イロドリの小林です。
今回は日本政府観光局(JNTO)から発表された2014年のデータを元に、「買い物」に焦点を当て、訪日者数上位16カ国が購入しているものの特徴を前後編に分けてご紹介しています。
<前編>はこちらからご覧ください。
後編はあの「爆買い」で注目を浴びる中国や近年訪日者数が急増中のタイの情報にご注目ください。
<追記:2016年6月23日>
お待たせしました!2015年版も公開いたしました。
訪日者数8位〜1位の国々の買い物事情
今回ご紹介するデータは「平均買い物消費額」と「購入率」です。
「平均買い物消費額」とは1人あたりがその項目の商品を購入した際の平均金額です。
また、「購入率」とはアンケート対象者の内、「買いました」と答えた人の比率を表しています。
なお、項目は下記の10項目となっています。
(これは日本政府観光局(JNTO)側で分けられている項目です)
●菓子類
●その他食料品・飲料・酒・たばこ
●カメラ・ビデオカメラ・時計
●電気製品
●化粧品・香水
●医薬品・健康グッズ・トイレタリー
●和服(着物)・民芸品
●服(和服以外)・かばん・靴
●マンガ・アニメ・キャラクター関連商品
●書籍・絵葉書・CD・DVD
それでは8位から見てみましょう。
8位 マレーシア [2014年訪日観光客数 249,500人]
1人あたりの平均買い物消費額: 54,737円(16カ国中5位)
購入率: 98.9%(16カ国中4位)
[平均買い物消費額]
マレーシアは訪日者数は8位ですが、平均買い物消費額は5位とシンガポールに次いでお金を使っている国となります。
16カ国の中で上位5位以上に入る項目を見てみると、
●菓子類: 15,043円(3位)
●その他食料品・飲料・酒・たばこ: 14,135円(3位)
●化粧品・香水: 17,867円(5位)
●和服(着物)・民芸品: 15,966円(3位)
●服(和服以外)・かばん・靴: 33,495円(4位)
と5項目となりました。
[購入率]
そして購比率を見てみると、
●その他食料品・飲料・酒・たばこ: 57.1%(5位)
●服(和服以外)・かばん・靴: 58.4%(2位)
が上位となっています。
詳細は分かりませんが、もし「その他食料品・飲料・酒・たばこ」の中で、「酒」が比率的に高いのであれば、厳格なムスリム(イスラム教徒)であり、マレーシア人口の65%を占めるマレー系マレーシア人はまだ日本に来ている比率は低いということが言えそうです。
※ムスリムはアルコールはNGなので。
逆に日本に来ているマレーシア人の多くが人口の24%程度を占める華人系マレーシア人であろうということが言えるかと思います。
7位 オーストラリア [2014年訪日観光客数 302,700人]
1人あたりの平均買い物消費額: 47,650円(16カ国中7位)
購入率: 93.0%(16カ国中13位)
[平均買い物消費額]
欧米スタイルの文化圏であるオーストラリアも欧米諸国の特徴と似通って来るのか気になるところですが、
●その他食料品・飲料・酒・たばこ: 15,567円(3位)
●和服(着物)・民芸品: 15,527円(4位)
●マンガ・アニメ・キャラクター関連商品: 21,728円(2位)
●書籍・絵葉書・CD・DVD: 12,523円(1位)
となっており、やはり他の欧米諸国と似た結果となりました。
[購入率]
オーストラリアの購入率ですが、5位以上の項目は1つもありませんでした。
その中でも上位のものを挙げると、
●和服(着物)・民芸品: 29.0%(6位)
●書籍・絵葉書・CD・DVD: 16.9%(6位)
となっています。
6位 タイ [2014年訪日観光客数 657,600人]
1人あたりの平均買い物消費額: 64,776円(16カ国中3位)
購入率: 95.8%(16カ国中9位)
[平均買い物消費額]
今年は中国人観光客に続きタイ人観光客の消費動向がテレビでも注目を集めましたが、上位の項目を見てみると、
●菓子類: 16,631円(2位)
●カメラ・ビデオカメラ・時計: 57,396円(4位)
●化粧品・香水: 20,345円(3位)
●医薬品・健康グッズ・トイレタリー: 9,636円(5位)
●服(和服以外)・かばん・靴: 36,684円(2位)
となっています。
昨年のデータを見てもタイ人観光客は消費意欲が高いことが見て取れます。
[購入率]
続いて購入率を見てみると上位の項目は、
●菓子類: 72.3%(5位)
●カメラ・ビデオカメラ・時計: 10.7%(4位)
●化粧品・香水: 49.0%(2位)
となりました。
目立つ数字としては「化粧品・香水」です。
平均買い物消費額でも3位となっているので、タイ人観光客のひとつの特徴として「高額(もしくは大量)の化粧品を購入している人が多い」ということが言えるかと思います。
しかもタイ人女性には日本人女性系の化粧が流行しているので、日本の化粧品メーカーが次々とタイへ進出しているのも納得のデータです。
5位 アメリカ [2014年訪日観光客数 891,600人]
1人あたりの平均買い物消費額: 27,371円(16カ国中14位)
購入率: 90.5%(16カ国中16位)
[平均買い物消費額]
さて、欧米諸国で最も訪日者数の多い国アメリカですが、平均買い物消費額は14位となっています。
その中で5位以上の項目は、
●書籍・絵葉書・CD・DVD: 6,686円(5位)
のみです。
[購入率]
購入率はなんと16位と最下位となっているアメリカですが、各項目の上位を見てみると、
●和服(着物)・民芸品: 34.7(3位)
●書籍・絵葉書・CD・DVD: 20.5%(5位)
となっています。
欧米圏の観光客はショッピングでは無く体験を求める「体験型」が多いと言われていますが、データでもそれがハッキリと見えた形となりました。
4位 香港 [2014年訪日観光客数 925,900人]
