です。
これは実際に事業者側のスタッフさんと話したり、ホストをされている方々とお話するとよく分かります。

そして数あるシェアリングエコノミーサービスの中でも勢いのあるAirbnbやUberは、このボランタリーとマネタリーの融合が絶妙だなと感じます。

また、そこにスマホとインターネットが掛け合わさることにより、まさに螺旋的発展をしたと言えるのではないでしょうか。

社会的な課題を解決する事例も

シェアリングエコノミーサービスが世界的に普及したことで、そのプラットフォームを活用して人類が抱える課題を解決する取り組みにも注目が集まっています。

熊本地震でも話題になった宿泊場所の無料提供

例えばAirbnbには緊急災害支援プログラムという世界中のどこかで災害が発生した際にホストが被災者に無償で部屋を貸し出せる仕組みがあります。
※あくまでも無償で貸し出すのはホスト自身であり、Airbnbはサービス利用料を無料にするというものです。

このプログラムは2012年にアメリカで発生したハリケーン「サンディ」によって東海岸一体が壊滅的な打撃を受けたことから始まります。
この時にニューヨークに住むAirbnbホストが自主的に宿泊場所を無料で開放し、それがキッカケで最終的には1400人もの人々が宿泊場所や食事を無償で提供しました。

このホストの善意を目の当たりにしたAirbnbがこれをシステム化したのが緊急災害支援プログラムです。

インフルエンザの予防接種をデリバリーできる

Uberは今年、ユーザーにインフルエンザ予防接種5人分を無料提供するキャンペーンを実施しました。

仕組みはUberのアプリ内でリクエストをすると看護師が予防接種をしにきてくれるというもので、しかも費用はなんと無料です。

こういった取り組みはシェアリングエコノミーが持つ可能性を教えてくれた事例と言えるのではないでしょうか。

しかし、さまざまな問題や課題を抱えている事実も……

さて、そんなシェアリングエコノミーですが、何も良いことばかりではありません。

現状では各ジャンルともにさまざまな問題や課題を抱えているのもまた事実です。

法律の問題

多くのシェアリングエコノミーサービスはいわゆる法律のグレーゾーンでビジネスを展開しています。
※akippaなど法規制に一切引っかからないサービスもあります。

私たちの身近なところで過去の事例を挙げるとすればTSUTAYAが良い例でしょう。

TSUTAYAの1号店が貸レコード業を営む店舗として大阪府枚方市にできたのは1983年のことでした。
当時はレコードのレンタル業というもの自体がなかったため、まさにグレーゾーンで事業をスタートさせたのです。

実際に「違法だ!」という非難の声や、訴訟問題になったケースもあったそうです。

しかし、その後の法整備により「貸与権」なるものが定められたため、TSUTAYAが著作権者へ使用料を支払うことによりレコードレンタル業が一般のサービスとして普及したという歴史があります。

これと同様にホームシェアリング系サービスもサービス拡大が先行して進んでいる中で法律が実態を踏まえた上でどのように整備されていくのか注目が集まっています。

安全性や責任の問題

ホームシェアであればホテルや旅館などの宿泊施設、ライドシェアであればタクシー業界といった既存の事業者がいます。

既存事業者は国が定めた法律を守りながら、利用者である私たちの安全性に対しての責任も負ってくれています。
何か問題があれば事業者自らが謝罪や賠償などを行い、サービスの改善や向上のために多大なる費用と時間を費やして設備投資や人材採用、研修の導入などを行います。

それに比べてシェアリングエコノミーの事業者は基本的に仲介を行うだけなので、何かのトラブルがあった際には基本的に当事者間で対応しなくてはいけません。

TSUTAYAの場合は基本的にレンタル業を営む店舗と著作権者の間での折り合いの問題でしたが、ホームシェアやライドシェアは場合によっては事故や事件に巻き込まれて人命を落とす可能性もあるので簡単な話ではありません。

実際にライドシェアサービスのUberではアメリカやインドなどでドライバーが乗客の女性を強姦する事件が起こるなど安全性を疑問視する声が上がりました。

また、Airbnbでもスペインで19歳の男性が宿泊した家のホスト(男性)から性行為を強要されたと訴えた事件があり、こちらも安全性について疑問視する声が上がったことは言うまでもありません。

「今は自己責任の時代」と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、最悪の場合、当事者だけでなく近隣住民やまったく見ず知らずのドライバーが巻き込まれて命を奪われてしまう可能性もあることを考えるとそう簡単な話ではないということも分かってきます。

既存事業者なら危険性がゼロかというとそんなことはありませんが、明確な責任を背負ってサービス提供をしている分、そのリスクはかなり低くなっていることは間違いありません。

なので「時代が変わったから」という主張だけでは既存事業者をないがしろにして良い理由にはなり得ないため、この辺りの折り合いをどう付けるかが大きなポイントになるでしょう。

