イロドリの小林です。
前回は「【シュさんに学ぶ台湾シリーズ第1弾】台湾に日本好き・親日な人が多い5つの理由」をお届けしましたが、今回はその第2弾となります。
このシリーズは弊社が運営する訪日外国人観光客向け大阪ガイド「BATTERA」でライターを勤めてくれている台湾人スタッフの朱 冠蓁(シュ カンシン)の情報をもとに、あなたに台湾をもっと身近に感じていただくためにお送りしています。
朱 冠蓁(シュ カンシン)
台湾の台中市出身。
2015年7月から日本に住み、現在は日本語学校で勉強をしながらイロドリでライターとして活躍中。
好奇心旺盛な性格なため、すでにイロドリスタッフより日本の魅力や観光地、イベントを知っているという噂すらある。
彼女のインタビュー記事も公開中!
「なぜ福原愛ちゃんの結婚会見はあんなに緊張感がありますか!?」台湾人インターン生のシュさんが驚いた日本人とのギャップとは <前編>
「なぜ日本はそんなに悪口のレパートリーが少ないですか!?」台湾人インターン生のシュさんが驚いた日本人とのギャップとは <後編>
さて、第2弾のテーマは「台湾人が日本に来て困っていること」です。
昨年(2016年)のデータを見てみると、台湾から日本に400万人以上の人たちが来てくれました。
この数字は中国、韓国に次いで3位となります。
では、そんな台湾の人たちは日本でどんなことに困っているのでしょうか?
実はこれを「知っているor知っていない」だけでこれから大きな差が出るかもしれません。
なぜならビジネスにおいてお客さんが困っていることを把握して、先回りして解決策を用意しておくことは、他店との大きな差別化に繋がる可能性があるからです。
なので、ぜひあなたも「自分のビジネスに活用できないか?」という視点でお読みいただければと思います。
台湾人が日本で困っている5つのこと
1. 禁煙のレストランやお店が少ない
台湾では2009年に「たばこ煙害防止法」なる法律が改正されたことで、3人以上集まる建物内、公共の場所、交通機関内は全面禁煙になったそうです。
つまり、レストランはもちろん、お店やホテルでも基本的にはタバコを吸うことができません。
※外では普通に吸えるそうですが。
ところが日本では分煙が進んできたものの、「ランチタイムだけ禁煙」であったり「喫煙可」のお店もまだまだ多いですよね。
そこは文化の違いなのでしょうがないのですが、台湾の人たちが困っているのは「禁煙のお店かどうかの見分け方が分からない」というものです。
正直これは日本人の私でも見分け方が分かりませんし、私もタバコを吸わないので店に入ってから「あっ、ここはタバコ吸えるお店かぁ」とお店を出ることもしばしばです。
※私は元喫煙者ですが、今では分煙すらされていないお店は避けるようになってしまいました。
ただ、これは台湾に限らず海外では日本より禁煙化が進んでいる国が多いということもあり、日本は「喫煙天国」と揶揄されることもありますよね。
もし、あなたのお店が禁煙店で、お店の前をたくさんの外国人観光客が通っているのであれば、あえてデカデカと「当店は全面禁煙のお店です」ということを掲示すれば「このお店は分かってるなぁ」と思ってもらえるかもしれません。
2. 券売機が注文しにくい
日本は券売機で注文をするお店って多いですよね。
日本人の私たちにはとっても便利な券売機ですが、それが海外の人となると事情が変わります。
なぜならメニューの文字が読めないので、何を注文して良いのか分からないからです。
写真入りの券売機ならなんとなく料理イメージが分かりますが、ラーメン屋さんなどは基本的に文字だけだったりしますよね。
また、中華系の人に限って言えば漢字が読めるのでメニュー名に漢字が多いお店であればなんとなく理解してもらうことができますが、カタカナが多い場合はまったく読めないので注意が必要です。
最近は英語や中国語などに対応する券売機も少しずつ増えてきましたが、今使っている券売機を新しい物に買い換えるのは費用面から見ても現実的ではないでしょう。
なので、例えば英語メニューや中国語メニューを作って券売機にぶら下げておけば、「このお店は分かってるなぁ」と思ってもらえるはずですよ。
3. レストランで常温水が飲めない
台湾人は「冷たい飲み物はカラダに悪い」という考え方があるため(中国も同様)、基本的に冷たい飲み物を飲むという習慣がありません。
そのため、彼らは日本に来てレストランでお冷が出てくることに戸惑ってしまいます。
そんな彼らの文化を理解した上で、「常温水にしますか?」というカンタンな質問をして積極的に対応してあげるのも顧客満足度の向上に繋がるでしょう。
それに日本はコンビニでも基本的に常温の飲み物って売られていないですよね。
そう考えると日本は「常温の飲み物を買ってきて」と頼まれても意外と買えない国であることも分かってきます。
そんなときに常温水をスッと出せば喜んでもらえそうな気がしませんか?