1人あたりの平均買い物消費額: 54,587円(16カ国中6位)
購入率: 99.3%(16カ国中2位)
[平均買い物消費額]
香港人観光客で上位の項目は、
●カメラ・ビデオカメラ・時計: 38,786円(5位)
●医薬品・健康グッズ・トイレタリー: 10,840円(4位)
●和服(着物)・民芸品: 20,527円(1位)
●服(和服以外)・かばん・靴: 33,713円(3位)
となっています。
和服(着物)を買う人が多いのだと仮定すると、香港人観光客はファッションにお金を使う傾向にあるというのがひとつの特徴かもしれません。
[購入率]
次に購入率上位を見てみると、
●化粧品・香水: 38.0%(3位)
●医薬品・健康グッズ・トイレタリー: 44.2%(3位)
●マンガ・アニメ・キャラクター関連商品: 19.6%(2位)
となっています。
「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」は消費額共に上位に入っているのが特徴的です。
3位 中国 [2014年訪日観光客数 2,409,200人]
1人あたりの平均買い物消費額: 138,305円(16カ国中1位)
購入率: 99.6%(16カ国中1位)
[平均買い物消費額]
さて、遂に来ました「爆買い」でお馴染みの中国です。
消費額は16カ国中堂々の第1位で2位のベトナムに3万円以上の差をつけてダントツのトップです。
5位以上に入る項目を見てみると、
●その他食料品・飲料・酒・たばこ: 13,307円(4位)
●カメラ・ビデオカメラ・時計: 85,319円(2位)
●電気製品: 46,966円(2位)
●化粧品・香水: 36,036円(1位)
●医薬品・健康グッズ・トイレタリー: 32,209円(1位)
●服(和服以外)・かばん・靴: 55,041円(1位)
となっています。
中でも「服(和服以外)・かばん・靴」は2位のタイに2万円近くの差をつけており、中国人観光客のブランドアイテム購入額が突出していることが分かります。
2015年は更に消費額が伸びているはずなので、引き続き注目です。
[購入率]
消費額だけでなく購入率もトップの中国ですが、項目別で見てみると、
●菓子類: 77.8%(1位)
●カメラ・ビデオカメラ・時計: 26.7%(1位)
●電気製品: 39.8%(1位)
●化粧品・香水: 67.6%(1位)
●医薬品・健康グッズ・トイレタリー: 59.6%(2位)
●服(和服以外)・かばん・靴: 52.1%(4位)
●マンガ・アニメ・キャラクター関連商品: 19.6%(2位)
と、10項目中7項目が5位以上で、内6項目で2位以上と消費意欲の高さが顕著に出ています。
ちなみに「カメラ・ビデオカメラ・時計」と「電気製品」に関しては2位の国に10%以上の差をつけています。
さらに「化粧品・香水」に関しては2位のタイに18%の差をつけているという驚きの消費意欲です。
2位 韓国 [2014年訪日観光客数 2,755,300人]
1人あたりの平均買い物消費額: 21,515円(16カ国中16位)
購入率: 96.4%(16カ国中7位)
[平均買い物消費額]
韓国人観光客は消費額が16カ国中最下位でした。
項目別に見ても上位5位に入っている項目はなく、その中でも上位と言える項目は、
●電気製品: 19,946円(7位)
●医薬品・健康グッズ・トイレタリー: 8,915円(7位)
となっており、その他の項目はすべて12位以下となっています。
[購入率]
購入率は7位の韓国の上位の項目を見てみると、
●菓子類: 76.8%(3位)
●医薬品・健康グッズ・トイレタリー: 23.2%(5位)
となっています。
韓国人観光客はお手頃なお菓子をお土産に買っているのではないでしょうか。
1位 台湾 [2014年訪日観光客数 2,829,800人]
1人あたりの平均買い物消費額: 47,026円(16カ国中8位)
購入率: 99.2%(16カ国中3位)
[平均買い物消費額]
消費額は中位の台湾ですが上位の項目は、
●医薬品・健康グッズ・トイレタリー: 16,326円(3位)
となっています。
[購入率]
購入率は3位の台湾ですが上位の項目は、
●菓子類: 77.3%(2位)
●電気製品: 11.8%(4位)
●化粧品・香水: 34.2%(4位)
●医薬品・健康グッズ・トイレタリー: 64.6%(1位)
となっています。
この中で注目したい項目は消費額も3位となった「医薬品・健康グッズ・トイレタリー」かと思います。
ドラッグストアの方は台湾人集客がひとつのポイントになっていると言えそうです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の要点としましては、
・欧米文化圏の観光客は比較的高額な買い物をしない傾向にある。
・欧米文化圏の観光客の旅行の目的は「体験」である傾向にある。
・東南アジアの国々の観光客は比較的買い物の消費意欲が高い傾向にある。
・中国人観光客の消費意欲はやはり飛び抜けている。
ということかと思います。
外国人観光客の集客において「誰が何を求めているのか?」を掴むことは非常に大切です。
「もっと詳しくデータを教えて欲しい!」というご要望などございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。
また、2014年の訪日外国人数の上位16カ国についての様々なデータをこちらで紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
最新のインバウンドニュースをメルマガで受け取る
外国人集客に役立つノウハウや最新ニュースをメルマガで配信しています。
また、今なら登録いただいた方には「外国人観光客に人気の都道府県ランキングデータ」をプレゼント中です。
いつでも配信停止手続きができますので、まずはお気軽にご登録くださいませ。
メルマガ登録はこちらから