イロドリの小林です。
最近よく「飲食店を開業するので外国人観光客の集客アドバイスが欲しい」という依頼をいただく機会が増えてきました。
お店のオープン前であれば必要な施策をたくさん講じることができるのですが、中には「もう少し早く相談してもらえればこれが出来たのに…」という事もしばしばです。
施策によっては事前準備に時間が掛かったりスペースが必要になる物もあるので、できるだけ早い段階から施策を練ることがとても大切なのです。
そこで今回はこれから外国人観光客の集客も視野に入れた飲食店のオープンを考えられている方の為に、ぜひ取り入れていただきたい20個の施策をご紹介したいと思います。
もちろん、予算や料理のジャンル、お店の広さなどによって対応できるものとできないものがありますので、「これなら出来そう」「効果が期待できそう」と思われた物を取り入れていただければと思います。
あなたのお店が世界的な人気店になるために、ここで紹介したアドバイスが1つでもお役に立てれば嬉しいです。
外国人観光客を集客するための20のポイント
1. ターゲットを明確にする
まずはあなたの顧客ターゲットを明確にしましょう。
・どこの国の人なのか?
・男性なのか?女性なのか?
・家族連れなのか?カップルなのか?
など、できるだけ細かいターゲットイメージを作りましょう。
とは言っても「どうやって決めたらいいか分からない」という方も多いと思います。
そんな方は弊社が作成した「たった10個の質問に答えるだけであなたのターゲット国が分かる無料診断ツール」を使ってあなたに合った最適なターゲットを調べてみましょう!
2. 多言語のメニュー表を作る
外国人の方が見やすいメニュー表の作成は必須です。
ターゲットが明確になっていれば対応すべき言語も分かるので安心ですね。
なお、メニュー表の作り方については下記を参考にしてください。
最近は翻訳も低価格で気軽にできるようになって来たので積極的に活用して行きましょう。
3. 外国人用のメニューを作る
料理によっては日本人は普通に食べられるけど外国人の方の口には合わない物も多々あります。
できればお店のオープン前に外国人留学生や日本在住の外国人の方に試食してもらい食材の調整などをすることをお薦めします。
また、「人気メニューランキング」や「つきだしの説明」などを作ることでオペレーションの効率化やトラブルを未然に防ぐ工夫をしましょう。
詳しい方法は「月のおどり」さんのインタビュー記事がとても参考になると思います。
4. 多言語対応サイトを作る
Webを活用した集客に力を入れたい場合は多言語に対応したサイトを作りましょう。
ただ、多言語対応サイトは通常の日本語版Webサイト制作に加えて対応言語ごとのページ作成や翻訳費などの費用が掛かり、修正や更新などの保守運用費用も対応言語数分が掛かるので注意が必要です。
制作する前に「本当に必要か」を慎重に検討した上で作るようにしましょう。
多くの飲食店の場合はホームページを持たずとも後述するトリップアドバイザーや食べログなどの活用で十分なはずですので、「ホームページを持たないといけない」という考え方は捨てていただいて問題ないと思います。
また、もし作られる場合も1ページに必要な情報をまとめてしまうのも1つの方法です。
そうすればページ数を減るので制作コストや保守運用費用も抑えることができます。
ホームページは経営が軌道に乗ってから作っても遅くないので、オープン時はできるだけコストを抑えましょう。
もし多言語サイトを作成される場合は知見のある会社に目的と予算をしっかり伝えて作るようにしましょう。
5. ネットに強いスタッフを採用or育成する
今の時代はどんなビジネスでもインターネットの活用は必須です。
もちろんあなた自身がネットに強くなることがベストですが、少なくとも店舗責任者の方や広報担当の方がネットを最大限活用できる環境作りをしたいものです。
SNSや口コミサイトなど、活用できるサービスはたくさんありますが「アカウントを作ったりお店の情報を掲載しただけで放置状態」という方も多いのではないでしょうか。
ネット活用は細かい作業なので苦手な方も多いと思いますが、やるやらないでは結果は大きく変わって来るので、オーナーさんや責任者の方は準備期間の間にスタッフさんにWebサービスの活用方法を勉強してもらうなど、ネットを最大限に活用できる体制づくりに力を入れましょう。