逆にこれは私たち日本人が海外へ行った際のことを考えればよく分かります。
海外へ行った際に冷えていないビールやドリンクに氷を出されたという体験をしたことがある人もいると思います。
そんな時にたまたま立ち寄ったお店がキンキンに冷えたビールやドリンクを出してくれたら「このお店は分かってるなぁ」と思いますよね。
つまり、それと逆のことをしてあげれば「このお店は分かってるなぁ」と思ってもらえるというわけです。
4. 英語を話せる日本人が少ない
台湾は日本に比べるとカンタンな英語を話せる人が多いため、「中国語は伝わらないだろうから英語なら伝わるかも」と思って話したものの、まったく通じないことが多いので困ってしまうそうです。
特に台湾の若い世代は「海外でも活躍できる人材にならないと生き残っていけない」という意識が日本に比べて強いこともあり、英語を話せる人の割合が増えています。
日本でも若者を中心に語学に対する意識は時代と共に大きく変わってきていますよね。
ただ、日本ではまだ国内需要が大きいため、全体としては日本語以外の言語を学ぶ必要性を感じている人が少ないという実情もあると思います。
中国語はもちろん、今まで英語を話したことがない人がすぐに英語を話すのは難しいと思いますが、コミュニケーションにおいて一番大切なのは「お互いの心が通い合うこと」です。
最近では「これで伝わる! 外国人との会話や接客に役立つオススメの翻訳ツール3選」でも紹介したように便利な翻訳ツールもあるので、こういったものを活用しながらコミュニケーションしてみれば「このお店は分かってるなぁ」と思ってもらえるかもしれません。
5. 温かい野菜料理が少ない
「温かい野菜」と聞いてピンと来ない人もいるかもしれませんが、カンタンに言えば野菜炒め系の料理のことです。
中華料理では野菜炒めは定番料理なので、彼らは毎食と言っていいほど温野菜を食べています。
台湾に住むシュの友人が送ってくれた写真
ところが日本で外食をする場合、温野菜を食べられるお店って意外と少ないですよね。
それこそ中華料理か冬限定ですが鍋料理くらいしか思いつきません。
日本だと野菜を食べる機会の多くはサラダなので、それは「冷たい野菜」のカテゴリーになってしまいます。
それだと台湾の人たちは「野菜を食べたー!」という気にならないそうです。
実際にシュの家族や友人が日本へ1週間の旅行に来たときは、最終日になる頃にはほぼ全員が「野菜を食べたい……」と言うそうです。
それだけ彼らにとっては温野菜は重要な位置付けなんですね。
セットメニューを提供しているお店であれば「サラダセット」のように「野菜炒めセット」を用意してあげれば「このお店は分かっているなぁ」と喜んでもらえるかもしれません。
まとめ
さて、今回は台湾人観光客が日本に来たときに困っている5つのことを弊社台湾人スタッフのシュの情報をもとにお届けしました。
この5つを見ると飲食店で困ることが多いということが分かってきますね。
しかしそれは、彼らがそれだけ日本の食を楽しみにしているという期待の大きさの表れとも言えるでしょう。
また、個人的には「Wi-Fiスポットが少ないのは不便じゃないの?」と思ったのですが、意外にも「地方だと確かに困りますが、最近は大阪や東京など都会であればWi-Fiスポットが増えたのでそこまで困らなくなりました。それに、今は日本でSIMカードを買う人も増えていますし」と最近の(主に若者の)変化も教えてくれました。
ただ、日本では事前登録が必要なWi-Fiが多いため、使い勝手が悪いのも事実のようです。
私も以前台湾に行った時はどこの飲食店やカフェでも大体Wi-Fiが用意されていて、店員さんにパスワードを聞くかメニュー表やお店の壁に書いてあるパスワードを入力すれば、カンタンに繋ぐことができたのでとても快適でした。
というより、世界的に見れば先進国でありながらこんなにWi-Fi接続が不便な国も珍しいというのが実情なんですよね。
もちろんセキュリティ面の考慮は大切ですが、お客さんの利便性と上手くバランスを取っていきたいところです。
また冒頭でも書いた通り、お客さんが困っていることを把握して、先回りして解決策を用意しておくことは他店との大きな差別化に繋げられるかもしれません。
「自分のためにこんなことをしてくれて嬉しい」という想いは万国共通です。
なので、小さなことからで構わないのでお客さんの悩みを聞いて、観察して、改善してを繰り返してみてください。
もしかするとそこから既存の日本人のお客さんにも喜んでもらえるような新しいヒントも出てくるかもしれません。
その他のシュさんに学ぶ台湾シリーズはこちらでまとめています。
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