類似サービス乱立の問題

シェアリングエコノミーサービスの根幹となるシステムはとてもシンプルなものです。

相応のスキルのあるエンジニアの手に掛かれば、ある程度のシステムは作ることができるでしょう。

だからこそ類似サービスが乱立しやすいという問題もあります。

コンセプトの違いを打ち出して勝負しているサービスは良いのですが、問題は資本主義の原理原則のもとに利便性だけを追求して戦おうとするサービスが目立ってしまう場合です。
分かりやすい例で言えばシステム自体はほぼ同じでライバルより手数料が安い、もしくは無料といった形です。

そして類似サイトはマネタリー重視の展開をしようとします。
するとボランタリー要素が失われ、「単にお金を求める人たち」が集まりやすくなることで当事者間でのトラブルが増加するという悪循環に陥る可能性もあります。

シェアリングエコノミーに限らず負のイメージはとてつもないパワーを持っているため、トラブルや問題が目立ちはじめると「ろくなサービスじゃない」というレッテルを貼られてしまう可能性もあるでしょう。

そして私たちは何を考えるべきか?

多くの問題や課題を抱えながらもシェアリングエコノミーの利用者は急速に増えているのも事実です。
では、この事実から私たちは何を考え、何を読み取っていくべきなのでしょうか?

私が個人的にこれから重要視すべきと思っているキーワードが「シームレス」「分断」です。

国境がどんどん「シームレス」になっている

「シームレス」とは途切れや継ぎ目のない状態のことです。

「グローバルでいいんじゃないの?」と思われる人もいるかもしれませんが、それだと日本から世界へ進出するというイメージが強くなりそうなので、インバウンドという視点も入れた時に「シームレス」の方が適切な言葉ではないかと思っています。

この感覚を簡単に説明すると「日本以外の国の人との垣根がどんどんなくなってきた」ということです。

特に日本は島国なので、これまでは海外と繋がりを持つ人はごく限られた人たちだけでした。

それが今やインバウンドの波もあり、私のようないたって普通の人間でも海外の人と交流をしたり、一緒に仕事をするようになっています。
大阪の街を見ても日本人のお客さんしか来なかったお店にたった3年ほどでさまざまな国、言語、宗教観のお客さんが来店するようになったと考えるとすごい変化ですよね。

その影響で私たち日本人と世界の距離はグッと近づいたのは間違いないと思います。

他にも私たちが普段利用しているサービスを見ても同じことが言えるでしょう。

一昔前のSNSと言えばほぼ日本人の利用者しかいないmixiを使うのが当たり前でした。
ところが今では世界で16億人以上(2016年4月時点)が利用するFacebookを利用するのが当たり前になっています。

仮にFacebookを1つのコミュニティとして見るのであれば、私たちは13億人以上の人口がいる中国を抜いて世界で一番大きなコミュニティに属していることになります。

また、Youtubeで世界中の人たちがアップした動画を見ることができますし、Instagramで海外のトップスターが撮影したプライベート写真を見ることもできます。

中国は超巨大ガラパゴス国家なので例外ですが、その他のほとんどの国は同様のサービスを使う時代になったのです。

インターネットやスマホの力にかかれば10年〜20年程度で世界はここまで変わるんですね。

今後この現象はさらに加速していくはずなので、国境を越えたコミュニケーションがもっともっと当たり前になるはずです。

国家の中で分断が起こる?

もう1つ個人的に気になっているキーワードが「分断」です。

これは先に行われたアメリカ大統領選の結果を受けてさらに感じたものです。

詳しくはこちらの「アメリカのポップスターは、束になってもトランプに勝てなかった」をお読みいただきたいのですが、ニューヨーク州やカリフォルニア州といった「グローバル」な都市ではクリントン氏が支持され、内陸の「ローカル」な都市ではトランプ氏が支持されたという分析結果が書かれています。
また、ミレニアル世代(18歳〜34歳)で見るとほぼすべての州でクリントン氏が支持されていたことも分かります。

記事内にもあるようにこれはイギリスのEU離脱を決める住民投票結果でも同じような議論が沸き起こりました。

私は立場的にクリントン派でもトランプ派でもありませんし、イギリスがEUに残留すべきだったか離脱した方が良かったのかも分かりません。

ただ、この状況を見て思うのは「グローバル経済が進んだ影響で都市部と地方では価値観に大きな乖離が起きている」ということです。

価値観の変化というのは経験の数で決まりますからね。
都市部に住む人と地方に住む人とでは経験の数に大きな差が出てしまうのは致し方ありません。

グローバル経済に身を置く人たちは世界とシームレスに繋がることでさまざまな恩恵を受けましたが、地方に住むローカルな人たちはその恩恵をほとんど受けることができず閉塞感を感じていました。
その閉塞感をとことん刺激して心を鷲掴みにしたのがトランプ氏だったと言えるでしょう。

日本も他人事ではない?

ただ、これは何もアメリカやイギリスだけの話ではありません。
日本においても時代の変化とともに東京と地方を同列で語ることはだんだん難しくなってきていると感じます。

実際に、日本でも文部科学省が有識者会議を開いて日本の大学のあり方を根本から考え直すことを議論していることをご存知でしょうか?