6. Facebookページを作る
多くの国で一番利用されているSNSはFacebookです。
Facebookページを作ることで外国人観光客の方々があなたの店のページでチェックインや写真投稿をしてくれるかもしれません。
あなたのお店を世界中の人たちに知ってもらえるチャンスですのでしっかり対応しましょう。
SNSはその他にもTwitterやInstagramなどもありますが、これらのサービスはフォロワーを増やすのに時間が掛かるので、まずはFacebookページからスタートし、並行してその他のSNSに力を入れていきましょう。
また、中国人観光客だけは事情が異なり、中国政府の規制によりFacebookやTwitter、Instagramなどのサービスを利用することができないため、微博や微信などを活用しましょう。
各国で利用されているSNSについては下記を参考にしてください。
7. トリップアドバイザーにお店の情報を掲載する
トリップアドバイザーとは世界で一番多くの方に利用されている旅行系口コミサイトです。
ここで口コミが投稿されているかどうかは非常に重要で、トリップアドバイザーが行ったアンケートでは「口コミが投稿されていない施設には行かない」と答えた人が53%もいるそうです。
しかもトリップアドバイザーは日本人よりも外国人ユーザーの割合が圧倒的に多いため、日本人にとってはまったく無名のお店が外国人の定番店となっているなど面白い現象が多々あります。
また、このトリップアドバイザーへの掲載が「無料」でできることを知らない方もまだまだ多いと思います。
掲載だけでなく様々な無料ツールも使えるので、ぜひ活用をオススメします。
月のおどりさんも来店されている外国人観光客の多くはトリップアドバイザー経由だと仰られていますので、外国人観光客へのPRをするのであればトリップアドバイザーの活用は必須です。
トリップアドバイザーで大阪1位のクマカフェさんの人気の秘密もぜひ参考にしてください。
8. Yelpにお店の情報を掲載する
Yelpとは30カ国以上で展開する口コミサイトです。
アメリカ発のサービスなのでアメリカ人の利用者が多いようですが、こちらも無料で掲載できるので出来ることはやっておきましょう。
9. Wi-Fi環境を整備する
Facebookページを作ってもあなたのお店でインターネットに接続できなければ写真や文章を投稿したくてもできません。
次の目的地やホテルでネットに繋がってから投稿してくれたとしても、その際にあなたのお店にチェックインしてくれる人は減ってしまうでしょう。
これらの理由からWi-Fi環境の整備は必須ですので、以下の記事を参考に「外国人の方々が利用できるWi-Fi環境」を必ず作るようにしてください。
10. 「Japan Free Wi-Fi」のシンボルマークステッカーをGETする
Wi-Fi環境の整備ができたら必ず観光庁に申請をして「Japan Free Wi-Fi」のステッカーをGETしましょう。
また、利用申請許可が下りると観光庁が運営するWi-Fiスポット情報サイトにも掲載されるので、ぜひ活用されることをオススメします。
11. 口コミ投稿を促すカードを作る
トリップアドバイザーやYelpなどに口コミが投稿される事は非常に重要だということを紹介しました。
しかし、私たち日本人と同様に口コミを投稿する習慣のある方はごく一部です。
また、SNSは「今していること」を投稿しますが、口コミは長文になることが多いため、帰国してからパソコンを使ってまとめて投稿されるケースも多々あります。
その時に「あれ?あのお店って何て名前だっけ?思い出せないから口コミ投稿したいけどできない。」という状況にもなりかねません。
それは大きな機会損失ですので弊社では「口コミ促進カード」の活用をオススメしています。
要はショップカードの様なものなのですが、トリップアドバイザーの店舗ページにすぐにアクセスできるようにQRコードを埋めるなど、ユーザーが口コミを書きやすくなるようにサポートをすることで口コミ獲得率を高めましょう。
口コミ促進カードを実施している難波にある食品サンプル雑貨屋のデザインポケットさんではカード導入後すぐに口コミが1件投稿されたそうです。
12. SNSへの投稿を促すパネルを作る
SNSへの投稿を活用した宣伝に力を入れたいのであればこのようなパネルを作ってみてはいかがでしょうか?
このパネルがあれば「写真を撮りたい」、更には「写真をシェアしたい」という自然な流れを作ることができますし、お店の名前や住所、メッセージなども伝えてもらうことができるので一石二鳥どころではありません。
これを用意してスタッフの方が積極的に写真撮影を申し出ればコミュニケーションも取れますし、お店の印象も良くなるでしょう。
お店の印象が良くなればトリップアドバイザーやYelpなどで口コミ投稿してもらえる可能性も高めることができます。
13. クレジットカード決済に対応する
多くの外国人観光客は現金をあまり持ち歩いていません。
せっかくあなたのお店のメニューに興味を持ってもらっても「手持の現金が足りからやめとくよ」となったらもったいないですよね。
そこで、クレジットカード決済の対応はもちろん、クレジットカードが利用できるという事を店頭にシールを貼るなどしてアピールしましょう。
最近はスマートフォンやタブレットを活用してクレジットカード決済ができるサービスが充実してきました。
導入コストが無料なものもありますので、あなたに合ったサービスを選んでいただければと思います。
14. 店頭にお客さんと撮影した写真を飾る
店頭にスペースがあればお客さんと撮影した写真を貼るスペースを作りましょう。
そこに外国人の方と一緒に撮影した写真があれば、通り掛かりの外国人観光客も「このお店は外国人が入っても安心なお店なんだ!」ということが分かり、お店に入りやすくなります。
もちろんすべてのお店で出来ることではないですが、店頭に貼らずともトリップアドバイザーやFacebookページで投稿するなど活用方法はたくさんあるのでぜひ試行錯誤してみてください。
15. 店頭に食品サンプルを設置する
私たちが海外へ行った時もそうですが、お店を外から見ただけでは「どんな料理が食べられるのか?」というのはなかなか分かりません。
実際に外国人の方が「想像していたものと違う」ということでトラブルになった例も少なからずあるようです。
しかし、それは食品サンプルやメニューに写真を載せるなどしておくことで未然に防ぐことができるので、ぜひ活用してください。
16. スタッフの制服は着物や日本らしい衣装にする
外国人観光客の方々は彼らがイメージする「日本」を体験したいと思っています。
例えばサムライや忍者が人気なのも、それが彼らの中の「日本」だからです。
私たちが中国で中華料理店に行った時にホールの女性がチャイナドレスだったら「中国っぽさを味わえた」と思うのと同様です。
なので、スタッフの制服は着物や浴衣だったら外国人の方々も喜ばれるでしょう。
もちろん「ウチは和食屋じゃないからな〜」という方も多いと思いますが、その場合でもぜひ日本を感じられるようなオリジナルの衣装に拘っていただきたいと思います。
17. 牛肉を使うなら神戸牛を使う
外国人観光客の方に話を伺うと「神戸牛が食べたい」と仰る方がたくさんいます。
日本人にとって最高級和牛と言えば松阪牛など他のブランドを思い浮かべる方も多いと思いますが、なぜか外国人の方々にとっては神戸牛なのです。
これは1800年代に但馬牛を食べたイギリス人が、その味を絶賛し、後に「神戸ビーフ」と呼ばれて海外に輸出されることになったのが要因と言われています。
なので外国人の方々にとっては「最高級和牛=神戸牛」という認識となっているんですね。
それを活用して神戸牛を取り扱うことができれば、それを1つのウリとすることができます。
18. 可能であれば朝食を提供する
これも業態によるので可能であればの施策ですが、朝食の提供は外国人観光客を集客できるチャンスになり得ます。
下記の記事でもお伝えしましたが、弊社が運営する訪日外国人観光客向け大阪観光ガイド「BATTERA」でも特に台湾人からの「朝食」というキーワードでの検索が日々増え続けています。
朝食ニーズは間違いなくあると思いますので、朝食を提供される予定であればそれもPRのポイントの1つにしましょう。
19. 近隣マップを作る
もちろん自分のお店に連日リピートしてもらえたら最高ですが、なかなかそういう訳にはいかないと思います。
ですが、他のお店に行くのであればせっかくなので近所の美味しいお店を紹介してあげてはいかがでしょうか?