「G型大学×L型大学」一部のトップ校以外は職業訓練校へ発言の波紋 | プレジデントオンライン

これは簡単に説明すると日本の大学を一部のグローバル人材を生み出すことを目的とした「G型(グローバル型)大学」と卒業後すぐに接客や医療、介護などの“現場で活躍できる実務”を身につけることを目的とした「L型(ローカル型)大学」に2つに分けてしまうというものです。

もちろん今はまだ議論段階ではありますが、これが公開されたのが2014年なので議論自体はさらにその前からされていたでしょう。

このG型L型の価値観の乖離は今後世界的に起こっていくことが予想されるため、将来的には国家という価値は薄れていき、「グローバル経済に身を置く人たち」と「各国のローカル経済に身を置く人たち」という国境を越えた分断が起こる可能性もゼロではありません。

コミュニティの単位は「国」から「星」へ?

そしてその先には何が待っているのでしょうか?

それを考えるヒントとなるのがPayPal社を作り、テスラ・モーターズ社のCEOに就任し、スペースX社を起業して宇宙ビジネスまで展開するイーロン・マスク氏が発表した「人類の火星移住計画」です。

彼は2020年代に有人飛行をし、2060年代には火星に100万人を移住させることを計画しているそうです。
ここで重要なのは、これは「夢」ではなく実現可能な「計画」であるということです。

もちろん私自身も想像すらできない世界ですが、2060年ということは私が生きている間に人間が火星に住み始める可能性もあるということです。

つまり私たちの子供や孫の世代では月や火星に旅行をしたり、移住をしたりするのが「当たりまえ」になっているかもしれません。
「お父さん、私火星の大学に行きたいの」「親父、会社から辞令が出たんだけど月支店に転勤になったよ」といった会話をしているかもしれないのです。

そのときパスポートに書かれる最大単位は何でしょうか?
「国籍:Japan」ではなく「惑星:Earth」になっているのかもしれませんね。

そして、イーロン・マスク氏はこう語っています。

人類の未来は基本的に、2つに1つです。多惑星に生きる種になり、宇宙を飛び回る文明人になるか、1つの惑星にしがみついたまま、何らかの惨事を経て絶滅に至るかです。
〜中略〜
私は、未来に関して常に心を躍らせ、刺激を受けていたいので、1つ目の選択肢を選びます。宇宙を飛び回る文明人になる方です。

出典:米スペースX、壮大な火星移住計画を発表

地球が絶滅してしまう可能性は分かりませんが、万が一のときに選択肢すら持てていなかったら悲しいですよね。

変わることなく大切なこと

話の規模がかなり大きくなってしまいましたが、1つだけ確かなことは「世の中は急速に変化し続ける」ということです。

それを前提に決して忘れてはいけないこととは何なのでしょうか?
私はAirbnbのCEOであるブライアン・チェスキーが過去に語ったこの言葉の中にヒントがあると思っています。

「あらゆる仕事が個人の手に移っていき、”街”は”村”に戻っていく」

今より経済的に貧しかった時代でも、人がお互いに支え合うことで生きることができていました。
そして100万部を超えるベストセラーとなった嫌われる勇気でもアドラー心理学をもとに人間の幸福についてこう語られています。

「人はコミュニティに入り、コミュニティ内にいる人を信頼して、その人に貢献することで幸せを感じられる」

ブライアン・チェスキーの言葉はまさにこれと同様で、「Airbnbというコミュニティに入り、そこにいる人を信頼して、その人に貢献することで幸せになろうよ」というものです。

シェアリングエコノミーサービスが今後どんな存在になっていくのかは誰にも分かりませんが、今後この思想がさらに重要になる時代がやって来るのかもしれません。

まとめ

この記事を書き終えてから真っ先に思ったことは「本当に長い文章になってしまった……。読者のみなさんごめんなさい……!」ということでした ^^;

しかし、Airbnbやホームシェアリング、そしてシェアリングエコノミーだけを見るのではなく、世界の現状と情勢を見ていたら自分なりにぼんやりと未来のカタチが見えた気がしたので、時間を掛けてまとめてみた結果です。
1万文字以上の長文に最後までお付き合いいただいた方には心からお礼を申し上げます。

さて、あなたが描いている未来とは一体どんなカタチでしょうか?
そして、その世界であなたはどんな人とどんな場所に住んで、どんな仕事をしているでしょうか?

確かに未来のことは誰にも分かりません。

iPhoneが誕生した10年前。
たった10年でこれだけ世界が変わると誰が想像できたでしょうか?

では、あと10年後には何が起こっているのか?
そう考えたら何が起きても決して不思議じゃないですよね。

だからこそ「未来という答えのない問い」に対して問い続けることが大切なのだと思います。

そうすれば、どんな世界になったとしても自分で明るい未来を切り拓いていくことはできるはずです。

ぜひあなたもあなたが考える未来を発信してみてください。
思わぬ人から違った視点での未来の可能性を提案してもらえるかもしれません。

私も明るい未来にワクワクしながら、さらに上のステージへ上がれるよう成長していきたいと思います!

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