簡単な近隣マップを作って各店で同じマップを置いておけば相互にお客さんを送客することができるかもしれませんし、そのエリアを気に入ってもらえれば家族や友達にも「あのエリアは美味しいお店が多いから、日本に行くならその辺に泊まりなよ!」とアドバイスしてくれるかもしれません。
外国人観光客の集客は個店ではなく地域や複数店舗で力を合わせて実施することがポイントだと思います。
20. ムスリム(イスラム教徒)の方にも配慮したメニューを用意する
2013年時点で訪日したムスリムの方は30万人を超えました。
イスラム教徒は世界人口の4分の1と言われるので、2020年の東京オリンピックに向けて更に増えることが予想されています。
しかし、日本ではムスリムの方が宗教上食べることが禁じられている食材を使用していない、「ハラル対応」のお店が少ないと言われています。
ただ、一括りで「ムスリム」と言っても国や人種によって規律の厳格さが異なり、もっとも厳格な場合は使用食材はもちろん調理方法や厨房を分けるなどの、厳しい基準をクリアしたお店でしか食事ができません。
しかし、宗教の解釈が柔軟な国や人種の方であれば「豚肉とアルコールだけ無ければOK」という方もおられます。
せめてそういった方々が来店もしくは予約して来られた時には「当店ではムスリムの方向けにこのようなメニューだったら提供できるのですがいかがでしょうか?」と相談できるようなメニューや写真、説明文を用意しておくと良いかと思います。
でも、まずは日本人のお客様の集客が一番大切!
「そんなこと言われなくても百も承知だよ!」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、これはとても重要なことなので敢えてお伝えしたいと思います。
なぜかと言いますと、外国人観光客が急増しているとはいえ、2020年に3,000万人まで増加したとしても、これはあくまでも延べ人数(1年間でリピーターや仕事で何度も来訪した人も含めた総数)です。
ちなみに2014年の日本の人口は1億2,000万人ですので、これを延べ人数で計算すると外国人観光客数とはまったく比較になりません。
また、外国人観光客による消費額(買い物代などすべての消費額を含む)は2兆円を突破し、2020年には4兆円以上の消費が見込まれていますが、国内の外食産業だけで見ても市場規模は24兆円以上(外国人観光客による飲食消費額含む)です。
だからこそ日本人のお客様を集客することが一番大切なのです。
実際に弊社でもコンサルティングさせていただく際は「まずは日本人の集客を確立させましょう。それと並行して外国人観光客の集客に力を入れて行きましょう。」という所からスタートしています。
勘の良い方は既にお気づきかもしれませんが、今回紹介した20のポイントの多くは日本人集客においても重要なことでもあります。
なので、まずは日本人のお客様に愛されるお店づくりを目指しましょう。
私たちも海外に行った際に「観光客ばっかりのご飯屋さんよりも地元の人たちに人気のお店に行ってみたい」と思うのと同様に、外国人観光客の方々もそんな「日本人に愛されているお店」にこそ行ってみたいのです。
弊社の支援の第一歩はWebを活用した日本人のお客様向けのPRや集客をしており、メディア露出戦略や国内のグルメサイトの活用などのサポートをしております。
例えば食べログはとても活用価値の高い媒体であり、外国人観光客へのPRという点でも、既に英語・牛国語(簡体)・中国語(繁体)・韓国語の4ヶ国語に対応しているため一石二鳥です。
食べログはトリップアドバイザーと同様、個人客の集客に強いという特徴がありますので、それに合わせてぐるなびやホットペッパーなどの団体客の集客に強い媒体を効果的に活用することで最大の効果を発揮することができます。
これからの時代は「世界中から1つでも多くの良質な口コミをたくさん集められるお店」になれるかが重要です。
まとめ
今回は新店オープンする飲食店が外国人観光客の集客を成功させるための虎の巻的な内容をお届けましたが、何か1つでもお役に立つことができましたでしょうか?
今回ご紹介した施策の多くは既に飲食店を営んでおられる方も取り入れられるものばかりですので、ぜひ参考にしてみてください。
また、これ以外にも「こんな施策がオススメだよ!」というアイデアがございましたら、ぜひご教示ください!
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